こんにちは、三輪あや子です。
大切な家族の死に際して、そのお葬式に参列してくださる方が、故人のために弔辞を読む、というのは特別なことです。
その特別な厚意に対して、きちんと礼は尽くしたいですよね。
でも、弔辞のお礼って、どのタイミングで、何をすればいいのでしょうか?
今回は、弔辞を読んでくださった方へのお礼について、マナー的なことをご紹介します。
弔辞のお礼って必要?
そもそも弔辞や弔電(お悔やみ電報)をいただいたお礼って・・・必要なのでしょうか?
冠婚葬祭マナーの本には、弔辞の書き方や電報の出し方などは書かれているものの、いただいた側からのお礼に関しては、省略されているようです。
香典返しのお礼については100%載ってるんですけどね
電報のお礼は、差出人との関係などによって異なりますが、弔辞を読んでくださった方へは、葬儀後、改めてきちんとお礼をしましょう。
このお礼に関しては、香典返しとは別口で行います。
弔辞のお礼はいつまでにするべき?お礼の方法とは?
弔辞のお礼のタイミングですが、葬儀後1週間以内にすませます。
正式には、お礼の品を持って相手宅に届けます。
後に書いていますが、それぞれの事情によって送ってもかまいません
お葬式の後は、いろいろと忙しくしているため、うっかりすると、あっという間に時間が過ぎてしまうので、注意が必要です。
葬儀社に相談しながら、計画的に弔辞を読まれた方の住所・氏名を調べて、お礼の品の手配をしておきましょう。
弔辞のお礼を香典返しにまとめる
お香典をいただいている場合は、四十九日法要を終えた「忌明け」に、香典返しにプラスして弔辞のお礼とする方法もあります。
ただし、期間があくので、お礼状だけは葬儀後すぐに出しておきます。
即日返しの場合
今は、香典をいただいたその場で、香典返しを手渡す『即日返し』が増えています。
即日返しを行っている場合は、忌明けの香典返しはしません。
そのため、弔辞のお礼は別に行います。
ただし!
弔辞を読んでくださる方というのは、故人とのお付き合いが深い方なので、おそらく他の方よりも香典が多いかもしれません。
香典が通常より多く包まれている場合は、即日返しを行っていても、忌明け後に改めて、その金額に見合った香典返しをします。
その香典返しに、弔辞のお礼を上乗せした品物をお渡しするといいと思います。
この場合も、お礼状だけは先に出しておいてね
弔辞のお礼の品は、どこで買う?
葬儀後のあわただしい中、お礼の品物の購入先として、次の3つを利用する方が多いようです。
- 百貨店(デパート)
- 葬儀社のギフト
- ネットのギフトショップ
百貨店(デパート)
弔辞のお礼の品は、百貨店(デパート)で選ぶと、贈答に関する知識も用意もあり、間違いがありません。
百貨店は、格式という点でも、あらゆる世代に万能です。
同じ百貨店でも、老舗(しにせ)といわれる店を選べば、それだけで好感度が高まります。
けっこう、見てますからね。
どこの百貨店の包装紙なのか・・・とか
葬儀社のギフト部門を頼る
互助会か中規模以上の葬儀社でお葬式をされた場合、ギフトを扱っていることが多いので、そちらに依頼しておくのもいいでしょう。
いそがしい葬儀中でも、「弔事の方へお礼の品を贈りたい」ということを司会者か直接担当者へ伝えるだけで、手配準備を整えてくれます。
葬儀後に自分で手配するより、確実です。
インターネットのギフトショップを利用
葬儀後に自分で手配をしようと思ったものの、お店に出向く時間がない場合は、インターネットのギフト専門サイトなどが便利です。
ギフト専門サイトにもいろいろとあります。
お葬式関連の贈り物について詳しく書かれてあったり、取り扱いに慣れていそうなところを選ぶのがポイントです。
のし紙の表書きはどう書けばいい?
のし紙といっても、弔事に「のし」は付けません。
なので、結びきり水引の「かけ紙」ですね。
かけ紙には、上部に「御礼」と記します。
下部には「喪主の氏名」を記します。
お香典をいただいている場合は、四十九日法要を終えた忌明けに、香典返しにプラスする形で品物を届けるケースもあります。
その場合、かけ紙の上部は「志」とします。
関西の一部では、黄白の水引で「満中陰志」だね
こうした決まり事は、商品を購入したお店(百貨店など)に相談すれば、恥をかかないように準備してくれます。
また、お葬式をした葬儀社に聞けば、その土地の慣習を教えてもらえます。
つまり、実家から離れた地域に暮らす方が、帰宅後に返礼品の手配する場合は、ちょっと気をつけたほうがいいかもしれませんね。
しきたりって、土地によって違うしなぁ
弔辞のお礼にふさわしくない物とは?
弔辞のお礼の品物を選ぶとき、感謝の気持ちが強いほど、高価なものを選びたくなるものですが、物事には適切と不適切があります。
何がいいかは人それぞれですが、ここでは避けたほうがいい品物をチェックしておきたいと思います。
高額だからいいワケでもない!?
弔辞のお礼としては、あまり高額なものよりは、お菓子の詰合わせや、ちょっとステキな品物などを選ぶと、相手も気を遣わないで受け取ることができます。
相手の好みがよくわからない場合は、香典返しなど弔事の返礼品として定番の「消えてなくなる物(=食品)」が無難です。
食品を贈るなら、「相手は人生経験豊かで舌の肥えた方」という認識で、品質の良いものを選ぶのが、ポイントです。
同じ高額でも「消え物」であれば、気兼ねなく受け取ってもらえるみたいです
商品券は避けたほうがいい?
特別な厚意に対しての感謝の気持ちなので、金券(商品券)を返すのは、弔辞のお礼にはふさわしくありません。
相手の厚意に値段を付けるような、無粋な結果になりかねません。
「好みがわからないし、相手が利用しやすいほうが・・・」という親切心はこの場合、裏目に出てしまうので要注意です。
商品券など、お金に換算できる品は避けましょう。
弔辞はプライスレス♥
マナーの本の中には、葬儀でお世話になった方へのお礼として、金封を渡すことも書かれていますが、弔辞をいただいた方へのお礼としては、おすすめしません。
カタログギフトは善し悪し!?
最近はお礼の品として、カタログギフトを選ぶ方も増えてきています。
贈られた側が、それぞれ好みに合った品物を選べることで高い需要がありますよね。
ところが、高齢の方の中には、カタログを見ているだけで疲れて、選びきれず放置するケースも、実は少なくありません。
また、カタログギフトに新鮮さがなくなった今、年代や考え方によっては、「手抜きをしている」「心がこもっていない」という印象を持つ方もいることは、念頭に置いておいたほうがいいようです。
【お礼の品選びのポイント】
- 高額なものは避ける
- 商品券などは避ける
- 感謝のしるしとなる品を選ぶ
弔辞のお礼の品を宅配するのはダメってホント!?
弔辞のお礼は、その方に直接会って、お礼の言葉とともに品物を手渡すのが基本です。
でも、宅配がダメってわけでもないですよ
現在は、必ずしも訪問しなければならないということもなく、どのようにお礼の気持ちを届けるかは、ケースバイケースです。
こちらから弔辞を依頼した方へのお礼の場合
こちらから弔辞をお願いしたような場合は、特に遠方の方でなければ、訪問してのお礼がふさわしいでしょう。
葬儀後、品物を用意し、弔辞を読んでくださった方にまず連絡します(アポイントメントは必須です)。
お礼にうかがいたい旨を伝え、訪問日時の約束をします(これを葬儀後、1週間以内に行います)。
この時、訪問を遠慮されたり、どうしても相手の都合がつかない場合は、すみやかに礼状を添えて配送手配をします。
つまり、相手しだい、ってことか
そうですね。とりあえず訪問する際は、会社であれ自宅であれ、必ずアポを取りましょう。
自主的に弔辞を読んでくれた方へのお礼
ご自分から「弔辞を読ませてもらえませんか」と言ってこられた方へも葬儀後、改めてお礼はします。
やはり、訪問してお礼の品をお渡しするのが基本ですが、品物にお礼状を添えて配送するのでもかまいません。
また、場合によっては、感謝の気持ちをつづったお礼状のみを送ることもあります。
仮に、遺族がよく知らない人だった場合でも、軽く扱うのは違います。
遺族が知らないだけで、わざわざ自分から弔辞を用意して参列してくださったということは、それだけ故人との交流が深かった方、と考えたほうがいいでしょう。
こちらが頼んだわけでなくても、弔辞をくださった方の住所・氏名は確認しておいてくださいね
司会者に言っとけば、聞いてくれる
お礼状は絶対に必要?
お礼状は、本人に直接会ってお礼が言えない時などに、添えます。
本人に会えるなら、必要ありません。
ただ、相手宅や勤務先へうかがっても、本人と会えない可能性がある場合や、どなたかにお礼の品を預ける場合などには、お礼状を添えます。
現在は、昔ほど訪問してのお礼にこだわる方は少なくなっていますが、「本来は・・・」という慣習は常に意識しておいたほうがいいと思います。
そのため、お葬式の場では「本来であれば~~~するべきところを~~~で、おゆるし下さい」という言葉をよく使います。
弔辞のお礼状(挨拶文)の書き方とは?
お礼の品を、弔辞を読んでくださった本人に手渡すのであれば、特にお礼状は必要ありません。
宅配で送ったり、本人に会えないような場合には、お礼状を添えます。
こういうお礼の挨拶文って、どう書けばいいのでしょうか?
お礼の挨拶文の書き方
お礼状の書き方には形式というものはありますが、それを踏まえながらも、自分らしい言葉で感謝の気持ちを伝えることが大切です。
弔辞や供養品をいただいたことへのお礼の手紙は、次のような構成で書いてみてください。
【挨拶文の構成】
前文 |
|
---|---|
主文 |
これらの内容をふくめて、自由に書く |
末文 |
|
後付け |
|
もう少し具体的な書き方としては、次のような順と内容になります
【お礼の挨拶文の書き方ガイド】
- お葬式に来ていただいたことへの感謝
- 弔辞をいただいたことへの感謝の気持ち
- 故人の生前に親しくお付き合いいただいたことへのお礼
- 故人に代わっての感謝の言葉
- 今後のご厚誼(親しいお付き合い)を願う言葉
- 感謝の気持ちとして品物を送ること
- 本来は、直接会ってお礼を伝えるべきところを、書面で失礼することへのおわびの言葉
こういった内容と順で文章を書くと、形式にのっとったお礼の挨拶文が完成します。
お礼状の挨拶文サンプル
短いですが、「前文」「主文」「末文」「後付け」という流れで書いたお礼状です。
お礼のお手紙のみを送るバージョンです
謹啓 過日の祖父△△△治の葬儀に際しましては ご多用中にもかかわりませず ご会葬いただき その上ご丁重な弔辞を賜り 厚く御礼申し上げます
幼馴染みの△△子様に お心のこもった弔辞をいただいて 祖父の喜ぶ顔が目に浮かぶようでした
亡祖父になりかわりまして 生前賜りましたご厚情に感謝申し上げますとともに 今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
本来ならばお目にかかって御礼申し上げるべきところですが 略儀ながら書状をもちましてご挨拶申し上げます
謹言
令和△△年◇◇月△△日
◇◇◇◇彦
山田△△子様
これは横書きですが、
実際は縦書きに仕上げます。
※もともと日本の手紙は句読点を使わなかったので、儀礼的な手紙ではその様式を用いることが多いです。
弔辞のお礼状で注意したい5つのポイントとは?
弔辞のお礼状を書くにあたっての注意点をまとめてみました。
- 縦書きが基本
- 形式にとらわれすぎず自分らしい言葉で書く
- 印刷よりも自筆で
- 白い便せんならOK
- 切手は落ち着いたデザインの物を使用
- メールでのお礼はNG
奉書紙に薄墨で書く礼状が正式ですが、今は簡略化もゆるされます。
むしろ、そっちのほうが多いと思うナ
また、字を書くのが苦手な方も、ゆっくりていねいに文字を書くことで、感謝の気持ちは伝わります。
ワープロで書いた手紙は、かえってマイナス印象を持たれる可能性があるので、ぜひ自筆で書きましょう。
達筆である必要はありません
弔辞のお礼状を書くときは、マナー本や百貨店などの挨拶例文を参考にすると、書きやすいと思います。
香典返し用の挨拶文に、弔辞のお礼を加筆するアレンジもOKです。
自分らしい言葉を選び、ていねいに感謝の気持ちをつづることで、よりいっそう心が伝わる手紙となるでしょう。
相手の方も、しみじみと読み返してくださるのではないでしょうか。
どうしても、自筆に自信がない場合は、代筆屋さんに依頼することもできます。
オンライン取材 最短24時間以内にお届け! >>葬儀挨拶代筆店公式サイト ある日、 親族や友人知人の訃報とともに、告別式での弔辞をお願いされたら? だれもが、一瞬、息を詰めると思 …
まとめ
今回は、弔辞をいただいた後の、お礼に関してまとめてみました。
お葬式を準備するということは、とてもあわただしく、ついつい礼を欠くことが多いのが、葬儀で場です。
ただ、葬儀の場だからこそ、皆が寛容に受け止めてくれます。
それでも、何か特別なことをしていただいた場合は、きちんとお礼はしておきたいものですよね。
弔辞を読んでくださった方へのお礼は、葬儀後1週間以内に礼状を添えて配送、もしくは訪問してお渡ししましょう。
香典をいただいていれば、香典返しに上乗せして、配送することもできます。
その場合、弔辞のお礼状だけは先に出して、香典返しの礼状にも、一筆弔辞のお礼を書き添えておくようにしましょう。
葬儀社の担当者に質問すれば、いろいろと最近の傾向などもあわせて、アドバイスしてもらえます。
葬儀は自分1人で何もかもこなすのではなく、使える人材は大いに使って、周りの知恵を借りて、のりきってくださいね。