こんにちは、三輪あや子です。
お葬式関係のトラブルは国民生活センターに寄せられるものだけで、年間、コンスタントに600~700件ぐらいあるそうです。
そのトラブルの内容を見てみると、ほとんどが、じっくりと考え、いろいろと相談して決める時間がなかったがために、不快な思いをすることになってしまっているようです。
今回は、そんな相談内容をもとに、
- なぜ、葬儀トラブルになったのか
- どうすればトラブルを防ぐことができたのか
といったことを、検証していきたいと思います。
葬儀トラブル「葬儀社から希望と異なる契約をプッシュされ断れなかった」件
ここでご紹介するのは、2015年に国民生活センターに相談された案件です。
こういう内容です。
【義父が急死し、慌てて選んだ葬儀社から希望とは異なる契約を強く勧められた】
施設に入所していた義父が突然呼吸停止し、病院に搬送されたがそのまま亡くなった。
病院か ら 2 時間以内に遺体を引き取るように言われ、どうしたらよいかわからず困っていたところ、電 話帳を渡され自分で葬儀社を選んで連絡するよう言われた。
電話帳を開いて、最初に目の留まっ た大きな広告を出している葬儀社に連絡し、葬儀社の安置室に遺体を運んでもらった。
遺体が安 置されるとすぐに、葬儀の担当者から葬儀のプランを考えなければいけないと言われ、悲しん でいる暇はないと気を取り直して話を聞いた。
「お金がないので家族葬でお願いしたい」と伝える と、「家族葬と言っても様々な追加料金が発生するので、結果的に一般葬と同じになりますよ」と一般葬の契約を強く勧められた。
何度も家族葬の希望を伝えたが、同じ説明を繰り返され、延々6 時間もやり取りし、最後には精神的な疲れもあり根負けして約 150 万円の一般葬の契約をしてし まった。
葬儀は終わったが、お金がなく支払うことができない。どうしたらいいか。
(2015年9月受付、60歳代、女性、給与生活者、青森県)
引用元: 国民生活センターHP
葬儀屋さんの事情を多少なりとも知っているわたしでさえ、6時間もの攻防は、「これは、ひどいな・・・」と感じました。
これって・・・まるで自宅に上がり込んで、ハンコ押すまで長時間、居座り続ける商法みたいじゃない。
ひっどいね・・・
ただ、こちらは相談者側からの説明なので、葬儀社側からすれば、また違った状況説明になるのかもしれません。
とりあえず相談内容の状況をまとめると、こんな感じですかね。
【トラブルの流れ】
施設に入所していた義父が倒れ、病院にて死亡
病院より2時間以内のご遺体の移送を求められる。
電話帳の中から葬儀社を選び連絡
葬儀社の安置室にご遺体を移し、葬儀プランの話し合いを行う
お金がない旨を伝え、家族葬を希望するが、聞き入れられず
同じやり取りを6時間ほど繰り返し、最終的に150万円の一般葬を契約した
葬儀代の支払いができず、どうすればいいのか。
国民生活センターに相談
こんな感じかな?
このような経緯があって、センターに相談された、ということですね。
今回は、この相談内容をもとに、いろいろと検証していきたいと思います。
まずは、相談者のお義父さまのご冥福をお祈りいたします。
そして、その後の心労を思うと、お気の毒で心がいたみますが、2015年の相談なので、すでに解決済みだと思います。
円満とまではいかなくても、相談者が納得のいく形での和解に至っていれば、いいんですけどね。
少しでも経済的負担が軽くなっていれば、いいですね。
では、さっそくお勉強させていただきましょう
葬儀社選びの失敗?せかされて、あせって選んだ結果・・・
相談内容によると、
病院から2時間以内に遺体を引き取るように言われ、どうしたらよいかわからず困っていたところ、電話帳を渡され自分で葬儀社を選んで連絡するよう言われた。
とありました。
せかされる亡くなった方の搬送
今は、ほとんどの方が病院で息を引き取られます。
すると、できるだけ早く「部屋を空けてください」ということを、マイルドな表現で求められます。
この相談者の方のように「2時間以内」と指示されるのは、病院の規模や状況によるのかもしれませんね。
病院は病気治療を行うところですが、残念ながら、そのまま帰らぬ人となる患者も必ずいます。
病院の遺体安置室(処置室)も、数に限りがありますので、そこで長滞在をされると、空くのを待っている他のご遺体が困る、ということですね。
どこの病院でも、基本、「すみやかにご遺体とともに退出」が求められます。
目立つ広告はワナ?
そして、葬儀社の心当たりがなかった相談者は、電話帳から葬儀会社を選んだ、ということですね。
昨今、水回り修理などで一番目立つ広告を出している会社に連絡して、高額請求されたというトラブルをよく耳にするので、つい「ブラック」「ワナ」というキーワードに結びつけてしまいますが、
堅実な葬儀会社でも、資金力に余裕があれば、ごく普通に目立つカラー広告でアピールしています。
なので、広告の大きい小さいは、この際、特に問題ないかと思います。
何の知識もない状態で、電話帳をポンと渡され、時間制限を設けられた上で「この中から1社を選べ」と言われたら、
人の心理として、とりあえず情報量の多い広告に目がいくと思いますし、
スマホを扱いなれていない方なら、だれしも同じ行動になったんじゃないでしょうか。
でもね・・・
ただ、時間が巻き戻せたなら、少しだけアドバイスしたいことがあります。
少しでも良い葬儀社を選ぶには?
病院での葬儀社探しは心細く、疲れもあって不安でしょうが、もう少しだけ、がんばってもらいたいことがあります。
それは、電話帳を開いて、葬儀社を探すとき、1社のみで終わらせるのではなく、候補となりそうな葬儀社をいくつか選び出す、ということです。
葬儀社さがしのポイント
葬儀社にまったく心当たりがない場合には、こんな探し方もあります。
入所施設に連絡して教えてもらう
お義父さまが入所していた施設に電話して、過去に葬儀実績のある葬儀社をたずねてみるのも、一つの方法です。
高齢者施設なら、これまでの経験から、葬儀社の心当たりは一つや二つ、あると思います
高齢者施設というのは、いわば終の棲家(ついのすみか)です。
職員の方は、お世話をした方が永眠するのを順に見送ってきています。
お葬式には、施設の代表者(理事長や事務長など)が参列したりもします。
また、そういう施設には、病院と同じく、葬儀社があいさつに出向いてパンフレットを置いたりもしています(受け入れているところと、そうでないところがあります)。
そういうことから、地域周辺の葬儀社情報は、ある程度、持っていると思います。
中には、その施設の入所者用にお得なお葬式プランを用意している葬儀社があるかもしれません。
施設から病院に搬送された後、亡くなられたのなら、施設に「たった今、息を引き取りました」と報告とお礼をかねて連絡を入れると思います。
その時に、葬儀社について「どこか、ご存じなら・・・」とたずねてみるといいでしょう。
(葬儀社を教えてもらったら)
施設職員に教えてもらった葬儀社に連絡したときには、「○○施設から、▽△葬儀社に連絡してみてはどうか、と教えてもらいまして」と、一言、付け加えることを忘れずに。
葬儀社としては、良い印象を持ってもらって、
今後(施設からの紹介)につなげたい下心もあるので、無理な営業の牽制(けんせい)になるかもしれません。
ただ、葬儀社とのトラブルを、
施設側に持ち込み、責任を問うのは、やめましょう。
よっぽど、「ここの葬儀社に依頼するべし」と強くプッシュされた場合は別として、施設側と葬儀社は分けて考えてくださいね。
小さな葬儀社もチェックしてみる
公民館や自宅でのお葬式を希望する場合、葬儀会館は必要ないので、小さな葬儀社も候補に入れておく。
電話帳では、会社名のみを記載している葬儀社が多いです。
小さな葬儀社だと、有限会社だったりもしますね
自宅や施設に近い葬儀会館
葬儀会館でのお葬式(ホール葬)を希望する場合は、自宅や施設などから近い葬儀社を選ぶと、故人に必要なものを取りに戻ったりするのに、便利です。
規格葬儀の指定葬儀社から選ぶ
スマホが利用できるなら、市のHPにアクセスして、規格葬儀(市民葬儀)の指定葬儀取扱店(葬儀社)を選ぶのもいいと思います。(電話帳にも載っているかもしれません)
スマホが手元にあるなら、葬儀社名で検索をかけてみてください。
ホームページを持っている葬儀社なら、それだけで葬儀会館の様子や、家族葬プランの価格などを見ることができます。
ただ、流れるような美しい花祭壇の写真が出ていても、それはイメージ画像ですからね。
このようにして、いくつかの葬儀社候補を選び出してください。
それから、どうすんの?
次は、比較するの
複数の葬儀社を、電話でプチ比較検討
疲れ果てているかもしれませんが、メモした葬儀社に次々と電話していきます。
まず、電話口で「できるだけ安価にお葬式をしたいが、可能か」という質問をぶつけてください。
規格葬儀の取扱店に電話した場合は、3つほどのプラン(松竹梅のようなランク)があると思うので、プラン価格を確認してください。
ただし、規格葬儀も追加費用が発生しますので、プランの値段がそのまま葬儀代というわけではありません
そのほか、
- 「お金がないので、できるだけ安くしたい」
- 「参列者○○人までの家族葬ならいくらぐらいでできるのか」
- 「もっとも安い方法はあるか」
といった感じの質問です。
「家族葬を希望」などと、あいまいな表現だけで済ますのではなく、あからさまなくらい、はっきりと意思表示をすることが重要です。
電話口で、正確な見積りなどは不可能ですが、それぞれの葬儀社が設定している葬儀プランの価格ぐらいは、教えてもらえると思います。
その価格に、だいたいどのくらい足した金額が請求金額になるのか、ダメ元で聞いてみるのもいいんじゃないでしょうか。
「経験上わかるやろ」
「だいたいで、ええねん。教えてくれ」
「こっちもふところの準備っちゅうもんがあるんや。教えてくれ、っちゅうとんねん」ぐらい言いつのると、なんらかの返答があるかと。
しぶしぶ答えてくれた金額は、あくまでも目安なので、それで「言質とった」などとは、言わないようにしてあげてくださいね。
ただし、規格葬儀もそうですが、
葬儀プランの価格は、必ず追加費用が発生するので、提示価格が支払い総額ではありません。
特に生前契約の会員でない場合は、
プラン価格の2倍ぐらいかかる、と考えておくといいと思います。
高っか・・・!
うん、まぁね・・・だから、前もって準備しといたほうがいいのよ、今どきはね
この相談者の場合ですと、
2時間のうちに決定しないといけないので、のんびりと電話で話し込むことはできませんが、このぐらいの質問は時間的にも可能なはずです。
とにかく2、3社でいいので電話をしてみて、
その中から、「ここ、よさそう」と感じた葬儀社を選ぶといいと思います。
電話だけだと、それぐらいしか判断のしようがないですね
悪意のある人は、優しい声でウソも平気でつきますが、そこは、これまでにつちかった「カン」を働かせてください。
カンって、ばかにできないんですよ。
これまでの人生経験がはじき出す、解ですから
富岳なみ?
カンが鋭いと、それにも勝る、かも
情に引きずられず、クールに保留
電話口でいろいろ質問すると、そのまま電話を切りにくいかもしれませんが、いったんは保留にしてください。
ご遺体の搬送を依頼してしまうと、ほぼ、そのまま葬儀契約をする流れになってしまうので、
- 「一応、ほかの葬儀社にも聞いてみたいと思いますので、いったん切らせてもらいます。」
- 「折り返し、電話させてもらうかもしれませんが、そのときはよろしく」
とでも言っておくと、
相手側も一応、ふたたび連絡が入れば、すぐに人を出動させられるように準備できます。
待機していても流れることも多いので、葬儀社側の事情は、この際、無視してOKです
とりあえずピックアップした葬儀社を全部あたってみましょう。
好感を持てた葬儀社には、チェックマークをつけておくことをお忘れなく!
葬儀社の安置室で、悲しむ間もなく担当者から葬儀プランの話に・・・
相談内容によると、
病院から2時間以内に遺体を引き取るように言われ、どうしたらよいかわからず困っていたところ、電話帳を渡され自分で葬儀社を選んで連絡するよう言われた。
とありました。
えげつないな・・・キチクの所業やで
いや、あのね・・・
こう文章で見ると、なんだか血も涙もない葬儀屋の鬼め!って感じがするのですが、でも、これが普通なんです。
こうしないと、後で困るのは、喪家のほうなんです。
相談者がおっしゃっているとおり、実際に悲しんでいる暇(ひま)は、ありません。
なぜか?
故人の体を移送した後は、
亡くなった方に対して、何をどのようにしてさしあげるのかを、話し合わなければなりません。
いわば、すっぽんぽんの赤ちゃんが、薄い布団の上でコロンとしているようなものです。
亡くなった方は、最後に来ていた服のままです。ちなみに、わたしの弟はパジャマのままでした。
いったん、お風呂に入れて体を清めてあげるのか、何を着せてあげるのか、何を持たせてあげるのか、などから始まって、
親戚・知人への連絡や、僧侶などへの連絡、通夜の準備、お葬式の準備~火葬場で使用する骨つぼ、家に置く白木の祭壇のことまで、決めていくことが山積みです。
どれもこれも、「今」決めなければ、先へ進めないことばかりです。
誰かが決めて、どんどんと準備が整っていくものではない、ということですね。
そのために、病院からずっと付き添っていた家族が、白いお布団に眠っている故人のそばで、ホッと一息ついた瞬間、「失礼しまっす」と、葬儀担当者が分厚いファイルを抱えてやってくるわけです。
鬼のようや・・・
なぜ喪主は忙しい?
昔は、同じ町内、隣保組織の皆が総出でお葬式準備をしていました。
今は、その準備全般を葬儀社が担っています。
そして、昔は喪主にかわっていろいろと準備を取り仕切る葬儀委員長がいました。
今は、喪主が葬儀委員長としての役割を兼ねます。
もちろん、喪主にかわって、周囲の人間(家族や親戚)が手助けすることも多いです。
「昔は葬儀屋なんてなくても葬儀はできたんだ」との意見も耳にしますが、それは周囲の他人が「互助」の考えで、助け合っていたからです。
その分、その方たち一人ひとりに対する気遣いや、お礼は十二分に行う必要があります。
生活の様式や考え方の変化で、しだいにそれが負担に感じるようになり、
やがて、葬儀会社が生まれ、金銭で役割を委託するようになり、それを日本人は受け入れてきたのだと考えます。
なので現在の喪主というのは、
喪主でありながら、葬儀社に指示を出す葬儀委員長でもある、という一人二役の重責を担うことになってしまったんですね。
忙しいはずです。
家族葬を希望したのに、強引に一般葬の契約をさせられた・・・
相談内容によると、
「お金がないので家族葬でお願いしたい」と伝えると、「家族葬と言っても様々な追加料金が発生するので、結果的に一般葬と同じになりますよ」と 一般葬の契約を強く勧められた。
とのことでしたね。
この、「家族葬に追加料金がつくと、一般葬と変わらない」というのは、本当です。
ただし、
参列する親族の人数が多く、一般参列者もそこそこの人数であった場合は、ですけどね。
その場合は、最初から一般葬のプランでスタートしたほうが、最終的には割安になる、という計算です。
このしくみについては、こちらの記事に書いていますので、参考にしてみてください。
そのあと、相談者はこのように続けられています。
何度も家族葬の希望を伝えたが、同じ説明を繰り返され、延々6 時間もやり取りし、最後には精神的な疲れもあり根負けして約 150 万円の一般葬の契約をしてしまった。
葬儀は終わったが、お金がなく支払うことができない。どうしたらいいか。
とのことです。
相談者さんが家族葬をどのようにイメージし、どういったお葬式風景を描いていたのかわかりませんが、家族葬という限りは、身内と、少なくとも親しい方達だけで故人を送ろうと考えていたんだと思います。
- 故人(義理の父)は高齢者施設に入所していた
- 葬儀会館の安置室に移送されている
この2点から、厳密な意味での家族葬は可能だったと思います。
近所にも知らせず、入所施設へも「家族葬で行います」と伝えておけば、それでOKです。
入所施設からは、弔電が届けられると思いますし、仮にだれかが参列したとしても、せいぜいが理事長か、それに準じる役職の方でしょう。
それも、開式前にお参りに来られて、焼香だけして帰られるケースもあります。
とにかく、この相談者の場合、少人数でのお葬式は可能だったということを考えれば、葬儀社側の過度な説得は、普通ではないように思えます。
それとも、相談者さんが告げた参列者人数が、親族もふくめて15名以上、そして、近所の方など「何人お参りに来てくれるかは、わからない」とでも、言ったのでしょうか。
もし、そうなら、葬儀社側が一般葬を推したことも理解はできるんですよね
もし、本当に身内のみで式を行いたいとの希望だったにもかかわらず、強引に一般葬の契約に持ち込んだのだとすると、
60代の女性がひとりで対応したのであれば、葬儀社側が「なめて」かかったのかもしれません。
強引に推せば、時間の問題で折れる、いける、とでも踏んだのでしょうか。
隣保組織(近所の助け合い)がほぼ消滅している現在、お葬式慣れしている人など、そうそういません。
地方の農村地域で、隣保の助け合いがあったとしても、葬儀の手伝いにかり出されるのは、ほぼ男性です。
だからといって、契約の場面に慣れているわけじゃないですけどね
だれもが、初めてのことに戸惑い、何をどうしたらいいのかわからない状態で、葬儀社に連絡をしています。
うろたえている喪家を、落ち着かせ、一つひとつ要望を聞きとりながら、どういうお葬式をしたいのか、ということをまとめて形にしていく手伝いをするのが、葬儀社の仕事です。
ところが、他の業界同様、ノルマが課せられ、高額葬儀の契約をもぎ取ることを至上主義としているような社員もいますし、社長がその先頭に立って走り回っている葬儀社も、確かにあります。
残念なことに、そういう葬儀社も、実際あります。
ふーん、そうなんだ・・・
うん。社員の入れ替わりも早くて、わりとギスギスしてるみたいよ
対処としては、
複数人で担当者の話を聞く、ということですね。
1対1は、ダメです。
一人きりでの対応をさけるには?
この相談内容からはわかりませんが、相談者の女性が、ほかに相談できる家族がいない状態で、担当者といろいろ取り決めていったのだとすれば、とてもしんどかっただろうと思います。
もし、ほかの家族が間に合わなかった場合は、携帯電話(スマホ)をつなぎっぱなしで、スピーカーもオン状態で、話し合いに参加して、いっしょに考えてもらう、という方法もあります。
シニアだと国内通話すべて無料だったり、そうでなくてもLINEなどの無料通話アプリを使えば、通話タダです
「携帯電話は持たん!」と、いまだにおっしゃる方もいますが、こんなときに、いつでもどこでも頼みにする人に相談できるというのは、とっても心強いですよ。
また、後々「勝手に決めて・・・」と言われるリスクを避けることができます。
どうすれば60代女性は、葬儀トラブルを防げたのか?
この60代の女性相談者は、
どうすれば、この葬儀トラブルを防ぐ、もしくは避けることができたのでしょうか。
この葬儀担当者が、なぜ「お金がないから家族葬をしたい」と主張する女性(相談者)に対して、約150万円の一般葬プランを強くすすめたのか、その意図はわかりません。
60代の女性をなめきって、ぼったくるつもりで粘り勝ちしたのか・・・、
あるいは、女性の考えを聞き取るうちに、本当に家族葬で準備すると困ったことになると判断し、適切なプランを推した結果の、150万円プランだったのか---。
本当のところはわかりませんが、
この状況で、わたしがアドバイスするとすれば、こうなります。
-
- 直葬の選択
- 家族葬をつらぬく
- 葬儀社の変更
この3つのうちのどれか、です。
では、一つひとつ解説いたしますね。
直葬という選択
切実にお金がなく、お葬式についやす余裕がないなら、
お葬式をしない、という選択もあります。
つまり、直葬(ちょくそう)です。
故人を安置室に置いて、そのまま帰宅せねばなりませんが、後日、火葬場で再会できます。
そのときには、家族が焼香、あるいは水焼香(棺に樒の葉で水を散らす)でお別れをし、棺が火葬炉に収まるのを見送ります。
お坊さんにお経をあげてもらうことは可能です
その後、骨あげ(骨拾い)をして、帰宅します。
直葬でも15~30万程度は、準備しておいたほうがいいでしょう。
デメリットとしては、納得していない家族や親戚ともめ事が起こる可能性があります。
お葬式をしない選択は、親族への十分な根回しが必要です。
- 火葬のみ
- もっとも低価格
家族葬をつらぬく
お葬式はしたいが、低価格に抑えたい、という意思をつらぬきます。
その場合、「家族葬」というあいまいな言葉ではなく、
「親族○〇人のみでお葬式をします。ほかは呼ばない」
というように、
具体的な参列者の人数を提示し(もちろんその人数を守る)、もっとも安くできる方法を葬儀社側に考えてもらう。
この場合、理想的なのは
同居家族のみで行うパターンです。
とにかく、多くても15人以下に限定することが、お葬式費用を安くするコツです。
親戚付き合いも互いに高齢化し、盆暮れの贈答品のやり取りだけになっているのなら、あえて訃報は知らせず、家族のみでお葬式をするのも、今どきの選択肢だと思います。
- 同居家族のみ
- 親族15人以下
- 会うことのない親戚には知らせない
葬儀社を変更する
相談内容のように、こちらの言い分に耳を傾けてくれないのであれば、いっそ、別の葬儀社にチェンジしてしまうのも、一つの方法です。
亡くなった方の移送費用&安置室の使用料、保存のための冷却剤費用などを請求されるでしょうが、150万に比べると、被害は小さいかもしれません。
高額といっても、法外な金額は請求できませんので、その点は大丈夫です。
にもかかわらず、請求書の金額が高額すぎた場合は、消費生活センターなどに相談して、アドバイスをもらってください。
でもさぁ・・・
やさしい性格の方には、ハードル高いよね・・・。決死の覚悟になっちゃうかも
確かに、葬儀会館の安置室に一度入ってしまうと、その後の葬儀社チェンジは、互いに不愉快な思いをしますし、精神的にもかなりタフなことになります。
それでも、こういう最終手段もあるんだ、ということを心にとめておいてくださいね。
- ほとんどバトル
- 交渉力と精神力が必要
- 声を荒げないで、冷静に
- 対応は複数人で
- 会話を記録しておく(ICレコーダーを使う際は、相手にも知らせておく。互いに冷静になって、不用意な売り言葉に買い言葉が減る)
まとめ
お葬式にはトラブルが多い、というのは事実です。
そして、今回の60代の女性のように、いったん葬儀会館の安置室へ移送してしまうと、まるで亡くなった方を人質にとられも同然なので、ついつい葬儀社側のいいなりになってしまいます。
実際は、そんなことないんですよ~。
勝手にそういう気になってしまうだけです
じゃあ、お好きにどうぞ、って放置されても困るんだけど・・・
うん・・・また、一刻も早く次の葬儀社さがし、だね
こういった、わずらわしい事態を避けるためにも、やはり前もってのお葬式準備は、とても重要だと思います。
今回は、それぞれの場面ごとに、「なぜそうなったのか」「どうすればよかったのか」などを検証してきましたが、
この相談者のケースだと、お義父さまが入所された時点で、お葬式について調べ始めるのがよかったんじゃないかと考えます。
また、その時間はあったと思います。
これからの時代、お葬式について前もって調べることは、「不吉」でも「縁起でもない」ということもありません。
社会の空気はあきらかに変化しています。
大切な家族が人生を閉じ逝くときに、もめごとや怒りに支配されることなく、静かに見送ることこそ、亡き人への供養になると、思います。
この相談者の女性が、無事問題が解決して、今はおだやかな生活に戻っていることを、せつに願います。
借金したり、家売ったりしてないといいけどね・・・
きちんと国民生活センターに相談してるし、大丈夫よ、きっと
今を安心して暮らすためにも、「備えよ、常に!」です。
そういう意味でも、
お葬式については、後回しにせず、今から調べ始めておくのが、ベストだと思います。