こんにちは、三輪あや子です。
何かと高額になりがちなお葬式。
できるだけ葬式費用を抑えたいと考えた時、気になるのは市民葬(規格葬儀)の存在です。
市民葬(規格葬儀)というと、シンプルなお葬式ができて、しかも低価格で良質なイメージがあります。
お役所がかかわっているので、誠実で安全というお墨付きまでありそうな感じです。
ただ、市民葬(規格葬儀)の評判というと「思ってたのと違う」という声をよく耳にします。
その原因は、どうやら市民葬(規格葬儀)の内容をよく理解しないまま、申し込んでしまうことにあるようです。
そこで今回は、市民葬(規格葬儀)の内容や利用方法などについてまとめてみました。
お葬式について考え中の方は、参考までにどうぞ。
市民葬(規格葬儀)とは?
「市民葬(規格葬儀)」というのは、各自治体(市区町村)が住民のために、福祉サービスの一環として提供している葬儀プランのことです。
呼び方は自治体によって違いますが、趣旨は同じです。
じゃ、市民葬も規格葬儀も同じなんだ
区民葬というのもありますよ
市民葬(規格葬儀)で提供される葬儀プランの中身は、お葬式をするための必要最低限なサービスをセットしてあります。
これをランク別に2~3種類用意してあり、選べるようになっています。
【市民葬ってナニ?】
市民葬は、地方自治体が、住民の経済的負担の軽減を目的に、葬儀用品の仕様と料金を定め、地方自治体による直営又は指定葬儀業者に委ねて施行する葬儀。
(参照:国民生活センター)
「市民葬は自治体が運営している」はマチガイ!?
よくある勘違いですが、「市民葬は自治体が直接運営している」と思っている方も多いようですが、そうではありません。
市民葬(規格葬儀)などは、自治体がプランニングにかかわってはいるのですが、実際に葬儀を行うのは業務を委託された地元の葬儀社です。
市町村の職員が、スタッフとしてお葬式のお世話をしてくれるわけではありません。
市民葬を請け負う葬儀社とは?
自治体から市民葬を任されるのは、どういう葬儀社でしょうか?
選ばれるのは、その地域で葬祭業を営んで、長年の実績があり、独立した店舗(会社)である、ということを条件に市から認可を受けた葬儀社です。
そういう葬儀社を、取扱指定店といいます
各市区町村のホームページなどで検索すると、この葬儀社リストが公開されています。
もし、載っていなくても役所の窓口で問い合わせれば、教えてもらえます。
何かのついでに、聞いておくといいね
自治体によっては、市民葬のような福祉サービスを行っていないところもあります。
その場合、地域の葬儀屋さんが、独自に「△△市民葬」という名称で、低価格のプランを提供していることもあります。
市民葬(規格葬儀)を利用するための条件とは?
市民葬(規格葬儀)の利用条件は、その自治体に住民票があるかどうかです。
それぞれの自治体に住民登録している人であれば、このサービスはだれでも利用できます。
特に所得制限などはありません。
【サービス利用条件】
- 亡くなった方が住民(住民票がある)
- 遺族が住民
どちらかに当てはまれば利用できます。
ただ、利用条件や利用方法は、各自治体によって異なることも多いので、事前に確認しておいてください。
次は、申込み方法を見てみます
市民葬(規格葬儀)の申込み方法とは?
市民葬(規格葬儀)を利用する場合、役所の窓口か、指定葬儀社に直接連絡します。
「市民葬でお願いします」あるいは、「規格葬儀でお願いします」と言えばいいだけです。
どの葬儀社を選ぶかは自分たちで決めます。
自治体によって利用の申込み方法は異なることもあるので、あらかじめ手順だけでも調べておくと安心です。
【申込みに必要な書類】
- 死亡診断書(最後に診てもらった病院で渡されます)
自宅で亡くなった場合の申込み方法
ご自宅で亡くなった場合、医師から受け取った死亡診断書を持って役所に行き、死亡届の手続きを行います。
その時に、市民葬(規格葬儀)を希望していることを伝えれば、指定葬儀社を教えてもらえるので、その中から葬儀社を選んで連絡をします。
死亡届の提出は、死亡したことを知った日から7日以内にすませます。
理由なく提出期日を過ぎると、戸籍法によって3万円以下の過料が科されることになります。
また、手続きをしない限り、亡くなった方を荼毘に付す(火葬する)こともできません。
死亡届と引き換えに受け取る火葬許可証があってはじめて、火葬が可能になります。
病院などで亡くなった場合の申込み方法
病院で亡くなった場合、故人を病院から別の安置できる場所へ移動する必要があります。
病院スタッフからも、電話帳もしくは葬儀社リストを渡され、搬送してくれる葬儀社を呼ぶことを求められます。
この時に、数ある葬儀社の中から、市民葬(規格葬儀)を取り扱う指定葬儀社を選ぶといいでしょう。
スマホを持っているばら、自治体のホームページにアクセスし、記載されている指定葬儀社リストの中から一社を選んで連絡をします。
電話口で「市民葬でお願いします」と言えば、引き受けてもらえます。
病院から葬儀社に連絡し、葬儀の手続きを行った場合、役所への手続き(死亡届等)は、葬儀社が代行してくれます。
そのためにも病院で受け取った死亡診断書は、確実に葬儀を行う葬儀社の担当者に渡して下さい。
自宅で亡くなった場合も、先に葬儀社に連絡をすれば、その後の手続きはぼーっとしていても葬儀社がやってくれます。
市民葬(規格葬儀)の費用は自治体で差がある!?
それぞれの自治体によって市民葬(規格葬儀)の料金は違いますが、同じ自治体の中ではどこも同一規格の同一料金です。
つまり、A市とB市というように自治体が違えば、指定葬儀社も異なり、それぞれの葬儀プラン内容も料金も違ってきます。
とはいえ市民葬(規格葬儀)の趣旨は、安心して安価に葬儀を行うための住民サービスなので、さほど大きな差があるわけではありません。
市民葬(規格葬儀)の費用相場と費用比較
市民葬(規格葬儀)には、2~3種類のプランが用意されていて、その中から希望するものを選べます。
この葬儀プランの内容と料金が、自治体ごとに少しずつ違います。
どのような差があるのか比較してみましょう。
たとえば、東北・中部・近畿の、とある自治体の市民葬(規格葬儀)プランだと、こういう料金設定です。
【S市の葬儀プラン費用】※すべて大人用のプランで、葬儀費用の端数は切り上げています。
- Aプラン 22万円
- Bプラン 10万円
S市では、プランの内容を見て選ぶようになっています。
【H市の葬儀プラン費用】
- Aプラン 45万
- Bプラン 31万
- Cプラン 22万
こちらは、祭壇のランク別のプラン設定となっています。
お葬式の形式は自分で選びます。
【F市の葬儀プラン費用】
- 告別式プラン 38万円~
- 一日葬プラン 26万円~
- 直葬プラン 9万円~
F市は、お葬式の形式によるプラン設定で、火葬場に併設された式場を利用するケースです。
祭壇のランクなどは好みで選びます。
直葬プランはお葬式をしない形なので、祭壇も必要ありません。
火葬場に併設された式場を利用するプランでした。
「~」ってなってるね
うん、なってるね
以上、東北・中部・近畿にある三つの自治体を比較してみましたが、地域は違っても価格だけを見ると、それほど大きな差はありませんね。
他の自治体でも、だいたい似たような価格が表示されていました。
このことから、市民葬(規格葬儀)の費用相場としては、直葬を除けば25万~40万円ぐらいのようです。
ただ、これが葬儀費用のすべてでは、ないんです
表示価格で葬儀ができるわけじゃない!?
ここで注意したいのは、F市は料金の後に「~」が付いていますが、S市やH市には「~」がついていません。
では、H市の市民葬(Cプラン)なら葬儀費用22万円ポッキリなのか、といえばそんなことはありません。
用意されたプランに足りない物があれば、追加しなければいけません。
追加すれば、それだけ料金は加算される、ということです。
では、何が加算されるのか?
次は、プランの中身と追加サービスについて見ていきます。
市民葬(規格葬儀)のプラン内容と追加すべきサービスとは?
市民葬(規格葬儀)を選ぶ際のポイントは、葬儀プランにどういうサービスがふくまれていて、何が足りないのかを、しっかりと確認することです。
市民葬(規格葬儀)のプラン内容は各自治体によって異なりますが、次の一式がセットされていることが多いようです。
【通常ふくまれているサービス】
- 基本祭壇、生花1対、棺、骨壺、霊柩車、諸手続き
祭壇や棺、骨壺、生花などにはランクがあります。
たとえば基本祭壇は、一番安価なプランだと小さな一段の祭壇で、極めてシンプルです。
一段で問題ないと考える方も、実物を確認することをおすすめします。
プラン価格が上がるにつれ、もう少し見栄えがする祭壇がセットされます。
追加サービスは絶対に必要?
お葬式を行うために必要なサービスで、基本プランにふくまれていないものについては、あとから追加していくことになります。
追加するサービスは、あくまで利用者が「これは必要だな」と思うものだけでかまいません。
何が必要かは、葬儀社の担当者にアドバイスしてもらいながら、決めるといいでしょう。
ただし、中には絶対に必要なサービスもあります。
火葬、故人の移送サービス、遺影写真、式場、返礼品、式典スタッフ、宗教道具など
こちらは、お葬式をするなら必要になるサービスです。
そうなン?
たとえば「故人の移送サービス」は、自宅で亡くなって自宅葬でない限り、必要となります。
また、自宅以外でお葬式をするなら、どこかの式場を借りる必要があります。
町内会総出でお葬式を手伝ってもらうのでなければ、式場スタッフ(お世話係など)を雇う必要があります。
葬儀社の標準プランなら、ほとんどセットされているサービス類も、市民葬プランなどもっともシンプルなプランには、ふくまれていないことが多いです。
すると、その都度、必要なサービスをオプションとしてセットしていくことになり、追加費用が発生します。
オプションになるので、一つひとつが割高だったりします
できるだけ費用を抑えたお葬式がしたくて、市民葬(規格葬儀)を選ぶ方も増えています。 ところが、いざ終わってみると「意外と高くついた」と感じる方も多いようです。 &n …
葬儀費用の計算方法とは?
葬儀費用の計算はこうなります。
【基本プランの費用】
+
【プランにふくまれていなサービス分】
+
【実費】
=葬儀費用
実費とは、火葬料や飲食費などです
仏式のお葬式なら、別に「お布施」も必要となります。
このように、プランにふくまれていないものは、すべて追加サービスなので、別料金となります。
葬儀費用を節約する方法
追加する必要があるサービスの中には、自前で用意できるものもあります。
たとえば、火葬場へ向かう遺族の乗り物です。
出棺後の交通手段ね
葬儀後に火葬場へ向かう交通手段として、自家用車があるならいいですが、なければタクシーや貸切バスが必要になります。
親族のだれかが持っている自家用車を、火葬場への交通手段として利用できれば節約できます。
また、「自宅葬プラン」の場合には、お料理の手配などを自分たちで行えば、かなり格安になる可能性もあります。
ホール葬の場合は、持ち込み禁止のところが多いです
親族への通夜ぶるまいを、近所のおにぎり屋さんに注文するのも、かなり費用を抑えられる方法です。
遺影写真も数万円するので、自分たちで前もって作成しておくと、費用削減ができます。
このように、何もかもを葬儀社に任せてしまうのではなく、自前で準備できるものを考えれば、突然のお葬式であっても、少しは節約することが可能です。
市民葬(規格葬儀)のメリットとデメリットとは?
市民葬(規格葬儀)のメリットは、なんといってもお葬式を低価格で行うことができる、という点です。
たとえお葬式に関する知識がゼロでも、必要最低限の内容を盛り込んだプランが用意されているので、それを選べばいいだけです。
あとは、希望に合わせて、一つひとつサービスを追加していけば、シンプルかつ希望に合った内容のお葬式ができるようになっています。
また、「お金をかけたくない」「できるだけシンプルにしたい」という希望を、明確に葬儀社側に伝えることが可能という利点もあります。
【市民葬(規格葬儀)のメリットとは?】
- 低価格でお葬式ができる
- 自治体に住民票があればだれでも利用できる
- 指定葬儀社は地域において実績のある葬儀社
- 低価格の基本プランに必要に応じてサービスを追加できる
- 葬儀社に低価格の葬儀を希望していることが伝わりやすい
市民葬(規格葬儀)のデメリットとは?
一方、市民葬(規格葬儀)のデメリットとは、どういったことでしょうか?
市民葬(規格葬儀)は、あらかじめ用意されている葬儀プランそのものは低価格です。
ただし、必要最低限のサービスのみを加えた基本プランなので、必要なサービスを追加していくと、思いがけず高額請求を受けることになります。
サービスを一つ追加、あるいはランクアップするたびに追加費用もかかる、ということを認識しておく必要があります。
提示価格がそのまま、葬儀費用の総額ではありません。
【市民葬のデメリットとは?】
- 提示価格だけでは葬儀はできない
- 基本の祭壇や祭具がかなり質素(イメージギャップ)
- サービスを追加すると意外に高額になる
最近、家族葬を希望する方の間で、市民葬(規格葬儀)に注目が集まっています。 確かに、市民葬(規格葬儀)は低価格で質の高いお葬式ができると評判です。 た …
まとめ
今回は、「市民葬(規格葬儀)とは?」というテーマで、自治体が提供する低価格の葬儀について検証してみました。
市民葬(規格葬儀)と聞くと、お役所が損得抜きに考えた、シンプルかつ小さなお葬式というイメージですが、内容をしっかりと見ておく必要があります。
確かに、お葬式に必要最低限なものを組み込んだプランであることには違いないのですが、次の2点を忘れてはいけません。
- それだけではお葬式はできない
- 追加費用は必ず発生する
このことを、頭の片隅に置いておきましょう。
それさえ理解していれば、思った通りのお葬式をあげることができますよ。
もちろん、見積書は作ってもらいましょう。
葬儀社については、誠実で相性の良い会社を早めにチェックしておくことをおすすめします。
葬儀社探し・お墓探し・納骨代行など、終活に便利なサービスを集めたページです。役立つサービスが見つかるかも!