手のひらと白いハート

 

あや子

こんにちは、三輪あや子です

 

人が亡くなった後の供養の方法として、従来のお墓ではなく、自然に還る散骨を検討する方が少しずつ増えています。

 

「死んだ後は、海に溶けて、世界中を気兼ねなくめぐりたい」「冷たい墓石の下になんてゴメンだ」という考える方や、子どものいないカップルが散骨を選ぶケースも多いようです。

 

高齢の両親から、散骨を頼まれている、という方もいます。

 

あや子ん?

わたしも母親から、宇宙葬やら珊瑚礁の海への散骨など、日々語られています

 

語るだけなら自由なのですが、いざ実行しようとすると、散骨には、いろいろ気を配らねばならないことが多そうです。

 

また、散骨にもいくつかの種類があります。

 

今回は、散骨を行うにはどうすればいいのか、その方法や注意すべきポイント、費用相場など基本的な内容を確認していきたいと思います。

そもそも散骨とは?

 

散骨は、従来のお墓や、納骨堂などに遺骨を納めるのではなく、火葬後の遺骨を粉状にし、自然に還す供養法です。

 

宗教的な要素はなく、どのような宗旨の方でも散骨は行えます。

 

また節目ごとの法要などは必要ありません(行うかどうかは自由です)。

散骨には種類がある?どこに散骨したいかを決める

 

散骨をする場合は、まず「どこで」散骨したいのかを決めます。

 

どこに散骨したいかによって散骨方法・種類も変わってきます。

 

  • 山(森林葬など)
  • 海(海洋葬)
  • 宇宙(宇宙葬)

 

このほかにも、ドローンなどで空から散骨する空葬(空中葬)や、遺灰を入れた風船を飛ばすバルーン葬など、新しい散骨方法も登場しています。

山での散骨

 

山林などで行う散骨で、森林葬とも呼ばれています。

 

ただし、散骨を行う土地の所有者、権利保有者などの許可が必要となります。

 

特に、水源近くや果樹栽培・放牧などを近くで行っている場所は避けます。

 

山での散骨の一種として樹木葬もあります。

 

樹木葬に関しては、墓地埋葬法の関係から、墓地・霊園内で行われるものがおすすめです。

 

森林葬も樹木葬も、散骨業者を介さず自分で散骨を行う場合は、希望する散骨場所の所有者(土地管理者・利権者など)を確認すると共に、散骨許可を得ることが第一です。

 

【森林葬の費用】

  • 5万~30万円

海への散骨

 

船をチャーターして、一般航路を避けた静かな沖合で散骨します。

 

所有している船で散骨を行う場合は、漁場や養殖エリアなどから遠く離れたポイントを選ぶ必要があります。

 

自治体によっては条例で散骨を厳しく制限しているところもあるので、注意が必要です。

 

海への散骨は、専門の散骨業者も見つかりやすく、経済的負担も少ないため、希望する方が多い方法です。

 

【海洋葬の費用】

  • 3万~50万円

宇宙への散骨

 

専用の小さなカプセルに粉骨を納め、ロケットで宇宙空間に打ち上げる方法です。

 

打ち上げはアメリカで行われますが、今では日本にも代理店があるので、簡単に申し込めるようになりました。

 

遺灰の入ったカプセルを載せた衛星ロケットは、地球の周囲を巡った後、やがて大気圏に突入し消滅します。

 

【宇宙葬の費用】

  • 30万~数百万

 

厳密には宇宙葬ではありませんが、成層圏での散骨を行うバルーン葬も宇宙葬の一種とされています。

散骨する時の注意点&マナー

 

丸とバツ

 

散骨を規制する法律は今のところありませんが、『墓地・埋葬に関する法律(墓地埋葬法)』に抵触するケースや、モラルに反した行為、周辺住民の感情を害するような行為とならないよう、注意が必要です。

 

ここでは、散骨をするための主な注意点をピックアップしてみました。

遺骨は必ず粉骨にする

 

散骨を行う前には、遺骨は必ず2ミリ以下の粉状にしておきます。

 

骨の形状がわかるまま散骨すると罪に問われますし、何より見つけてしまった人を驚かせることになります。

 

高温で火葬された遺骨はもろくなっているので、ハンマーなどを使えば自分で粉骨にすることにすることも可能です。

 

とはいえ、心情的にもつらい行為なので、専門の散骨業者に依頼するのが一般的です。

 

散骨業者に粉骨化を依頼すると、焼骨に付着している可能性のある有害物資なども除去してくれるので、環境への配慮という点でも安心できます。

 

クロエ

まあ、無理することもないよな・・・

 

粉骨のみというサービスもあり、価格もさほど高くはありません。

 

あや子

ほとんどがプラン料金なので、問い合わせてみるといいですよ。

遺骨の状態にもよるけれど、2~3万円ぐらいで受けてもらえます

散骨した上に土をかぶせない

 

散骨した後は、そのまま自然に還るにまかせます。

 

墓地・霊園以外の場所で散骨する場合は遺灰を埋めてはいけません(墓地埋葬法に違反します)

 

詳しくは『その散骨、実は違法かも!?』にまとめています。

自然に還らない副葬品は持ち帰る(SDG’Sな散骨!)

 

火葬する時にも、貴金属類や厚みのある書物類は取り除くように言われますが、自然葬ともいわれる散骨は、さらに環境保全を意識する必要があります。

 

遺灰といっしょにまくのは花びらとお酒ぐらいが適当でしょう。

 

花束やブーケなどは、形を整えるためのワイヤーやプラスチック製のセロファンなどがゴミとなり、環境汚染につながります。

 

塩は植物の生育に影響します。

 

食べ物は野生の生物の生育・行動に影響を及ぼします。

 

自然に還らない、あるいは土に還るまでに時間がかかる物は、すべて持ち帰り、故人を偲んで保管するか、懐かしんだ後は時期を見て適切に処分しましょう。

自治体の条例に従う

 

自治体によっては、条例で散骨を規制しているところがあります。

 

自分で散骨を行う場合は下調べを行い、希望する地域のルールに従ってください。

 

条例がわざわざ設けられているということは、それまでに散骨による地域住民とのトラブルが少なからずあったという証でもあります。

 

周囲からの悪感情にさらされることのない、健やかな散骨を目指しましょう。

 

【散骨に関する条例のある自治体】

  • 東京都・埼玉県・長野県・静岡県など

自宅の庭や田畑に散骨しない

 

散骨に関する法律がないため、墓地埋葬法に抵触しなければ私有地での散骨は可能とはいえ、モラル的にダメなパターンです。

 

近隣住民からの苦情や、風評被害からの土地評価の下落につながる恐れもあります。

 

「自分の土地なんや、違法やなかったら何してもええやろ」という考えはやめておきましょう。

 

「文句あるんかい!」「大ありじゃ!」という展開が待ち受けていますよ。

所有している山林であっても安易な散骨はしない

 

もともと山林を所有している家では、そのうちの一山全部か、一区画を一族専用の墓地として使用しています。

 

そんな代々受け継いできた山などと違って、ビジネス用に購入した山林であったり、山の一区画をキャンプなどのレジャー目的で購入している場所での散骨はおすすめしません。

 

一代限りで売却する可能性があり、その後、どのような使われ方をするかわからない場所は供養の場としては、ふさわしくありません。

 

また、所有する山林にもお隣さんが存在します。

 

安易な散骨を行うことで、周辺の山林の状況によっては訴訟問題になるケースもあります。

 

陸地での散骨はトラブルも多いので、より慎重に行うほうがいいでしょう。

 

あや子

陸地での散骨なら、寺院や霊園が行っている樹木葬や森林葬などが、安心です

 

散骨に必要な手続き・書類とは?

 

リポートを読む女性

 

 

散骨に関する自治体への手続きは特にありません。

 

ただ、散骨業者に委託する際には、次の書類の提出が求められます。

骨壺に入っている遺骨の場合

 

火葬場で遺骨といっしょに受け取った「火葬(埋葬)許可証」が必要です。

 

これは、「この遺骨は、正しい手続きにて火葬したものであり、埋葬することを認めます」ということを証明するものです。

 

骨箱(骨壺の入っている箱)に入っていることが多いので、確認しておきましょう。

 

紛失した場合は、火葬を行った市区町村の役所に申請すれば再発行が可能です(気がついたらすぐに!)

 

【必須書類】

 火葬(埋葬)許可証

お墓に入っていた遺骨の場合

 

いったんお墓に入っていた遺骨を散骨する場合は、「改葬許可証」が必要です。

 

お墓があった墓地管理者より「埋葬証明書」を発行してもらい、それを持って墓地所在地の役所窓口にて手続きをして「改葬許可証」を受け取ります。

 

クロエ

要は墓じまいの手続きだな

【必須書類】

 改葬許可証

散骨の流れ

 

陸地での散骨も、海での散骨も、まずは遺骨を粉骨にするところから始まります。

 

ここでは、散骨業者に依頼して行う散骨のケースとして一連の流れを説明します。

1.遺骨を業者に預ける

 

郵送もしくは手渡しで、遺骨を業者に預けます。

 

【預けるもの】

  • 遺骨(骨箱ごと)
  • 火葬(埋葬)許可証または改葬許可証
  • その他(散骨業者が求める書類)

 

※手元供養などを行う場合は、粉骨の一部を手元に残したい旨を事前に伝えておくこと

2.遺骨を粉骨にする

 

業者に預けられた遺骨は、いったん洗浄してパウダー状に粉骨加工します。

 

火葬時に、遺骨に付着する可能性がある有害物質も除去されるので、環境保全の面でも安心です。

3.散骨します

 

散骨には通常3つのタイプがあり、選べるようになっています。

代理散骨(すべてお任せプラン)

 

散骨業者に遺骨を預けた後は、すべておまかせする完全委託型の散骨方法です。

 

  • 高齢の方
  • 散骨希望地から遠方の方など

合同散骨(立ち会うプラン)

 

何組かがいっしょに集い、それぞれが自分たちの手で散骨を行う方法です。

個別散骨(一家族ごとに行う散骨プラン)

 

一組だけで行う、プライベートな環境での散骨です。

 

雑音のない静かな環境下での散骨を、家族の手で行い、見送ることができます。

4.散骨証明書を受け取る

 

後日、散骨証明書が送られてきます。

 

  • 陸地・・・散骨場所、日時、実施責任者名などが記された証明書
  • 海・・・GPSの計測による散骨ポイントと日時、実施責任者名などが記された証明書

 

海での散骨の場合は、散骨している様子を撮影した写真や動画が同封されていることもあります。

 

散骨証明書に記された散骨ポイント(経度・緯度)は、将来、お参りしたいと考えたときに、散骨した海域へ正確に導いてくれる大切な記録です。

実績のある信頼できる散骨業者を選ぶ

 

自分たちだけで散骨を行うのも一つの方法ですが、マナーを守り、法的にも問題なく散骨する、ということは意外と大変だったりします。

 

マナーを意識するあまり人目を気にしてコソコソしなければならないようなら、それは供養としてふさわしいとは思えません。

 

堂々と、亡き人によかれ、ということだけに想いをはせ散骨するためには、信頼できる散骨業者の手を借りることをおすすめします。

 

散骨業者は、散骨事情に精通し、根回しなども十分に行っている業者を選ぶことで、雑音も雑念もなく、おだやかな心で亡き人を自然に還す儀式を見守れます。

 

故人が海外での散骨を希望されていた場合は、その国で散骨が認められているのかを確認した上で、適切に行ってください。

まとめ

 

青空に飛ぶ白い鳥の群れ

 

日本には散骨を規制する法律はなく、火葬後の供養方法としての散骨に、なんら問題はありません。

 

ただし、地権者や土地の権利保有者等がいる場所への散骨は、事前に許可を得なければなりません。

 

また、墓地埋葬法という埋葬に関する法律に違反しないよう注意を払わなければならず、好きな場所に自由に散骨できるわけではないことは、承知しておきましょう。

 

  • 散骨は葬送を目的とし、場所選びや散骨方法については、周辺の人々の死に対する感情を十分に考慮しましょう。
  • 遺骨は、骨の形がわからないくらいにまで砕き、粉末化しましょう。
  • 海への散骨では、漁場、養殖場、海上航路の要所を避けた海域で行いましょう。
  • 自然に還らない副葬品や、固形の食べ物などはすべて持ち帰り、環境問題に配慮しましょう

 

行政は「節度をもって行われる散骨であれば、法的に問題はない」との見解を示しています。