喪服の男性

 

 

あや子

こんにちは、三輪あや子です

 

お葬式は派手になりがちの日本ですが、近年「お葬式にお金をかけたくない」「お葬式は身内だけで質素にやってほしい」など、シンプルなお葬式を希望する方がとても増えています。

 

そういう流れの中、注目が集まっている市民葬ですが、どういうものなのでしょうか?

 

また、どうやって申し込めばいいのでしょうか?

 

そこで今回は、自治体がサポートしている「市民葬」について、メリットやデメリット、申込み方法などを簡単に解説していきます。

 

シンプルなお葬式を目指して市民葬が気になっている方は、参考にしてください。

 

三輪あや子

市民葬とは?どんなお葬式なの?

 

焼香

 

市民葬とは、自治体が地元の葬儀社と協定を結んで、基本的な内容の葬儀プランをつくり、それを市民向けサービスとして提供しているものです。

 

住民への福祉サービスの一環です。

 

あや子

市民葬は、生活保護受給者用の福祉葬とは別物です

 

市民葬は、一定の条件をクリアした「指定業者」のみが取り扱っています。

 

同じ自治体内であれば、どの指定葬儀社に依頼しても同一規格・同一価格で利用できます。

 

ただ、こういったサービスを行っていない自治体もあり、その場合、それぞれの葬儀社が独自に「市民葬プラン」を企画して提供しており、料金設定もサービス内容も異なります。

 

市民葬の種類

 

  • 自治体と指定葬儀社が提携している市民葬(同一規格・同一料金)
  • 各葬儀社の独自プランとしての市民葬(葬儀社によって金額も内容も異なる)

 

また「市民葬プラン」として2~3コースが用意されていて、選べるようになっています。

 

ここでは、自治体がかかわっている市民葬を採り上げています。

市民葬の葬儀内容は?

 

市民葬の葬儀内容は、亡くなった方を安置場所へと搬送し、納棺、葬儀担当者との打ち合わせを行い、通夜、葬儀(告別式)、そして火葬場にて火葬・拾骨というように、通常の葬儀と何ら違いはありません。

 

市民葬プランでは、式場の設営、納棺、霊柩車、火葬、骨壺など、基本中の基本サービスが盛り込まれています。

 

式場は、自宅のほか、町内の自治会館や葬儀社の式場などで行われています。

 

どのようなお葬式にしたいかで、必要なサービスは変わってきますが、足りないサービスについては、追加ることが可能です。

 

また、市民葬プランとして2~3コースが用意されているので、内容を見て、選べるようになっています。

市民葬を行うメリットとは?

 

微笑む主婦

 

自治体と葬儀社が協力し、サービスとして提供している市民葬には、いろんな面でメリットがあります。

 

民葬を選ぶメリットは、主に次の4つです。

 

  • 自治体から指定された葬儀社なので安心
  • どこの葬儀社に依頼しても同一価格
  • 葬儀の打ち合わせ時間が省ける
  • 安価な葬儀プランが利用できる

 

では、くわしく見ていきましょう。

 

手上げのあや子

自治体から指定された葬儀社なので安心

 

市民葬を扱うのは、自治体から指定を受けた葬儀社(指定業者)です。

 

指定業者には、その地域において長年の経験と実績がある葬儀社が選ばれ、登録されています。

 

身内が亡くなった時、どこの葬儀社にするかで大変苦労するわけですが、そういった下調べをまったくしていない場合でも、指定業者を選ぶことで、経験豊富なしっかりとした葬儀社に頼めるというのは、市民葬の大きなメリットの一つです。

 

遺族側の心情として、信頼できる葬儀社というのは安心ですし、それだけで気持ちの負担を軽くしてくれます。

どこの葬儀社に依頼しても価格は同じ

 

市民葬は、自治体が地元の葬儀社の協力のもと行うサービスなので、同じ自治体の指定業者であれば、どこに依頼しても、同一価格で提供されます。

 

市民葬のプラン内容も、同じです(同一価格・同一規格)

 

つまり、葬儀社どうしを事前に調べて価格や内容を比較しなくても、居住地から近い葬儀社に連絡すればいい、ということです。

 

あや子

ただし、自治体が変われば、価格もプラン内容も異なります

葬儀の打ち合わせ時間が短縮できる

 

市民葬は、2~3つの料金プランが用意されているので、そのどれかを選ぶようになっています。

 

通常は、どういったお葬式にしたいか何も決まっていないため、葬儀担当者と頭を付き合わせて、葬儀のタイプや規模などを一つひとつ決定していく必要があります。

 

市民葬を指定することで、その話し合いの時間が省けます。

 

市民葬プランには、あらかじめ基本的かつ必ず必要となるサービス類がセットされているので、あとは各自、追加したいサービスをオプションとして加えていく形になります。

 

葬儀内容を決める打ち合わせは時間もかかり、悩ましいことも多いので、これが短縮できるというのは、遺族の精神的な負担をかなり軽減してくれます。

 

感覚としては、生前契約を行っていたのと近いものがあります。

安価な葬儀プランが利用できる

 

豪勢なお葬式が主流だった時代に、亡くなった方の尊厳を守りつつ、少ない費用負担できちんとお葬式を行うために用意されたのが市民葬です。

 

できるだけ葬儀費用を抑え、経済的負担を減らしたい方に適したサービスです。

 

市民葬プランには、どのようなお葬式にも共通して必要となる部分のみがセットされています。

 

クロエ

最低限、絶対に必要なもんだけセットしてる、ってことだな

 

そこから、各喪家の事情によって、足りないサービスを追加していくスタイルです。

 

葬儀知識がなくても葬儀社と相談しながら、本当に必要なサービスだけを付け足すことが可能となります。

 

つまり、不要なサービスを省くことができるということです。

 

あや子ん?

最初からプランにふくまれているサービスとかは、たとえ利用しなくても省くことはできませんし、その分の割引とかもありません

 

さらに、市民葬(規格葬儀)を選ぶことで、葬儀社に直接依頼した場合よりも、一部のサービスが割安で利用できるようになっていることも、利点です。

 

通常の一般葬では100~200万円ほどかかる葬儀費用も、物価が上がった現在でも、市民葬では50万円程度に納めることも可能です。

 

「つつましい葬儀で十分」「葬儀に必要以上のお金をかけたくない」という考えを持っている方には、市民葬は一つの基準となります。

 

なお、国民健康保険に加入していれば、葬祭費として約5万円の支給があるので、それをあてれば十分に安価といえます。

 

支給額はそれぞれの自治体によって異なります。

 

クロエ

な・・・なるほど!

 

あや子

その他の健康保険に入っている人も、そちらから給付金がありますので、前もって調べておくといいですよ

 

以上が、市民葬を利用する上でのメリットです。

市民葬を行うデメリットとは?

 

思案する中年女性

 

家族葬を希望する方が増えた中で、注目度が高まった市民葬ですが、自治体と葬儀社の協定で提供されるサービスのため、制限されることもあります。

 

また、先ほどの市民葬のメリット部分が、人によってはデメリットに反転してしまう場合もあるので、自分の事情に合わせてメリット・デメリットを確認しておく必要があります。

 

ここでは、市民葬を行う上でのデメリットをチェックしていきます。

 

  • 葬儀社が限られている
  • 市民葬の祭壇がシンプルすぎる
  • 追加料金が思ったよりかかる
  • 担当スタッフが新米

 

では、一つずつ見ていきます。

葬儀社が限られている

 

市民葬を扱うのは、自治体から指定された葬儀社のみです。

 

指定業者リストの中からは選べますが、それ以外の葬儀社を自分で自由に選ぶことはできません。

 

例えば、近所にちょうどいい広さのホールを持った葬儀社があったとしても、そこが指定業者でなければ市民葬はできません。

 

また、自治体が指定する葬儀社は、中小規模の葬儀社がほとんどです。

 

自社ホールを持っていなかったり、ホールがあったとしても狭すぎたり、古びていたりと、イメージとはかけ離れているケースもあるので、ホール葬を希望する場合は確認が必要です。

 

自社ホールがない葬儀社に依頼した場合、自宅や自治会館などを借りてお葬式を行います。

市民葬の祭壇がシンプルすぎる

 

市民葬は低価格で提供されるだけあって、必要最低限の内容でまとめられています。

 

したがって、使用される祭壇、仏具、その他道具類すべてが簡素です。

 

市民葬がつくられた時代には、違和感がなかった内容も、現在の価値観をもって目にすると、イメージギャップの大きさに戸惑う方も多いようです。

 

特に、いろんなお葬式に参列した経験を持つ方が、市民葬の祭壇を目の当たりにすると、思わず「え、これ・・・!?」と唖然とするかもしれません。

 

例えば、最も安い市民葬プランだと、足つきの長テーブルに白い布をかぶせただけの一段祭壇であったりします。

 

その前に棺が置かれていなければ、ただの台ですが、そこへ供花や遺影、位牌などを置くことで祭壇らしくなります。

 

このように、市民葬プランというのは、一般の方が思いつかないほど簡素なものが多いです。

 

そこで「これで構わない」と割り切れるのならいいですが、そうでない場合は、サービスのグレードアップを希望することになり、追加料金がかかるようになります。

追加料金が思ったよりかかる

 

市民葬を申し込んだ方が直面するのが、プラン内容の乏しさから、追加しなければならないサービスが予想以上に多い、ということでしょうか。

 

市民葬は、もともと必要最低限にしぼった内容でまとめたプランです。

 

通常に葬儀プランでは無料で提供されるサービス類も、オプションであるがために割高になることも多々あります。

 

そうやって必要なものを追加していくうちに、料金がかさんでしまった、ということもよく言われています。

 

また、市民葬プランは同一価格であっても、その他オプションについては、葬儀社によって料金は違います。

 

可能であれば、いくつかの葬儀社に仮見積りを出してもらい、自分たちの場合、何を必要として、追加料金がいくらかかるのかを事前に調べておくのが、一番いいと思います。

 

【ポイント!】

 

市民葬を取り扱う葬儀社にも、いくつかの自社プランがあるはずです。

 

中には、家族葬など少人数用の葬儀プランが設けられているので、市民葬プランと同時に、そういった家族葬プランもチェックしてみてください。

 

結果的に、市民葬よりもずっとお得になるケースもあります。

 

葬儀社と相談して、よりリーズナブルなプランを選ぶようにするといいでしょう。

担当スタッフが新米かも

 

市民葬は通常、極めて小規模なお葬式なので、特に難しいこともなく、複雑な手配もないため、まだ経験の浅いスタッフが担当することが多いです。

 

葬儀社に連絡した時点では、営業のベテランが対応し、その後は別の担当者に変わるということも多々あります。

 

もちろん、それが悪いわけではなく、新米は見習ってきた知識をもって一生懸命に対応すると思いますが、行き届かない面があるのも確かです。

 

あや子

けれど、よっぽどのミスでない限り、遺族がそこに気がつくことは、あまりないと思いますし、周囲のベテランからいろいろチェックされながら、やっていると思います

 

また、中堅スタッフであったりすると、市民葬プランは葬儀社側としては利益が薄いため、どうしてもグレードの高い追加サービスをプッシュしようとする向きもなきにしもあらず・・・。

 

誠実に対応する担当者もいれば、ノルマを気にした強気の対応をする担当者もいます。

 

クロエ

安い方を選んだら、急にめんどくさそうな対応してきたりな・・・

 

あや子ん?

葬儀業界の人材は玉石混淆でね・・・入れ替わりも激しいのよ

 

あてがわれる担当スタッフによる対応のムラは、安価な市民葬で申し込むと、どうしてもあるようです。

市民葬の申込み方法とは?

 

喪服姿の夫婦

 

市民葬の申込みには、次の二通りの方法があります。

 

  • 自治体の受付で申し込む
  • 葬儀社に直接申し込む

 

どちらの方法で申し込んでも、サービスと料金に差はありません。

 

それぞれの申込み方法の流れは次のとおりです。

自治体の受付で申し込む方法

 

役所に死亡届を提出する際に、窓口で「市民葬を申し込みたい」と伝えると、市民葬を扱っている葬儀社リストが渡されます。

 

その中から一社を選んで、申込用紙に記入します。

 

その後、選んだ葬儀社から連絡があり、担当者が伺います。

 

自治体によっては、葬儀社リストのみを手渡され、自分で連絡して申し込む場合もあります。

 

なお、葬儀費用については、自治体から申し込んだ場合でも、葬儀社に支払います。

葬儀社に直接申し込む方法

 

市民葬を扱っている葬儀社(指定業者)へ、自分で連絡して申し込む方法です。

 

この場合、自治体に改めて連絡する必要はありません。

 

死亡届の提出などの手続きは、葬儀社が行ってくれます。

 

指定業者のリストは、役所の窓口でもらえますし、自治体のホームページで閲覧できるようにもなっています。

 

あや子

市民葬をサポートしていない自治体には、リストそのものがありません

市民葬の利用条件とは?どんな人が利用できるの

 

考える喪服の若い男性

 

市民葬を利用するには、条件があります。

 

  1. 亡くなった人の住民票が、市民葬のある自治体(市区町村)にある
  2. 遺族のだれかが、市民葬のある自治体の住民である(住民票がある)

 

このどちらかの条件を満たしていれば、市民葬が利用できます。

 

なお、②の場合だと、故人の住所が市外となるため、火葬料がかなり高くつきます。

 

あや子

火葬料は住民票があるかないかで料金が違います

まとめ

 

ブログを書くあや子

今回は、市民葬に関するメリットとデメリットについて、確認してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。

 

市民葬は、自治体と葬儀社との協力でつくられた、必要最低限の内容で設定された葬儀プランです。

 

確かに低価格なのですが、いざ市民葬を申し込んでみると、あまりにもイメージとかけ離れた簡素さに困惑する人も少なくないようです。

 

そこで、「お葬式にむやみにお金を掛ける必要はない」と考えつつも、

 

  • 「派手な葬儀は望まないが、貧相な葬儀をあえてしたいわけでもない」
  • 「シンプルだが、寂しくないようにしてあげたい」
  • 「見栄を張りたいわけでもないが、少しくらい華やいだ雰囲気も添えてあげたい」

 

このように考えている方は、葬儀社の家族葬などの低価格プランをチェックすることをおすすめします。

 

今は、お葬式そのものが小規模化傾向にあるので、少人数用のプランや一日葬プランなど、低価格帯の葬儀プランが充実してきています。

 

場合によっては、市民葬よりもリーズナブルということも多々あります。

 

市民葬を扱っている葬儀社にも、低価格帯の葬儀プランは用意されているので、よく比較検討することを、おすすめします。

 

ポイントは、葬儀プランの内容をしっかりと確認することです。

 

手上げのあや子