海を見つめる女性

 

 

あや子

こんにちは、三輪あや子です

 

これまでは先祖代々のお墓に入るのが当然とされてきましたが、今はそれぞれの考え方で供養の形を希望し、それが尊重されるようにもなってきました。

 

その中で、海への散骨(海洋葬)を選ぶ方が増えています。

 

ただ、遺志に従って散骨したものの、果たしてそれがよかったのかと、悩まれる方がいらっしゃることも事実です。

 

今回は、そんな海洋葬のメリット・デメリットなどをまとめてみました。

海への散骨【海洋葬】とは?

 

散骨の一種である海洋葬(海での散骨)は、火葬後の遺骨を粉骨加工し、海に撒く供養法です。

 

自然回帰の考え方から、「海に溶け込み地球に還る」という壮大なイメージをともなって、お墓よりも海での散骨を希望される方が増えているようです。

 

もう一つの大きな理由としては、後述のメリットでも書いていますが、宗教的な供養による遺族の経済的負担を軽減しておきたい、ということもふくまれています。

 

【こんな方に向いています】

  • お寺と縁のない方
  • 海が好きな方
  • お墓がない方
  • お墓に入りたくない方
  • 供養に関する経済的負担をなくしたい方

海への散骨(海洋葬)のメリットとは?

 

海への散骨を希望する方が増えているということは、「お墓に入る」という従来の供養にはないメリットがあるはずです。

 

何をメリットと感じるかは、人それぞれですが、その中の主なものをご紹介しておきます。

海に還り、地球の一部となる供養法

 

故人が生前に散骨を希望し「その願いを遺族が叶える」ことで、遺族の心に大きな癒やしをもたらす供養法です。

 

さらに、海そのものが墓標であり、海に行けばいつでも故人に会える、という自然回帰の供養法です。

宗教的な節目ごとの供養はしなくていい

 

生前に自ら散骨を希望する方の多くが、後に残る家族にいらぬ負担をかけたくない、と考えるようです。

 

残された遺族が「供養」することに縛られるのではなく、それにかかる「お金も時間も自分たちのために使い、未来をより明るく生きてほしい」との願いを強く持たれます。

 

いったんお寺と縁を持って、初七日から始まる供養を行った場合、途中で打ち切った時、心に不安や迷いが生じる恐れもあります

 

あや子ん?

何か問題が起こった時に、供養をしなかったせいではないか・・・ってふうに考えちゃうことですね

 

そういうことに惑わされてほしくない、との考えから悲壮感の少ない海洋葬を選ばれるようです。

 

海への散骨(海洋葬)は、故人の遺志を尊重する供養法でありながら、遺族の行く末を見守るものでもあります。

費用をかけずにできる供養法

 

海への散骨は、お墓の購入や、他の自然葬にくらべても、圧倒的に安価です。

 

費用は、海へ出て散骨するプラン料金のみで、その後の維持費も管理費も不要です。

 

その点で「お墓がない」「墓を守る経済的な余裕がない」「事情があって家の墓に納骨できない」などの悩みを持つ方には、安心できる方法だと思います。

お墓の行く末を心配しなくていい

 

お墓や永代供養合祀、その他の自然葬の場合、そこを管理する霊園が破綻、あるいは廃寺となったときには、新たな供養先を探さなければなりません。

 

また、少子化が進む中、先祖代々の墓もいずれ管理が行き届かなくなり、荒れて放棄される不安も残りますが、海洋散骨には、そういった心配がありません。

 

あや子

地球が存続する限り、海は豊かに存在します。

海への散骨(海洋葬)のデメリットとは?

 

故人の遺志で海への散骨を行ったものの、思わぬことに心を痛めることもあります。

 

海洋散骨のデメリットについても確認しておきます。

気軽にお墓まいりに行けない

 

散骨ポイントへのお参りは、船をチャーターして向かうため、シーズンによっては予約が取りにくかったり、天候に左右されることもあります。

 

そのため、お墓参りのように頻繁に行くことは難しいかもしれません。

 

ただ、海は世界中に広がり、つながっているので、どこであろうとお参りできる、とも考えられます。

散骨すると遺骨は残らない・回収できない

 

いったん散骨すると、海に流れた遺骨を回収することはできません。

 

そして海への散骨には、墓標となるものがないため、よすがを失ったような心細さを、しだいに感じるようになる方も、いるかもしれません。

【対策として分骨する】

 

遺骨のすべてを散骨してしまうことに不安に思う場合は、散骨前に遺骨の一部を残し、手元供養するといいでしょう。

《分骨の方法》

 

いくつかの方法がありますが、二つの例をご紹介します。

 

散骨するときの分骨の例

 

  1. 散骨事業者に遺骨を預ける前に、いわゆる喉仏(のどぼとけ)と呼ばれる小さな骨を数粒、手元に残しておく。
    (実際に結跏趺坐した仏の姿に見えるため、大切に扱われる部分です)
  2. パウダー状になった遺骨の一部を、手元供養用に残しておいてもらう
    手元供養の容器も、今ではクリスタルや金属を使った、小ぶりでデザインの美しいものが数多く、そろっています。

要注意!散骨で、やってはダメなこと

 

散骨には、うっかりやってしまうと違法行為となってしまうこともあります。

 

詳しくは、別記事『その散骨、実は違法かも!?』にまとめていますので、そちらを参考にしてください。

 

ここでは、散骨でついやってしまいがちな二つを、ピックアップしました。

 

  • 分骨で残しておいた遺骨は、パウダー状であっても、庭や田畑、思い入れのある場所であっても、勝手に土の中に埋めたり撒いてはいけません
  • 形あるままの遺骨を散骨してはいけません

 

クロエ

違法行為になるんだってサ

 

散骨を希望する場合は、専門の散骨業者に頼んだほうが安心・安全だと思います。

 

どこで頼めばいいかわからない場合は、葬儀社のアフターサービスなどを利用すると、紹介してもらえます。

散骨事業者を選ぶ際の注意点

 

散骨業者を選ぶポイントは次の2点です

 

  • どこの海で散骨するのかを確認する
  • モラルがあり法令遵守の業者であること

散骨業者によって散骨場所は違う

 

散骨できる海域は、業者ごとに違います。

 

希望する海で散骨してくれる業者を探しましょう。

 

ただ、自治体によって散骨が禁止されていることもあるので、その辺りは散骨業者に相談してください。

モラルがあり法令遵守の散骨業者を選ぶ

 

散骨は、現在のところ「節度をもって行われる限り自由に行える」とされています。

 

ただし、海を漁場としている水産業者や、環境保全団体、海辺を観光資源としている業者などに風評被害等の不利益をもたらすようなことがあってはいけません。

 

散骨事業者を選ぶ際には、そういった海を生業をしている方々と折り合いをつけ、「節度」をもって散骨を行っている会社を選んでください。

 

きちんとした会社を選ぶことで、海に還ってゆく大切な人を、静かな祈りで見送る時間が過ごせます。

 

あや子ん?

地元の理解を得ていない海域で勝手に散骨していると、漁師さんや地元の人たちに追い払われることもあります

まとめ

 

海を見つめる親子

 

海への散骨(海洋葬)は、墓石を建てない自然葬の中でも、もっとも費用のかからない、そしてロマンティックな葬送の形です。

 

ただし、海での散骨にもメリットとデメリットがあります。

 

その両面をじっくり検討した上で、決断してください。

 

散骨、特別な供養を行う必要はなく、仏壇・仏具などもそろえる必要もありませんが、遺骨が手元に残らず、後々不安を感じることもあります。

 

もし、遺骨が残せないことに心許なさを覚えるのなら、前もって、ほんの少しの遺灰を残して手元供養を行う方法もあります。

 

このように、いろいろと考えてみてください。

 

いずれにしても、故人の遺志を尊重して散骨を行うには、海洋葬の知識やルールに精通し、海域周辺の地元への配慮と散骨マナーを守れる散骨事業者を選びましょう。

 

大切な人を大海原に送りだす儀式は、波音しかない静寂の中、おごそかに行われます。

 

この別れの時を、いずれ、おだやかな笑顔で語れる日が訪れますように。