規則

 

 

あや子

こんにちは、三輪あや子です

 

散骨を考えた時、いろいろと希望の場所が浮かんでくると思います。

 

思い出の地、お気に入りの風景、心がつながる場所など・・・。

 

ですが、その候補地に散骨できるとは限らないんです。

 

実は、散骨ってどこにでも自由にできるってわけではないんですね。

 

今回は、日本各地の市町村が条例でもって散骨に規制をかけている例を確認していきたいと思います。

条例ってなに?

 

条例は、憲法第94条にもとづいて地方公共団体(自治体)が議会の決議を経て制定する法規範です。

 

法律の範囲内で住民に義務を課し、権利を制限することができます。

条例に違反するとどうなる?

 

条例には、罰則を制定することも可能です。

 

自治体が定めた条例に違反すると、違反者には2年以下の懲役もしくは禁固、100万円以下の罰金等の刑罰、もしくは5万円以下の過料を科すことができます。

 

罰則を設けていない場合もあります。

 

あや子ん?

厳重注意ってとこかな?

 

クロエ

何をしとるんだー!即刻やめて、出て行けー!次やったらゆるさねー!って叱り飛ばされるんだな

条例を設けて散骨を規制している地方自治体

 

 

日本全国の地図

ここでは資料として、主に厚生労働省『墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究』(令和2年度総括研究報告書)を参考にしています。

 

【自治体名】 【都道府県】 【条例名】
長沼町 北海道 長沼町さわやか環境づくり条例
(平成17年5月1日施行)
諏訪町 長野県 諏訪市墓地等の経営の許可等に関する条例
(平成18年4月1日改正施行)
岩見沢市 北海道 岩見沢市における散骨の適正化に関する条例
(平成19年9月18日施行)
秩父市 埼玉県 秩父市環境保全条例
(平成20年12月18日施行)
御殿場市 静岡県 御殿場市散骨場の経営の許可等に関する条例
(平成21年4月1日施行)
本庄市 埼玉県 本庄市散骨場の設置等の適正化に関する条例
(平成22年4月1日施行)
松島町 宮城県 松島町環境美化の促進に関する条例
(平成22年5月28日施行)
湯河原町 神奈川県 湯河原町散骨場の経営の許可等に関する条例
(平成26年7月31日施行)
熱海市 静岡県 熱海市散骨場の経営の許可等に関する条例
(平成27年6月29日施行)
箱根町 神奈川県 箱根町散骨場の経営の許可等に関する条例
(平成27年9月28日施行)
伊東市 静岡県 伊東市散骨場等の経営の許可等に関する条例
(平成27年12月15日施行)
三島市 静岡県 三島市散骨場の経営等の許可等に関する条例
(平成30年4月1日施行)
愛南町 愛媛県 愛南町散骨事業等の適正化に関する条例
(平成30年4月1日施行)
伊佐市 鹿児島県 伊佐市環境保全及び美化推進条例
(令和2年3月23日施行)
南阿蘇村 熊本県 南阿蘇村環境美化条例
(令和2年4月1日施行)

 

あや子ん?

今ではもっと増えているかもしれませんね

散骨を禁止している自治体

 

条例で散骨を禁止し、罰則も設けています。

 

「何人も」という文言がふくまれています。

 

  • 長沼町(北海道)
    何人も、墓地以外の場所で焼骨を散布してはならない。」(11条)
  • 松島町(宮城県)
    何人もみだりに焼骨を散布してはならない。」(8条)
  • 南阿蘇村(熊本県)
    何人も、墓地以外の場所で焼骨を散布してはならない。」(8条)

 

松島町だけ「みだりに」となっていますね。

 

長沼町と南阿蘇村は墓地以外では散骨ダメ、となっています(逆に言うと、墓地内での散骨はOKということになりますね)。

 

あや子

つまり、墓苑での樹木葬などは問題ない、ということですね

 

また、長沼町と松島町には罰則がありますが、南阿蘇村については罰則規定はありません。

 

あや子ん?

南阿蘇村・・・ほのぼのした地域だし、ルール違反するような輩はいないのね

 

クロエ

守らない奴が出てきたら、厳しくなってくんだろな・・・

散骨は原則禁止の自治体

 

散骨は原則禁止ではありますが、一定の要件を満たした上で、手続きを行えば散骨の許可が下ります。

 

  • 秩父市(埼玉県)
    何人も、墓地以外の場所で焼骨を散布してはならない。ただし、市長が別に定める場合は、この限りでない。」(36条)
  • 伊佐市(鹿児島県)
    何人も、市長が別に定める場合を除き、焼骨を散布してはならない。」(12条)

 

伊佐市では、条例に違反すると罰則があります。

散骨業者に規制を設けている自治体

 

こちらは、散骨事業者に対して規制を設け、一定のルールを課した上で、散骨場の設置・経営を行う場合は許可申請を求めています。

 

  • 諏訪市(長野県)
  • 御殿場市(静岡県)
  • 本庄市(埼玉県)
  • 湯河原町(神奈川県)
  • 熱海市(静岡県)
  • 箱根町(神奈川県)
  • 伊東市(静岡県)
  • 三島市(静岡県)
  • 愛南町(愛媛県)

 

こう並べて自治体名を見ると、どこも観光産業の盛んな、風光明媚なリゾート地が多いですね。

 

クロエ

別荘地でもあるな

 

風評被害で被る経済的損失は計り知れないと、危機感を持って対処しているようです。

 

事実、散骨事業の許可基準は非常に厳しく、違反者には刑罰を設けているケースもあります。

 

どの自治体も厳しい姿勢を貫いています。

散骨に許可申請と届出を求めている自治体

 

散骨場(事業者)と、散骨行為そのものを規制する条例を設けています。

 

散骨事業者については、散骨場の経営を許可制とし、その許可申請者についても「欠格事由(資格がない人)」を定めています。

 

違反者には、罰則もあります。

 

  • 岩見沢市(北海道)

 

  • 「散骨場を経営しようとする者は、市長の許可を受けなければならない。」(3条)
  • 「散骨は、散骨場以外の区域において、これを行ってはならない。」(7条)
  • 「ただし、次条の規定による届出をした者がその届出に係る区域において散骨を行う場合は、この限りでない。」(7条の但書)
  • 「散骨場以外の区域において散骨を行おうとする者は、あらかじめ、その旨を市長に届け出なければならない。」(8条)

 

あや子

きちんと届出をして許可が下りれば、散骨が可能ということですね。

 

クロエ

でも、まあ・・・原則禁止、だな。こりゃ

要綱による規制を設けている自治体

 

ここからは、条例とまではいかなくとも、散骨に対して規制を設けているケースです。

 

七飯町(北海道)
『七飯町の葬法に関する要綱』(平成18年4月1日施行)

 

七飯町では、市長が事業者を指導し、事業者は事業計画について地域関係者に説明会を開き、書面にて承諾を得なければなりません。

 

クロエ

うん・・・OKもらうのって難しいだろな

要綱ってなに?

 

「要綱」は、条例と違って一般の人に及ぶものではなく、行政機関の内部規律です。

 

どちらかといえば「事業主に対して行政指導を行うための内部基準」ですが、これがとても厳しく、事実上、この地域での散骨事業は不可能です。

ガイドラインなどによる規制をしている自治体

 

青空に飛ぶ白い鳥の群れ

 

 

ガイドラインは、法的な強制力を持ちません。

 

ただ、これらはトラブルを未然に防ぐために作成されたものなので、遵守していなかったことが判明すれば、社会的な非難の対象となる可能性があります。

 

クロエ

SNSの時代、罰則よりも電波口コミの社会的制裁のほうが致命的かもな・・・

 

あや子

だから、このガイドラインは事業者にとっても、助かると思いますよ

熱海市の海洋散骨ガイドライン

 

熱海市では、散骨に関する条例以外にも、海への散骨に特化したガイドラインを別に定めています。

 

熱海市(静岡県)
『熱海市海洋散骨事業に関するガイドライン』平成27年7月1日策定

 

このガイドラインを作成した目的は、「市民の生活環境の保全」「漁業・観光産業の関係者とのトラブル防止」「市民や別荘所有者、観光客などが抱く熱海市のブランドイメージを損なわないため」「散骨による風評被害からの経済的影響の防止」などです。

 

このガイドラインは、『海洋散骨を行う事業者』に適用されるもので、事業者は遵守を求められています。

伊東市の海洋散骨にかかる指針

 

熱海の海岸線を南下したところのお隣、伊東市です。

 

  • 伊東市(静岡県)
    『伊東市における海洋散骨に係る指針』平成28年2月1日策定

 

指針の目的や内容は熱海市のガイドラインとほとんど同じです。

 

ただ、熱海市は事業者に向けたものでしたが、伊東市の指針は「海洋散骨を行う者および事業者に適用する」となっています。

 

クロエ

いわゆる「何人も」ってことか

 

こちらも強制力はありませんが、一人ひとりが遵守することを要請されています。

まとめ

 

ブログを書くあや子

 

厚生労働省では、有識者が集まってさまざまなテーマで話し合う会が設けられています。

 

その中には、『これからの墓地等の在り方を考える懇談会』というものもあり、散骨についても話し合われています。

 

今回は、厚労省のHPから閲覧できる『これからの墓地等の在り方を考える懇談会』報告書を参考にしました。

 

あや子

興味のある方は、厚労省HP「審議会議等」のページで検索してみてください

 

条例などで散骨を規制する動きは各自治体の間で広がっています。

 

それは取りも直さず、自分本位な考えで行われる散骨によって起こる地域周辺住民とのトラブルが目立つようになってきたから、ということがあります。

 

散骨は節度をもって行われる限り、特に問題はないとされています。

 

わたしからのアドバイスとしては、

 

  • 陸地での散骨は、寺院や墓苑の敷地内で行われる樹木葬や森林葬が安心です。
  • 海での散骨は、海洋散骨に精通した散骨業者を見つけてお願いするのが、いいでしょう。
  • あまり斬新な方法での散骨は避けたほうがよい(後々、問題視される可能性がある)

 

何の憂いもなく、心静かにお別れができるのが、何よりです。