こんにちは、三輪あや子です
お葬式にはトラブルが多いと聞きますが、大切な家族のお葬式で、そんなトラブルなんて起こってほしくありませんよね。
ところが、年間600件以上ものトラブル相談が、国民生活センターには寄せられているそうです。
いったい、どういった内容のトラブルが起こっているのでしょうか。
ここでは、実際に起こった葬儀トラブルを参考に、「なにが」「どうして」「そうなったのか」を一つひとつ検証してみます。
そして、こういったトラブルを「どうすれば、防ぐことができたのか」を、考えてみたいと思います。
葬儀トラブル「家族葬を希望したのに150万の高額請求!」だった件
今回、検証する事例は、
「家族葬をするつもりだったのに、すべて終わってみれば150万円の請求書が届いた」という葬儀トラブルです。
国民生活センターに集められたトラブル相談の中の一つなのですが、よくあるトラブル例として、ピックアップしてみました。
実際にどういう経緯でトラブルに発展したのか、確認してみたいと思います。
こちらが相談の内容でした
「入院中の父が突然死亡し、病院から父の搬送を促され、葬儀社を紹介された。
葬儀社に「住んでいる集合住宅のエレベーターにストレッチャーが入らないので、搬送費用は高くなるが、葬儀を 契約すれば葬儀費用を 80 万円にする」と説明されたので、契約をした。
葬儀の打ち合わせで「家族葬を希望している」と伝えたが、葬儀社からは司会や通夜ぶるまい等の追加サービスについて説明 されたものの、おろおろして総額もわからないままに了承した。
見積書を渡されたが、金額が記載されていなかった。
葬儀後、約 150 万円の請求をされたが、説明されていない項目の記載もあり納得できない。 」
(2015年7月受付、40歳代、男性、給与生活者、東京都)
この相談から読み取れる状況をまとめると、こうなります。
- 病院からの紹介で葬儀社に連絡した
- 自宅へ故人を搬送したが、部屋までストレッチャーで運べなかった
- 搬送費が高額になるが、葬儀も当社で行うなら葬儀費用は80万円にすると言われた
同社に葬儀を依頼(契約)した
- 家族葬を希望した
- 追加サービスを依頼(総額の認識なし)
- 見積書には金額の記載なし
葬儀後の請求金額は約150万円(説明されていない項目あり)
納得がいかず、国民生活センターへ相談
こういうことですね?
2015年の相談なので、今はすでに解決済みのことだとは思いますが、まずはお悔やみを申し上げます。
そして、もろもろの出来事でのご心痛いかばかりであったかと、同情を禁じ得ません。
ですが、多くの方が同じようなトラブルに見舞われることから、この相談者の案件を私的に検証してみたいと思います。
学ばせていただきます
葬儀トラブルを検証!高額請求は果たしてぼったくりだったのか!?
こういうときは、ついつい相談者側に感情移入してしまうのですが、ここでは双方の視点から、考えていきます。
まずは、この部分からです。
葬儀社に『住んでいる集合住宅のエレベーターにストレッチャーが入らないので、搬送費用は高くなるが、葬儀を 契約すれば葬儀費用を 80 万円にする』と説明されたので、契約をした。
では、この葬儀費用80万円の内訳について考えていきますが、その前に、葬儀にかかる基本的な費用というものを、大まかにチェックしていきます。
【葬儀費用】亡くなった方の搬送費用
まず、亡くなった方の移送(搬送)費は、社員が出勤している時間帯(昼間)の移動で10キロ圏内であれば、1回(片道)約25,000~4万円ほどです。
これが、夜間になると、1万円程度の割増料金となります。
次に、自宅玄関までストレッチャーのまま行けない場合は、さらに状況次第で料金が割増しされます。
この移送費用は、自分で何とかしない限り、必ずかかる費用です。
【亡くなった方の移送費】
- 平均2.5~4万円
- 10キロ圏内を越えると過料
- 夜間割増し料金あり
- その他(オプション追加料)
移送にまつわる、
こんな「こぼれ話」がありました
ある葬儀会社のK社長は、まだ若い頃、亡くなった方を背負って県営住宅の階段を5階までのぼったそうです。
それを聞いたわたしが「ひ、ひぇ・・・」と青ざめていると、すごみのある悪役顔で
「しゃーないやないか。ほかに方法があらへんのやから」
と、おっしゃいました。
やはり、エレベーターもなく、階段も幅が狭い上に天井も低かったため、ストレッチャーに固定して上げるわけにもいかなかったようです。
意識のない大人をおんぶして運ぶのもグンニャリしていて難しいですが、亡くなって時間が経ち、硬直している人の体というのは、凍った丸太を背負うようなものだったそうです。
結局はタスキのようなものでくくりつけて、なんとか一歩一歩階段を上がったようですが、かなり苦労したとのことでした。
故人は長い闘病生活でがりがりに痩せていらしたけど、とてつもなく重かったそうです。
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このように、居住宅が狭くても、路地裏であろうと、葬儀屋さんは、なんとしてでもお葬式のために行動してくれます。
ただ、こういう特別なサービスには、やはりそれなりの対価が求められます。
そのことは、利用者側としても理解しておいたほうがいいと思います。
K社長のダイレクトでダイナミックな表現を、
かなりマイルドに整えて、ご紹介いたしました
【葬儀費用】式場の費用
葬儀会館を借りた場合、式場利用料は通夜と葬儀の両日で10~15万円程度です。
これに、控え室などの料金も3~5万円かかります。
借りる式場の大きさによって値段は変わります
居住地の自治会館や公民館などを借りた場合は、全館貸し切りとなるので、やはり十数万円かかるでしょう。
集合住宅に併設された集会所などの場合は、住人の利用なら無料か、有料であってもさほど高額ではないと思います。
ただし、自宅にしろ集会所にしろ、葬儀社からその場所まで、葬儀道具一式を運ばなければなりません。
作業する人材も必要となり、発電機や音響機器、仏具、祭壇やくじら幕(白黒のストライプの幕)など、必要なもの一切合切をトラック数台に積み込んでの出張サービスとなるので、出張費用はかかります。
この出張費および設営費などは「自宅葬セット」というような名目で請求書にあると思います。
でも、自宅でするなら、
ホール葬より安あがり、だけどな
さて、相談者の方は集合住宅にお住まいとのことなので、お葬式はおそらく階下の集会所のようなところで行なったのではないかと推測します。
ただ、集会所を借りる手はずが整っていないため、いったん自宅へ搬送せざるを得なかったのかもしれません。
葬儀会館で行うつもりであれば、
最初からそちらへ搬送されていたと思うので・・・
そうなると、改めて集会所を借りる手続きをして、集会所に祭壇をセットし、葬儀式場として整えます。
その後、ふたたび故人を、自宅からこの集会所まで移送します。
その後、式場にて納棺です。
この課程が無料サービスとは思えないので、この分も何らかの名目で加算されていると思います。
移送費用を基本料金で納めるには、病院から式場への直行ルートを選択することです。
この方のケースでは、仮に病院から集会所を借りられる手配をすませていれば、もしかすると、お父様はいったん自宅へ帰宅するのではなく、そのまま集会所の控え室などに安置できたかもしれません。
それだけでも、数万円分の費用は抑えられたと思います。
80万円の葬儀費用について
病院から紹介された葬儀社ということですので、一般価格での契約だったと思います。
それでも、葬儀社側が「搬送費用は高くなるが、葬儀を契約すれば葬儀費用を80万円にする」と言ったということは、おそらく、それがこの相談者にとっての割安なセットプランの提示だったのかもしれません。
仮にプランなどなかったとしても、とりあえず80万円で準備する、ということを言っているので
仮に会員だったとすれば、
このプランで金額は40~60万円のスタンダードなものだったかと思われます。
会員は生前契約なので、その特典として、2~5割ほど割り引いた会員価格で利用できるようになっています
高いか安いかはひとまず脇に置いておき、
こういったセットプランには、納棺や祭壇、役所や火葬場の手続き代行をはじめ、基本的なサービスがいろいろとふくまれています。
その中には、亡くなった方の搬送(基本搬送1回分)も当然入っています。
ただ、この相談者のケースでは、規定外の搬送のため、追加費用が発生しています。
すると、
「相談者の搬送費(高額)」-「基本の搬送費(1回分)」
という計算で、提示された80万円にさっそく追加費用が加算されているはずです。
セットプランには、棺や骨つぼ、霊柩車、式場スタッフ、後祭り祭壇(自宅にセットする祭壇)などの、わかりやすいものから、
納棺するための用具や、故人の体を保護するドライアイス(冷却剤)、保護シートや布団など、目に触れない部分に使用されるもの、すべてがふくまれています。
腐敗を防ぐために使用する特殊な材料は、どれも高額です。
特に医療現場や警察などでも使われる衛生にかかわる物品は、一般人では入手が困難なものばかりです。
こういったものを単品で注文したとすると、とてつもなく高額になってしまうので、どこの葬儀社も基本的なものは祭壇(規模)と抱き合わせで、セット価格にしているところがほとんどです。
この相談者のケースも、そういう事情で葬儀社側がさっと計算して「80万円にしておく」という提案をしたのかな、と考えます。
家族葬を希望したのに・・・高額請求!?
相談内容の中に、
「葬儀の打ち合わせで『家族葬を希望している』と伝えたが・・・」
とありました。
この相談内容(文面)からの判断にすぎませんが、サッと内容を読んで、わたしは次のように思いました。
相談者が「できるだけお金をかけない方向で」という意味で「家族葬」という言葉を使ったとすれば、いったん集合住宅の自宅へ、亡くなったお父様といっしょに帰宅している時点で、家族葬はむずかしいんじゃないかな、と感じました。
自宅、しかも集合住宅に寝台車で帰宅するということは、亡くなったことを周り中に知らせていることになるからです。
「家族葬=低価格のお葬式」ではなく、少人数で行うために、必然的に費用がかからないというだけの話です。
周知してしまっては、ダメなんです。
家族葬が難しいと感じたその理由とは
いったん集合住宅の自宅へ移送したという、この相談内容を読んだとき、参列者の人数のことが頭をよぎりました。
独身者向けのワンルームマンションでない限り、集合住宅で生活するということは、ある程度、近隣の方とのお付き合いは大事にされていたのではないでしょうか。
ましてや、そこがお父様の自宅であった場合、長年暮らしていればそれなりに顔も広く、いろいろな住人同士の活動にも参加されていた可能性もありますよね。
当然、入院生活をされていることも、みな知っていたはずです。
それが、ある日、葬儀屋さんのストレッチャーに乗せられて、帰ってくるのです。
お父様が自宅へ戻った時点で、亡くなったことは周囲に知れ渡ります。
だれかが自治会長に連絡をし、通夜・お葬式の日時などの確認をした後、すみやかに訃報が回ります。
すると、顔見知りの方は通夜に駆けつけますし、翌日のお葬式には、さらに訃報を知った多くの友人・知人が最後のお別れに参列される、と考えたほうが自然です。
仮に、自治会などを通じて「家族のみで執り行う」という通達をしたとしても、2015年当時では、すんなりと受け入れられたとは思えません。
年配の方々の常識からすれば、すぐ目の前でお葬式が行われていて、お悔やみに行かない、などという考えはなかったと思います。
ともすれば、葬儀屋さんが準備をしている段階から、気もそぞろで、代わる代わる様子をうかがいつつ、口コミネットワークでお葬式情報が拡散していった可能性は大いにあります。
こうなると、家族葬ではなく、立派な一般葬です。
80万円から倍近くにふくれあがった金額が、そのことを裏付けているように思えました。
仮に、自宅からふたたび葬儀会館へ移動したとしても、(多少、参列者数は減るかもしれませんが)同じことです。
お葬式不要論などもメディアに取り沙汰されて、家族葬という形式が世間に浸透していった頃でもありますが、感情的に受け入れられるほど一般的でもなかったと思います。
家族葬とは、むやみにお金のかかるお葬式を改め、本当に親しい家族・友人知人だけの少人数でのお葬式の提案でもありました。
その考えに共感する人が多かったのも、だれもがその時代のスタンダードなお葬式の形に疑問を感じていたからだと思います。
また、少人数のお葬式であれば、その分、かかる費用も減少します。
つまり、お葬式の費用が安くなる、ということです。
でもね・・・
逆に、家族葬であっても参列者が多ければ、費用はふくれ上がっていくものですし、趣向を凝らしたお葬式を行えば、高額な葬儀費用となります。
家族葬=安価な葬儀、というのは誤解です。
で?・・・この状況を葬儀社側から考えてみると?
ん?それは・・・多分、こんな感じかなぁ~
そのとき、葬儀屋さんは何をどう考えたか?
葬儀社にとって、喪家が家族葬を希望したとして、実際はどうなのか、というところを見極めるのも仕事のうちです。
そこを見誤ると、なんとも言えない失態だらけのお葬式となってしまいます。
参列者に渡すべき供養品が品切れしたり、席が用意できなかったりと、さまざまな面で礼を失する事態を招きかねません。
スタッフもてんてこ舞いで、儀式はドタバタと落ち着きのないものとなってしまうでしょう。
見てきたみたいに、言うね?
実際に、見てるからね。
よくあるのよ・・・
大は小を兼ねても、
小が大を兼ねることは、むずかしいのです。
結果、
近所Aさん「○○さんの時のお葬式は、しんどかったなぁ・・・」
近所Bさん「ああ、立ちっぱなしでな。葬儀屋も、なんでもうちょっと椅子用意しとかへんのやろなぁ、見たらわかるやろうに」
近所Cさん「受付でもな、なんや供養品が足らんかったみたいやで。あとで配るとか言うてたけど、あんなん初めてやで。手際悪い葬儀屋やったな」
と、良くない記憶は、後々まで語り継がれてしまいます。
葬儀屋さんの評判も悪くなるよね
うん、悪い口コミって広がるの速いし、印象に残っちゃうしね
このようなことが経験則としてあるため、葬儀社側も慎重になります。
以上のことを踏まえて、
葬儀屋さんの立場からすると・・・
葬儀社側からの意見(あくまで推測)
集合住宅にご遺体を搬送した時点で、
喪家から「家族葬を希望します」と言われても、いざ式が始まってみると次々と参列者が増えていくだろうことは予想できます。
そうなると家族葬ではなく、実態はまさかの立派な一般葬です。
相談者が希望を口にしたとき、もしかすると葬儀社側はこのような質問をしたかもしれません。
葬儀社側「仮にご近所の方がお参りに来られた場合は、どうされますか?お断りしますか?」
それに対し、相談者が
相談者「あ、それは・・・べつにお参りしてもらってかまいません」
と、返事していたなら?
なおさら、「あ、これは家族葬で準備したら、大変なことになるな」とプランの再組み替えを頭の中で行ったかもしれません。
葬儀社側が一番困るのは、
家族葬と言いつつ、開式してみれば多数の参列者があって、実際は一般葬の規模だった、というパターンです。
葬儀会館で行うお葬式なら、まだ対処可能なことでも、自宅や集会所など、出先ではどうすることもできず、取り返しがつかなくなる、ということもあります。
ふ~ん、そうなんだぁ
あくまでも想像なんだけど、葬儀屋さんとすれば、こんな感じだったんじゃないかな?
追加サービスで費用が高額に・・・
相談内容の中に、
「葬儀社からは司会や通夜ぶるまい等の追加サービスについて説明 されたものの、おろおろして総額もわからないままに了承した。」
とありました。
追加サービスって、どういうものだったのか、要・不要などもふくめてチェックしてみますね。
司会者は不要?
司会は、式をとどこおりなく進行する役割を担っているので、必要です。
僧侶や斎主などと、式の流れについて打ち合わせを行い、焼香などの案内をするタイミングや弔電(お悔やみ電報)を紹介するタイミングなどを確認したりします。
そのほか、火葬場の予約時間に間に合うように、開式から閉式、出棺までの時間調整などを担います。
また、式場スタッフ(お世話係)も重要です。
式場スタッフは、式場のセッティングや式中の案内や補助、弔問客へのお茶だしなどの接待、式前後の清掃などを行います。
それ以外にも、僧侶などが来られた際に、仏具を預かり、祭壇前にセッティングを行ったり、七条袈裟(しちじょうげさ)を身につけるお手伝いなどもします。
司会は1名、式場スタッフは2名が通常です。
葬儀会館であれば、
小さなお葬式には司会1名と式場スタッフ1名ということもあります。
いずれにしても、司会も式場スタッフも欠かすことができません。
ただ、わたしがこの相談内容を読んだとき、葬儀費用80万円の中に司会と式場スタッフはふくまれてなかったんだな、とは思いました。
会員でこの値段なら、式場スタッフだけでなく司会もふくまれていたと思います
司会料金は、葬儀社によってさまざまですが、通夜・本葬それぞれ約3~5万円といったところです。
式場スタッフも通夜・本葬それぞれで1人あたり約2~3万円です。
それ以外にも、火葬場でのお世話係、葬儀のあと初七日法要を行う際のお世話係など、場面ごとに約1~2万円程度の追加料金が必要になります。
人件費は地域によって違います。
夜に行う通夜や、葬儀という特殊な場面での人件費は、それなりに高額ですね
その他の追加サービス
あとの追加サービスについてですが、
通夜ぶるまいを用意するとなれば1人前で1,500~2,000円となりますので、親族や友人などの人数が多ければ、それだけ金額は増します。
ただ、都会を中心に、一般葬であっても通夜ぶるまいは「親族のみ」というケースが増えてきています。
通夜ぶるまいでは、寿司桶やオードブルなどを用意することが多いです
また、祭壇のそばに並べている供花や供物もわりと高額です。
シンプルなもので、1つ15,000円~というところが多いですし、華やかな供花なら、6~12万円ほどするものもありますね。
供花や供物の代金は、その場で支払いを済ませていない場合は、葬儀費用とまとめて一括請求となるので、
親族が注文してくれたときには、その代金を回収しておく必要があります。
葬儀屋さんが領収書をつくってくれるので、それと引き換えに代金を受け取っておくといいですよ
葬儀会館でのお葬式なら、
供花・供物の注文者が直接、事務所で支払うことも可能です。
そのほかのオプション(追加サービス)としては、貸衣装や着付けのサービス、精進落とし(料理)、火葬場へのバスやタクシーなどがあります。
必要ならば注文しなければいけませんが、どれもそれなりの金額がかかります。
葬儀の見積書に金額が書かれていなかった件・・・確信犯!?
相談内容に書かれていた
「見積書を渡されたが、金額が記載されていなかった。」
という部分についてですが、これは問題だと思います。
今では、多くの葬儀社が、打ち合わせの段階で、見積書を提示するようになっています。
ただ、葬儀は、進行形でサービスが追加されたり、通夜が終わった時点、葬儀が終わった時点で金額が確定する項目も多々あります。
この相談者の見積書が、どの部分、どの程度、金額が書かれていなかったのかはわかりませんが、ほとんど白紙であれば、悪質だと思います。
決定した追加サービスの単価ぐらいは、書いてほしいですね。
とりあえず、ちょっと見ていきましょうか
おそらく、葬儀社側が提示した80万円以外の部分というのは、追加サービスにあたります。
不確定な部分なので、正確な金額を割り出すことは打ち合わせの段階ではできません。
・・・なんで?
例えば、供花・供物などのように後から発注されるものもあります。
供花とは祭壇の横に並べられるお花のことです
供物は果物や缶詰などの盛りかご、ですね
また、料理や供養品のように、
葬儀が終了した後に改めて計算されるものも多いので、見積り金額を記すことは難しい面もあります。
打ち合わせのときに、決めかねて後回しにした項目などに関しては、空欄にしておくこともあります。
また、単価が空欄となっているのは、
注文するランクによって単価が変わるから、という理由もあります。
ただ、これも打ち合わせで何を注文するのかを決定していれば、記入されるはずです。
それが書かれていないのは、葬儀社側に問題あり、です
逆にいえば、
打ち合わせの時に「う~ん・・・」と悩んで、決めかねた場合は、空欄のままとなります。
見積書に金額(単価)がなくても、それぞれがいくらなのか聞けば答えてくれます。
単価がわかれば、自分でも、ある程度の見積り計算は可能かと思います。
めんどうだと思えば、
「確定している金額だけで、今いくら?」とたずねてみるのもいいかもしれません。
葬儀担当者が持っている見積書類は、追加サービスがあれば、しっかりと更新されているので、現時点で、いくらなのかは判明します。
葬儀費用の請求額、約150万円はぼったくり?
この請求金額がぼったくり・・・つまり、法外な請求だったのでしょうか?
とりあえず大前提として、
葬儀費用の請求金額、約150万円の中に、火葬料や僧侶へのお布施などがふくまれていない、とします。
これらは、葬儀社の収益には無関係ですのでね
この相談者のお葬式が、実際はどのようなものであったのかわからないのですが、このように思いました。
本当に少人数だった場合
仮に、親族や知人を合わせても15人以下の参列だったとすれば、
割引が適用されない一般価格で、ご遺体の搬送に特別料金がかかったとしても、約150万円の葬儀費用はかなり高額に感じます。
ぼったくり、と言われても文句は言えないと思います。
むしろ、どういう内訳なのか興味がわいてきます。
み、見て納得できたら、どうしよ・・・
大勢の参列者があった場合
一方、ここまでつらつらと憶測を重ねてきたように、お父様のお葬式に大勢の方がお参りされたのであれば、この金額もあり得るかな、とは思います。
親族の人数は?
一般参列者の人数は?
香典は受け取った?
お香典を受け付けたのであれば、
葬儀費用の一部として使えますが、四十九日の忌明け後の香典返し(満中陰志)が必要です。
現在は、香典返しなどを、お香典を受け取ったその場で渡す「即返し」も増えてしますが、相談者がその方法を選ばれたのであれば、葬儀費用の中に加算されていたと思います。
いずれにしてもお金はかかるので、
やはり参列者の人数によって、葬儀費用は大きく変化する、ということになります。
結論として、
15人以下のお葬式なら、ぼったくり。
30人以上のお葬式なら、妥当かも。
ただし、じゃっかん高いような気もする、というところでしょうか。
どうすれば、葬儀トラブルは防げたのか?
結局、この相談者は、どうすればよかったのでしょうか?
その前に、もう一度、相談内容を確認しておきます。
入院中の父が突然死亡し、病院から遺体搬送を促され、葬儀社を紹介された。
葬儀社に「住んでいる集合住宅のエレベーターにストレッチャーが入らないので、搬送費用は高くなるが、葬儀を 契約すれば葬儀費用を 80 万円にする」と説明されたので、契約をした。
葬儀の打ち合わせで「家族葬を希望している」と伝えたが、葬儀社からは司会や通夜ぶるまい等の追加サービスについて説明 されたものの、おろおろして総額もわからないままに了承した。
見積書を渡されたが、金額が記載されていなかった。
葬儀後、約 150 万円の請求をされたが、説明されていない項目の記載もあり納得できない。
(2015年7月受付、40歳代、男性、給与生活者、東京都)
国民生活センターより引用
40歳代というのは、喪主になるには早すぎる年代ですよね。
うろたえて当然だと思います。
時間が巻き戻せたとしたら、このようにアドバイスしたいと思います。
心を鬼にして、葬儀社をさがす
まず、お父様が入院されて、容態が悪化した時点で、(その行動が無駄になることを祈りながら)葬儀社を探し始めてください。
難しいことは重々承知していますが、感情をコントロールして、すぐに行動を起こすことが大切です。
心が拒否するってのは、わかるよ。
それは、みんな、おんなじ
今はスマホがあれば、手の中で情報を集めることが可能です。
身内だけのお葬式を希望されていたのであれば、家族葬などをメインに扱う葬儀社を探したほうがいいですね。
となると、近隣でホームページを持っている中規模葬儀社が適切です。
わからなければ、葬儀社のマッチングサイト(紹介サイト)などを利用するのも一つの手段です。
条件を打ち込めば、周辺にある葬儀社をいくつかピックアップしてくれます。
指がふるえるほど心が乱れているなら、24時間対応のオペレーターに直接、相談して決めていくのも、かえって心強いと思います。
葬儀社も24時間対応になっていますよ
シフトでお泊まりしてるよね。
出せる金額をはっきりさせる
葬儀費用のトラブルをさける方法ですが、
「家族葬」などとあいまいな言葉を用いず、「お金がないので、できるだけシンプルにしたい」とはっきりと事情を説明すると、葬儀社側も提案しやすいと思います。
あるいは、その葬儀に「葬儀費用として、いくらまでなら出せるが、それ以上は無理。できるだけ簡素で行いたい」という意思表示でもかまいません。
ただし、相場というものもあるので、それを踏まえて担当者とよく話し合う必要があります。
そうやって、できるだけ意に沿ったお葬式を行ってくれる葬儀社を選べば、今回のようなトラブルに発展することは、ある程度、防げたかと考えます。
この相談者のように、病院から葬儀社を選ぶときの注意点については、こちらの記事を参考にしてみてください。
まとめ
今回は、お葬儀にまつわるトラブルについて、表から裏から、いろいろと検証してみましたが、いかがでしたでしょうか?
多少なりとも参考になれば、うれしいです。
トラブルには未然に防ぐことができるものと、そうでないものとがあります。
国民生活センターなどに持ち込まれる葬儀トラブルなどを見ると、前もって調べてさえいれば、回避できるものがほとんどです。
やはり、一番の予防対策は「転ばぬ先の杖」ですね。
何も起こっていない今、
平常の今だからこそ、冷静にいろいろと調べる時間があります。
各葬儀社のサービス内容、価格などを、納得いくまで比較検討することができます。
ということで、
ぜひ、今から下調べを始めてくださいね。