なぁなぁ、あやちゃん。ババさま亡くした友達に手紙書いてんだけど・・・ババさまのことって、どう呼べばいい?
う~ん。文中では、その愛称でもいいけど、最初はきちんと「ご祖母様」としたほうがいいわね
弔電を出す時や、家族を亡くした友人・知人にお悔やみの手紙を書くとき、ふと困ってしまうのが、亡くなった方の呼び方・敬称です。
ここを間違ってしまうと、せっかくの弔電もお悔やみの手紙も台無しです。
初めて書くお悔やみ文で、赤っ恥をかかないためにも、亡くなった人の敬称や、避けるべき忌み言葉について、かんたんに知っておきましょう。
それほど難しくありませんよ
どうぞ、参考にしてください。
「弔電」と「お悔やみの手紙」は何が違う?
弔電とお悔やみの手紙は、お葬式に参列できない場合に、遺族に対して「お参りできない失礼を詫び、故人の死を悼む言葉」を届けるものです。
どちらも同じ弔意を届けるものですが、この二つの違いをチェックしておきましょう。
違い(その1)香典を同封できるか、できないか
まず、弔電とお悔やみの手紙の大きな違いは、お香典をいっしょに送れるか、送れないか、ということです。
- 弔電・・・香典は送れない
- お悔やみの手紙・・・香典をいっしょに送れる
弔電は香典は送れませんが、その代わり、お線香やお花(プリザーブドフラワーなど)を添えて送れる電報サービスなどがいろいろとあります。
お悔やみの手紙に香典を添えて送るときには、郵便局の窓口で現金書留で送ります。
現金書留の専用封筒は、不祝儀袋がすっぽり入るサイズで、手紙も同封できます。
違い【その2】式場で読み上げるかどうか
もう一点、違いをあげるとすれば、「お葬式で読み上げるか」「読まれないか」です。
- 弔電・・・お葬式で読み上げ披露される。
- お悔やみの手紙・・・披露されない(受け取った本人が読むだけ)
なお弔電の場合、送られてきた弔電すべてを紹介するわけではありません。
なお、弔電は数が多いと全文を紹介するのは一部で、それ以外は差出人の肩書き・名前のみの読み上げとなります。
全文紹介する弔電・・・1~5通(各グループの序列1位をすくう形でピックアップ)
代表格が多すぎると、しぼりにしぼっても10通以上になることも、あるんだって?
そうねぇ。喪主が現役世代だと、特にそうなるわね。
それ以外にも、自分で考えた文章の弔電だったりすると、遺族が希望すればピックアップして読み上げることもありますよ
弔電・お悔やみの手紙で、故人のことをどう呼ぶ?
弔電やお悔やみの手紙では、亡くなった方に対して特別な敬称を用いることがあります。
これを正しく使い分けるためには、弔電などの受取手と故人との続柄を正確に把握しておく必要があります。
ここでは「宛名=受取人」です
- お悔やみの手紙・・・「受取人」は遺族(喪主でなくてもよい)
- 弔電・・・「受取人」は通常、喪主になります
【お悔やみの手紙で使われる敬称】
お悔やみの手紙は、受け取った本人しか読まない前提なので、付き合いの深さによっては、もう少しプライベート感が出てもかまいません。
文章の言い回しなども、弔電よりはやわらかく、親しみのあるものでもいいですし、それに合わせて敬称を選ぶといいでしょう。
【受取人との続柄】 | 【敬称】 |
夫 | ご主人様・ご夫君様 |
妻 | ご令室様・奥様 |
実父 | お父上・お父様・亡きお父上(様) |
実母 | お母上・お母様・亡きお母上(様) |
義理の父 | お義父様・お舅様 |
義理の母 | お義母様・お姑様 |
祖父・祖母 | 御祖父様 御祖母様 |
親の兄・姉 | 伯父様/伯父上・伯母様/伯母上 |
親の弟・妹 | 叔父様/叔父上・叔母様/叔母上 |
前の当主 | 先代・先代様・ご先代 |
書き手の亡くなった親 | 亡き父/亡父・亡き母/亡母 |
最後の「書き手の父母」は、手紙の中で自分の亡くなった親について触れる際の呼称です
普段使っている敬称ながら、遺族を思いやる文章の中で使うと、優しくも居住まいを正すような手紙になるでしょう。
かっちりとした文章ならば、次の弔電での敬称も参考にしてください。
【弔電で使用される敬称】
弔電で用いられる故人の敬称は、以下の通りです。
【受取人との続柄】 | 【用いる敬称】 |
夫 | ご主人様・ご夫君様 |
妻 | ご令室[れいしつ]様・ご令閨[れいけい]様・奥様 |
実父・義父 | ご尊父[そんぷ]様・お父様、お父上(様) |
実母・義母 | ご母堂[ぼどう]様・お母様・お母上(様) |
(※)妻の父・母 | ご岳父[がくふ]様・ご岳母[がくぼ]様 |
(※)妻・義兄弟の母 | ご丈母[じょうぼ]様 |
両親 | ご両親様・ご父母様 |
祖父 | お祖父[じい]様・ご祖父[そふ]様 |
祖母 | お祖母[ばあ]様・ご祖母[そぼ]様 |
息子 | ご子息(様)・ご令息(様) |
娘 | ご息女(様)・ご令嬢(様)・お嬢様 |
兄 | 兄上様・ご令兄[れいけい]様・お兄様 ・(名前)様 |
姉 | 姉上様・ご令姉[れいし]様・お姉様 ・(名前)様 |
弟 | ご令弟[れいてい]様・弟様 ・(名前)様 |
妹 | ご令妹[れいまい]様・妹様 ・(名前)様 |
家族 | ご家族様・皆様・ご一同様 |
(※)を付けた岳父と岳母については、少し追記しておきたいと思います。
岳父と岳母の使い方とは?
葬儀に寄せられる弔電の中には、ごくたまにですが「御岳父様のご逝去の報せを受け~~~」というように、聞き慣れない敬称が使用されていることがあります。
たま~に、見かけるぐらいですけどね
この岳父と岳母というのは、義父・義母と同じ意味ですが、妻の父・母に対してのみ使用する敬称で、それ以外には用いません。
また、丈母の「丈」は老人という意味なので、きわめて高齢の方以外には使わない方がいいと思います。
「老」には尊敬の意味もあるんだけど・・・今どきの女性は喜ばないでしょうね、たとえ故人であっても。
しかも八十代でも今は若々しい人、多いしね
- 妻の父:ご岳父[がくふ]様
- 妻の母:ご岳母[がくぼ]様
- 妻・義兄弟の母:ご丈母[じょうぼ]様
岳父・岳母の本来の使い方
岳父・岳母・丈母は本来、夫が礼状や何らかの通知などで、第三者に対して使う言葉でしたが、いつしか義理の両親を亡くした喪主(夫)への弔電などでも使われるようになりました。
とはいえ、実際に岳父・岳母を使用する方は少ないです。
弔電では通常「ご尊父様」や「ご母堂様」などが使われています。
岳父・岳母が使われている弔電って、一年で数回見かける程度でしたね
弔電以外で岳父・岳母が使われるシーンとしては、お葬式の通知や喪中はがきなどで、喪主と故人との続柄(つづきがら)を明示する目的で用いられることはあります。
ただ、こちらも現在は「義父」「義母」とするケースのほうが多いようです。
- 「本年○○月 岳父○○○○が九十八歳にて永眠いたしました」
- 「本年〇〇月に義父〇〇○○が九十八歳にて永眠いたしました」
- 「本年〇〇月 義父〇〇○○儀 九十八歳にて永眠いたしました」
- 「本年○○月 妻〇〇の父〇〇〇〇が九十八歳で永眠いたしました」
ね? 義父や義母のほうがすんなりわかりやすいでしょ?
このように、お悔やみの手紙や弔電では、聞き慣れない敬称を用いることが多々あります。
くれぐれも受取人と故人との関係を間違わないようにしてくださいね。
ここを間違うと、とても失礼なことになってしまいます。
お悔やみで故人の敬称を間違うと、どのくらい失礼!?
ちょっとした勘違いや、確認不足からくる敬称の間違いですが、ことお悔やみにおいてはマナー違反どころか、忌み言葉を凌駕する大失態です。
そんなにっ・・・!?
どのくらい失礼なことになるのか、実例から判断していただきましょう。
長年、司会をしていると、次のような弔電がまぎれこんでいたこともあります。
【事例1】喪主の60代の実父が亡くなったお葬式に届いた弔電
【届いた弔電】
「ご母堂さまのご逝去の報に接し~~~」
⇒(正)「御尊父様~~」
【その時の状況】
喪主のお母様は健在で、お葬式を取り仕切っておられました。そのお母様は「いややわ、これ間違ってはる・・・わたしまだ死んでないし」と苦笑いされていました。
これは、どうにもフォローのしようがないくらいの致命的な失敗ですね。
似たようなミスで、祖父のお葬式なのに、弔電には「御祖母様」と書かれていたものもありました。
【事例2】喪主の実父が亡くなったお葬式に届いた弔電
【届いた弔電】
「ご岳父様のご訃報に接し、心から哀悼の意を~~~」
⇒(正)「御尊父様~~」
【その時の状況】
これに関しては、喪主と奥様はチラッと見て大人対応でスルーされていましたが、実はこの時、奥様のお父さまは入院中でして、この2か月後に、お葬式を出されました。
なんで岳父にしたんだろ・・・無難に御尊父にしときゃ、よかったのにナ
【事例3」喪主の母親が亡くなったが、弔電の宛名が別人だったケース
【届いた弔電の冒頭】
「御祖母様のご逝去を悼み~~~」
⇒(正)「御母堂様~~」
【その時の状況】
これは、喪主の長男宛に届いた弔電で、このようなことになっていました。
確かに(長男から見て)故人は祖母に間違いないのですが、「だれに宛てて届いた弔電か」という情報は弔電本体ではなく別紙に書かれてあったりもするので、非常にわかりにくいです。
やはり、弔電は喪主宛とするのが正解です。
喪主の奥様が困惑顔で「これ、間違ってるんやけど・・・」と持って来られたので、宛名が長男になっていることを説明したところ、納得されていました(この時、明治生まれの喪主のおばあさまは健在で、喪服姿でシャンとしていらっしゃいました)。
この弔電は全文読み上げのグループに仕分けされていましたので、実際に披露する際には「ご母堂様」と言い換えて読ませていただきました。
故人の呼び方を間違うと、現場の状況はこんな感じです
若い方の中には敬称間違いなど、目くじらを立てるほどのことでもない、と思われるかもしれませんが、まだ生きている人のことを死んだ者として示されると、当事者としては、いい気はしません。
また、年齢が上がるほど公私両面で弔電を出した経験もあるため、そのあたりの手順や知識(常識・マナー)も十分に備わっているので、そういうミスは悪い意味で、印象に残ってしまいます。
十分にお気を付けくださいませ
弔電・お悔やみの手紙を書く時のルールとは?
ここでは、通常の手紙やメールとは異なる、弔電やお悔やみ状を書くときの基本ルール(決まり事)を確認していきます。
絶対に知っておきましょう!
誰宛に書く?
すでに述べましたが、弔電やお悔やみ状(手紙)を書くときには、遺族に宛てた表現に整えます。
- 弔電⇒喪主宛
- お悔やみ状⇒遺族宛て
故人の家族と面識がなくても、喪主が故人の息子であれば、息子さんへ宛てた内容にします。
- 「お父上のご逝去を悼み~~~」
- 「御母堂様の逝去の報せを受け~~~」
故人に宛てた手紙は「弔辞」になります。
弔辞を書いたなら、ぜひ遺族に伝えてください。とても喜ばれますよ
弔電・お悔やみ状の書き出しルール
通常の手紙と違って、弔電などのお悔やみ文では、時候の挨拶などは省き、本題から書き出します。
また、「拝啓」「敬具」などの頭語・結語も不要です。
- 「突然の悲報に接し 誠に残念な思いです~~~」
- 「この度のお父上様のご訃報の報せに~~~」
特に書式に決まりはありませんが、ダイレクトすぎる表現や忌み言葉などは、できるだけ避ける配慮が求められます。
- 頭語は不要・・・「拝啓」「謹啓」「急啓」など
- 結語は不要・・・「敬具」「早々」など
- 時候の挨拶は不要
- 本題から書き出す
- ダイレクトな表現は避ける
- 忌み言葉は避ける
忌み言葉やダイレクトな表現は避ける
弔電の場合は、例文の中から選ぶようになっているので、忌み言葉等の心配はほぼありません。
ただ、選んだ文章をアレンジした際には、注意してください。
お悔やみの手紙を書く場合は、自分で文章をつづるので、うっかり故人や遺族に対して失礼にあたる言葉づかいや言い回しをしていないかなどに、気をつける必要があります。
【不幸が続くかもしれないと思わせるような言葉】は避ける
- 重ね重ね(かさねがさね)
- 次々(つぎつぎ)
- つくづく
- 返す返すも(かえすがえすも)
- 重々(じゅうじゅう)
- 再び(ふたたび)
【ダイレクトな表現】は避ける
- 死んだ
- 死亡
- 自殺
- 死体
- 死に際
- 殺された
- 病死
これ以外にも、ハッとなるような表現はできるだけ別の言葉や表現に言い換えましょう。
例)死んだ⇒亡くなった・旅立たれた・星になった…..等々
【お葬式がキリスト教や神式で行われていた場合】の不適切な言葉
- ご愁傷さま
- ご冥福を祈る
- 往生(おうじょう)
- 冥途(めいど)
- 供養(くよう)
- 成仏(じょうぶつ)
- 草場の陰(くさばのかげ)
これらは、仏教で使われる言葉で、その他の宗教では使用しません。
普段、何気なく使っている言葉も、宗教によっては不適切な場合もあります。
これらはネットで調べればすぐにわかるので、弔電やお悔やみ状を書く前には一度チェックしておくと安心です。
わかる範囲で気をつければいいですよ
以上、お悔やみ状を書くことを想定して、思わず使ってしまいそうな忌み言葉を例として挙げてみました。
忌み言葉ってどの程度、気をつければいい?
こういった忌み言葉は、ほとんど慶事に対してのものなので、忌中の忌である弔事では、そこまで徹底排除することもないでしょう。
ただ、「もうこんな悲しいことは起こってほしくない」という遺族の気持ちに寄り添うつもりで、わかる範囲で避ければいいと思います。
例えば、「重ね重ね」や「たびたび」などの繰り返す言葉は、不幸を繰り返すことを連想させる、ということで「忌み言葉」の代表各となっています。
まあ、根底に言霊信仰があってのことだけどナ・・・
喪主側が使っていたとしても、弔問する側は使わないのがマナーです。
ご注意くださいね。
地域によっては、葬儀での忌み言葉など、誰もあまり気にしていなかったりしますけどね
確かに・・・。単なる言葉として、普通に使ってるよなぁ・・・
また宗教に関しては、はっきりとわかっている場合には、その宗教に合った適切な言葉を選ぶよう、心がけてください。
わからない場合には、宗教色の出ないニュートラルな表現にとどめておくと無難です。
お悔やみの手紙もらって、宗教用語一つでムカつく人なんて、めったにいないと思う
お悔やみの便せん・台紙の選び方
一般的なお葬式でお悔やみの手紙にふさわしい便せんや、弔電の台紙についても、知っておきたいです。
普通の便せんじゃ・・・ダメなのか?
クロちゃんの普通って、どんなのかな?
【お悔やみ状の場合】
お悔やみの手紙を送る際は、できれば無地か、それに近い上品なデザインの便せんと封筒を用います。
デザインが主張するものや、キャラクターが印刷されたものは、避けるのがマナーです。
また、「不幸が重なる」という意味合いから、弔事では便せんは一枚のみ、封筒は一重のものを使いましょう。
一枚目に文章を書き、白紙の一枚を重ねて同封するのも、不要です。
【弔電の台紙を選ぶ】
各電報サービスのWebサイトには、シンプルなものから高価なものまで、何種類ものデザインの台紙が掲載されています。
基本的に、自分が送りたいと思ったデザインのものを選ぶといいでしょう。
特にお世話になったという場合などは、漆塗りや蒔絵デザイン、プリザーブドフラワーやお線香などが添えられたものもあります。
プリザーブドフラワーなどは、焼香台や祭壇近くに飾ったりすることができ、華やかで喜ばれます
故人・遺族とのお付き合いの深さによって、選んでください。
逆に義理のお付き合いであれば、もっともシンプルなもので構いません。
電話で訃報を受けて、どうしてもお葬式に参列できない時、「そうだ、弔電送ろう」と思っても、どこで申し込めばいいのか迷うことってありますよね。 NTT 郵便局 その他(電報サービス会 …
まとめ
弔電やお悔やみの手紙は、遺族に宛てて書くことから、故人について触れる際、どう呼べばいいのか困惑する方も多いと思います。
特に、故人の顔も喪主に会ったこともなければ、なおさらでしょう。
訃報を知ったなら、まずは【故人の名前】【喪主の名前】【喪主と故人の続柄】【葬儀の日時】【葬儀場住所】を確認しましょう。
弔電の場合は、基本的に喪主宛とし、故人と喪主との続柄を確認します。
お悔やみの手紙は、手紙を出したい相手(遺族)と故人との続柄を確認してください。
あとは、相手の心情への気遣いとして、世間一般でいう「忌み言葉」はできるだけ避けるようにすることで、間違いは起こりません。
お悔やみ文で困ったなら、電報サービスのWebサイトに豊富なお悔やみ文例がアップされているので、それを参考にするのも一つの方法です。
訃報を受けて通夜にも葬儀にも参列できない時には、うろたえて機を逸することなく、どのような形で弔意を伝えるのか考え、速やかに対応しましょう。
じょうずに弔電とお悔やみの手紙とを使い分けて、思いを伝えてくださいね。
お葬式に参列できなかったとき、せめて弔電でお悔やみの気持ちを伝えたいですよね。 でも・・・弔電っていつまでに送ればいいのでしょうか? 葬儀に間に合わなかったら、その …