こんにちは、三輪あや子です
亡くなった方が国民健康保険の加入者なら、手続きをすればもれなく数万円の「葬祭費」が支給されます。
金額は自治体によっていろいろ違うようですが、大出費の葬儀後にはとても助かりますよね。
ところが、この葬祭費補助金制度による給付金が、直葬・火葬式だともらえないかもしれないんです。
――なぜ?
そこで今回は、葬祭費を受け取るための申請方法や条件、注意点などを、かんたんに解説していきます。
葬儀費用の節約を考えて終活している方は、ぜひこの情報もお役立てください。
葬祭費とは?国民健康保険に入ってると、みんなもらえるの?
葬祭費とは、国民健康保険に入っている方(加入者)が亡くなった時、葬儀(葬祭)を行った人に対して葬儀費用として支給されるお金です。
後期高齢者医療の方にも同様に支払われます。
葬祭って、お葬式のことだよな?
冠婚葬祭の葬祭、ですね
別の健康保険に加入している方は、そちらから支給されます(二重に受け取ることはできません)。
あ・・・両方からってのはダメなんかぁ
ダメに決まってるでしょ。
あ、それと国保に入ったばかりだと、葬祭費は出ないみたい
な・・・んやとぉ
退職して国保に加入したばかりだと、葬祭費はもらえない!?
ちゃんと、別口が用意されているのでご心配なく!
職場の健康保険などに加入していた方(被扶養者を除く)が、退職などで加入資格を喪失してから3か月以内に亡くなった場合は、その勤務先の健康保険から「埋葬費」などが支給されます。
例)会社などの健康保険・船員保険・共済組合・私学共済
よかった・・・
手続き方法などは、各健康保険組合に問い合わせてくださいね
国民健康保険はどんな人が加入してるの?
国民健康保険は、自営業の方や退職された75才未満の方などです。
75才からは後期高齢者ってやつだな
そうそう。当初、ネーミングが悪いって不評だったけど、今はみんな何となくシニカルに受け止めてるよね
【国民健康保険に加入するのは、こんな人】
- お店を経営している人、農業・漁業などに携わっている人とその家族
- パート・アルバイトなどで職場の健康保険に加入していない人
- 退職などにより、職場の健康保険をやめた人とその家族
- 外国人登録を行っていて、日本に1年以上滞在する人
【国民健康保険に加入できない人】
- 職場の健康保険などに加入している人
- 生活保護を受けている人
これ以外の人は、すべて国民健康保険に加入することになっています。
75才になると、後期高齢者医療制度に移行します。
健康保険から葬儀費用はいくら出る?
葬祭費って、いくらぐらい出るのでしょうか?
国民健康保険から支給される葬祭費は、自治体によって2~7万円と支給額に幅があります。
んで、ちょっと調べてみたんだよ
以下、ほんの一部ですが、参考例として調べた結果です。
- 札幌市 3万円
- 青森市 5万円
- 秋田市 5万円
- 仙台市 5万円
- 東京23区 7万円
- 横浜市 5万円
- 名古屋市 5万円
- 伊勢市 5万円
- 和歌山市 3万円
- 京都市 5万円
- 大阪市 5万円
- 芦屋市 5万円
- 神戸市 5万円
- 岡山市 5万円
- 鳥取市 3万円
- 高知市 5万円
- 福岡市 3万円
- 長崎市 2万円
- 那覇市 2.5万円
- 石垣市 3万円
葬祭費として5万円を支給する自治体が多いようです。
ちょっと端に行くと・・・下がるな
おもしろくって調べてみたら、意外な発見があるわね
決して多くはないけれど、葬儀費用の足しになると思えば、大変ありがたいですよね。
忘れずに申請してください。
葬祭費の申請手続きの期限とは?
葬祭費の申請は死亡日の翌日からできますが、これには申請期限があります。
お葬式を行った日の翌日から起算して2年を過ぎると、時効となって支給を受けられなくなります。
それなりに申請期間にゆうよがありますが、うっかり忘れてしまわないように早めの申請をおすすめします。
直葬・火葬式だと葬祭費はもらえない!?
直葬・火葬式で故人を弔った場合などに、葬祭費が支給されないことがあります。
なぜかというと、葬祭費はあくまでもお葬式を行った方に対して支払われるものなので、お葬式をしない直葬・火葬式には支給する理由がない、ということになります。
ただ、自治体によって異なりますが、直葬・火葬式を行った方に対しては、「埋葬費」という名目で支給されることがあります。
火葬のみでも支給される自治体
以前は火葬のみで弔うのは、身寄りがない孤独死や身元不明の方などでしたが、今は経済的に問題なくても直葬・火葬式を選ぶ方がいるため、行政側の対応も少しずつ変化しています。
たとえば東京都の場合、23区のうち「港区」「杉並区」「足立区」「千代田区」の4区以外は、直葬・火葬式でも葬祭費が支給されます。
仙台市・横浜市・岡山市・・・なども葬祭費として支給されます。
全部調べたわけじゃないけど・・・意外とサポートしてくれるとこ増えてるみたいね
でも、まだまだ少ないよな
詳しくは、故人が暮らしていた(住民票のある)自治体に問い合わせてみてください。
直葬(火葬式)とは?
直葬(火葬式)というのは、お葬式をしない弔い方法です。
直葬と火葬式は呼び方が違うだけで、内容は同じです。
直葬とは、亡くなった後、自宅や葬儀会館の安置室などで24時間過ごした後、火葬場にて荼毘に付すスタイルです。
お葬式をせずに、火葬のみを行うことから直葬あるいは火葬式と呼ばれています。
葬祭費の申請ができる人とは?
葬祭費の申請手続きができるのは、お葬式を行った人(喪主)です。
要するに、お葬式費用を払った人(喪主あるいは施主)に対して、葬祭費が支給されます。
別の人(代理人)が申請手続きを行う場合は、委任状が必要です。
葬祭費の申請方法とは?
葬祭費の申請場所は、亡くなった方の居住地(住民票あり)の区役所などで行います。
申請方法は二通りあり、どちらでもかまいません。
【申請方法の選択】
- 区役所で申請
- 郵送で申請
区役所お訪れて申請する場合
故人が住民登録をしていた区役所の国保の窓口で申請手続きを行います。
必要な書類等をすべて整えて持参し、その場で書類に記入して提出すれば、手続き完了です。
後日、喪主の口座に振り込まれます。
郵送で申請する場合
以前は電話で問い合わせて書類を取り寄せていましたが、今は各自治体のホームページから申請用紙をダウンロードできるようになっています。
そういったダウンロードリンクが見当たらない場合は、担当窓口に問い合わせてください。
実家から離れて暮らしてたりしたら、助かるよな・・・
郵送の場合は、同封する書類にもれがないか、必要書類がそろっているかなど、しっかり確認してから送りましょうね。
葬祭費の申請手続きに必要なものとは?
自治体によって多少異なりますが、おおむね以下のものが葬祭費の申請手続きに必要となります。
- 亡くなった方の保険証(返却していない場合)
- 死亡の事実が確認できるもの(例:埋火葬許可証、死亡診断書のコピー)
- 葬祭を行った方(喪主)の本人確認書類(例:マイナンバーカード、運転免許証など)
- 葬祭を行った方(喪主)が確認できるもの(例:会葬礼状、葬儀費用の領収書など)
- 葬祭を行った方(喪主)の口座番号・口座名義人が確認できるもの(例:預金通帳など)
上から4つめは、亡くなった方の葬儀を行ったことの証明なので、故人名と喪主名が記載されている会葬礼状が最適です。
会葬礼状は50枚単位、100枚単位で発注して、品物は返却できても礼状は返却不可なので、たいてい遺族の手元に有り余っていると思います。
申請用として一枚は確保しておきましょう。
仮に、葬儀費用を払ったのが喪主ではない場合、葬儀費用の領収書の宛名を施主名(支払った人)にし、但書で「故○○○の葬儀費用」と記して発行してもらうと、証明になります。
葬儀社に「葬祭費の申請に使う」と言えば、適切な領収書を発行してもらえますよ
保険証の返却について
亡くなった方の保険証の返却については、住民登録をしていた区役所の窓口にて、すみやかに資格喪失(脱退)の届出が必要です。
- 亡くなった方の被保険者証
- 窓口で手続きする人の本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)
保険証の返却については郵送での手続きはできないので、離れて暮らしている方(喪主)は計画的に諸手続きを進めてくださいね。
役所はな~、よゆうで二度手間三度手間、強いるぞ~
埋火葬許可証とは?
「埋火葬許可証」は、正式な手続きを行った上で火葬を行いました、という証明書であり、お墓に遺骨を埋葬する許可証です。
これがないと、埋葬は受け付けてもらえません。
散骨するにも、埋火葬許可証は必須です
この埋火葬許可証は火葬場でお骨拾いの後、係員から手渡されますが、紛失を避けるため、骨壺といっしょにお骨箱に入れていることが多いです。
郵送で葬祭費の申請をする場合は、この埋火葬許可証のコピーを送ってください。
決して原本を送らないように、気をつけてくださいね。
窓口で申請する場合は、原本でOK。
役所の職員さんがコピーとってくれるから
そのあとは、また骨壺といっしょに保管しておくよーに
なくしたら、めんどうだぞ・・・
まとめ
国民健康保険の加入者が亡くなると、住民登録をしている自治体から2~7万円の葬祭費が支給されます。
葬祭費は、お葬式費用として支給されるものなので、お葬式をしない直葬・火葬式は対象外となるのですが、自治体によっては問題なく支給されるようです。
ただ、ほとんどは原則、お葬式をした場合にのみに受け取ることができるものなので、そのあたりも調べながら、どのようなお葬式にするか考え、選ぶといいでしょう。
では、葬祭費を申請する際の注意点のまとめです。
【注意点まとめ】
- 葬祭を行った日の翌日から2年を過ぎると支給されません
- 葬祭費の支給申請は亡くなった方に対して1回のみ
- 申請者は葬式を行った人(喪主・葬儀費用を払った方)
- 葬祭費の振込先は、原則として喪主名義の口座。
- 他の健康保険から葬祭費に相当する給付を受けられる場合、葬祭費は支給されません。
- 職場の健康保険などの資格を失ってから3か月以内に亡くなった場合は、職場の健康保険のほうから支給される
- 交通事故や公害病などで亡くなり、加害者側から葬儀費用が出る場合は、国保の葬祭費は受け取れません
- 未納保険料がある場合は、葬祭費の申請前に納付する必要があります
お葬式は何かと物入りです。
葬儀費用の節約を考えるなら、この数万円の葬祭費は忘れずに申請しましょう。
できれば終活ノートの「葬儀後にやるべきこと」に、記入しておくといいかもしれませんね。