こんにちは、三輪あや子です
たとえば、病院で高齢の親を看取った後、どうすればいいのでしょうか?
映画やドラマでは、すぐに通夜やお葬式のシーンに変わってしまいますが、現実はそうはいきません。
それまでに、遺族にはいろいろな手続きが待ち受けています。
今回は、看取り後の手続きについて、臨終からお葬式までの流れを確認していきたいと思います。
【危篤】突然の危篤!まず家族がするべきこととは
仮に、ここでは父親が危篤状態になったとします。
世の中のお父さま、ごめんなさい。
具体的にイメージしてもらうためです。
家族が突然の危篤状態になると、いくら心構えをしていても、あわててしまうものです。
ですが、事態は一刻をあらそいます。
息のあるうちに、会わせておきたい人には至急、連絡をしてください。
よっぽどの事情がない限り、家族と近親者には危篤であることを知らせます。
- 親族(危篤状態の人の3等親までの親族)
- 友人(特に親しかった人)
ただ、相手が遠方やご高齢などの理由で、あえて知らせないケースもありますが、それぞれの家の事情により対処は異なります。
危篤の知らせの範囲や、知らせないケースなどについての詳細は、こちらの記事にまとめています。
大切な家族の危篤を告げられた時、まずすべきことは親族への連絡です。 病院では必ず医師から「会わせたい方がいれば、すぐに連絡してください」と言われます。 命のタイムリミットが近づい …
検体・臓器提供の意思
本人に、亡くなった後の【検体】や【臓器提供】の意思表示があった場合は、可能であれば希望を叶えてあげてください。
魂が抜けた後の肉体が、日本の医学の発展に役立てば、という気持ちで検体を希望される人も多いようです。
また、臓器提供を行っても、とてもきれいな処置をして戻ってくるので、痛々しさは感じなくてすみます。
本人が自動車免許証を持っている場合、その裏面に「臓器提供に関する意思表示」の項目があるので、念のために確認するといいと思います。
葬儀社の検討
当サイトのメインテーマでもある、葬儀社さがしです。
亡くなってから葬儀社さがしを始めるつもりの方は、きびしい判断ですが、危篤の段階で検討し始めた方がいいですね。
葬儀社に心当たりがあったり、すでに生前契約を結んでいる場合は、医師から死亡時刻を告げられた後、その葬儀社に連絡するだけでOKです。
もし、家族に突然の不幸が起こったら? 急に葬儀屋さんを探さなくてはならなくなったら? 病院で手渡された葬儀社リストの中から、どうやって、いったい何を基 …
当座の現金の準備
人が亡くなると、何かと物入りです。
ある程度、まとまった金額を現金で用意しておく必要があります。
ここで要注意なのは、亡くなった親の口座からは現金を引き出せない、ということです。
死亡後の当人名義の口座は凍結されます。
容態が危ぶまれた時から、あるいはそれ以前から、当座必要となるお金の準備はしておくほうがいいでしょう。
もしもの時のために計画的に対処しておくことをおすすめします。
確実に言えることは、亡くなった直後に、その時間的猶予はあまりありません。
高齢者の預貯金は、一日の引き出し限度額があったりするから、要注意だよ
【臨終】看取った後に行うこと
病院では、危篤に駆けつけた皆が見守る中、息を引き取ると、医師がその死亡を確認します。
大切な家族が亡くなったあと遺族が行うべきことは、死亡診断書を受け取り、搬送先を決めることです。
亡くなった方を移送する葬儀社の手配
病院で亡くなった場合、病室あるいはICUなどから霊安室に移動します。
病院によっては「ゆっくりでいいですよ」と言ってくれるところもありますが、それでもずっとその場に居続けるわけにはいきません。
早急に葬儀社を手配して、亡くなった方の移送を行います。
葬儀社が決まっていない場合は、病院で渡される葬儀社リストか電話帳を見て連絡をします。
亡くなった方を搬送する(安置)
病院で息を引き取った故人の搬送先は、自宅か葬儀場のどちらかになります。
以前は、一般的として自宅への搬送が多かったのですが、近年は葬儀会館(式場)への直接搬送が増えています。
この搬送は、葬儀社に連絡して行ってもらいます。
葬儀社が決まらない場合は、いったん自宅への「搬送のみ」を葬儀社に依頼することもできます。
「搬送の依頼」と「葬儀の依頼」は、別々の葬儀社でも問題ありません。
ただ、費用は余分にかかるけどね
- 病院⇒自宅(自宅葬)
- 病院⇒自宅⇒葬儀式場
- 病院⇒葬儀式場
死亡診断書の受け取り
病院で亡くなった場合、死亡診断書は病院で渡されます。
死亡届に必要な書類なので、確実に受け取って、なくさないようにしてください。
葬儀担当者から求められれば、確実に預けてください。
葬儀社が役所手続き(死亡届~火葬場の手配)を代行してくれます。
- 【病院で】臨終に立ち会った医師からもらいます
- 【自宅で】自宅で亡くなった場合は、死亡を確認した医師からもらいます
- 【その他】警察による検視後、「死体検案書」が交付されます
病院への支払い
病院で亡くなった場合は、退院手続きと費用の支払いをすませます。
この支払いに関しては、日をあらためて精算することも多いです。
【葬儀方針の決定】通夜・葬儀を決める
亡くなった方を病院から移送して安置した後は、どのような葬儀にするかを葬儀社と相談して決めていきます
- 葬儀の形式を決める
- 僧侶(宗教者)に連絡をとる
- 葬儀の日程や場所を決める
まず、一般葬か家族葬かを決め、次に僧侶に連絡を取ります。
僧侶が即座に駆けつけてくれるなら、枕経・通夜・葬儀とすぐに日程は決まりますが、僧侶の予定が詰まっている場合は、日程をずらすこともあります。
お付き合いしているお寺がなかったり、あっても遠方の場合は、葬儀社に僧侶を紹介してもらったり、僧侶派遣サービスの利用も最近は増えています。
- 死亡届の提出(葬儀社が代行してくれます)
- 火葬許可証の交付(死亡届の提出と引き換えに受け取ります)
葬儀に必要な役所関連の手続きは、すべて葬儀社が代わりにやってくれます
【通知する】訃報を知らせる
通夜・葬儀の日時が決まれば、親族のほか友人・知人・職場関係などに訃報を伝え、通夜・葬儀日程を知らせます。
- 臨終に連絡しなかった親族
- 友人・知人・自治会関係
- 職場関係
- 葬儀世話役・弔辞
また、必要に応じて葬儀の世話役や、弔辞の依頼をします。
世話役というのは、葬儀委員長であったり、会社関係からの手伝いであったり、自治会の手伝いであったり、いろいろです。
それぞれの地域の慣習や、社交などによって異なりますが、必要であれば、すぐさま連絡をしてお願いをします。
弔辞についても、できるだけ早くにお願いすることが、相手にとっても親切です。
弔辞の頼み方については、以下のページにまとめています。
社会人になると、お付き合いの範囲も広がるため、お葬式に参列する機会もあります。 特に会社関係のお葬式に参列すると、 中には、祭壇の前で弔辞を読まれるシーンも見かけることも多いと思 …
【通夜までの準備】内容を決める
葬儀社との打ち合わせ(相談)の段階でいろいろと決めていくのですが、会葬礼状や返礼品の手配、遺影写真の準備や湯灌(ゆかん)を行います。
また、僧侶が枕経をあげに来られます。
その後、遺族の立ち会いのもと、亡くなられた方を棺に納める「納棺」を行います。
お気に入りの服に着替えさせたり、棺の中に愛用の品を持たせてあげたりしてください。
棺の中に入れられない物もあるので、納棺係の方に「これ、持たせてあげてもいいかな?」と聞いてみるといいですよ。
湯灌(ゆかん)とは?
湯灌というのは、亡くなった方の最後の「お風呂タイム」です。
湯灌の後のお顔は、さっぱりとした表情になるのが、とても不思議なんです。
湯灌はオプションなのですが、できれば付けてあげたいサービスです。
見守る家族もホッコリして、心がなぐさめられますよ
返礼品と会葬礼状
ここでいう返礼品とは、参列者全員に渡す品物です。
会葬礼状は、その品物に添えます。
通常、通夜用と葬儀用の2種類の返礼品を用意します。
この参列者に渡す返礼品は、余れば返品できます。
会葬礼状は名前が入っているので返品はできませんが、品物については葬儀が終わってからでも返品できるところがほとんどです。
葬儀後に自宅にお参りに来られた方へ渡すのにも都合がよいので、葬儀後にいくつか持ち帰る方が多いです。(不使用なら返品できるので)
家族葬でも注文しておいたほうがいいですね。
このほか、香典の即日返しをする方は、香典返しの品物も選びます。
遺影写真の作成
「これがいいかな」という写真を持って行けば、通夜に間に合うように葬儀社で遺影を作成してくれます。
ただ、この遺影作成は、プランにふくまれていなければ、オプションとして数万円の費用がかかります。
その場合は、自分たちで遺影を用意するのも、一つの方法です。
今は、インターネットで注文すると、24時間以内に受け取れる遺影写真のサービスもあって、大変便利です。
自分たちで手配すれば、かなり安価に調達できるので、いろいろなサービスを比較してみるといいと思います。
突然のお葬式であわてることの一つが、遺影の準備です。 前もって遺影写真を準備していれば問題ありませんが、ほとんどの方は、お葬式の準備に入ってから、遺影にできそうな写真探しを始めま …
【通夜】亡くなった当日
通夜は、亡くなった時間にもよりますが、当日か翌日の夜に行われます。
通夜では、遺族として焼香するとともに、弔問客に応対します。
最近では、18時か19時からの開式がほとんどです。
通夜式の所要時間は、宗派によっても違いますが、だいたい30分~1時間が目安です。
通夜での焼香は僧侶の読経が始まって、わりとすぐに行われるので、遅刻しないほうがいいでしょう。
僧侶の読経が始まって5分後ぐらいに焼香がスタートすることもあります
通夜では、到着時すでに焼香タイムが終了していても、僧侶の読経中は、焼香に案内してもらえます。
焼香に案内された際には、遠慮などせず、すみやかに座席に荷物を置き、数珠だけを持って焼香台へ進み、焼香をしてください。
また、通夜には翌日のお葬式に参列できない方、会社関係・学校関係者などが仕事を終えてから来られます。
そのため、通夜式が終わった後も、弔問に来られた方があれば、その都度、親族が応対します。
近年、お葬式当日よりも通夜のほうが、弔問者の数は多い傾向にあります。
また、通夜ぶるまいですが、これも各喪家の事情によって適切に準備します。
葬儀会館に宿泊できない場合は、いったん帰宅し、翌朝、司会者との打ち合わせを行う約束の時間には式場に戻ります。
- 通夜式での喪主あいさつ
- 通夜ぶるまいでの簡単なあいさつ(開始と終了時)
- 通夜式後に弔問に来られた方への対応
通夜が終わったあと、翌朝までにすることもあります。
【お葬式当日のための準備】
- 弔電の読む順番を決め、送り主の名前にふりがなを打つ
- 焼香順位を作成する場合は、順番を決める
- 火葬場に行く人数を決める
- 葬儀後の精進落とし(料理)の個数を決める
- 僧侶へのお布施の準備
これらは通夜が終わって一段落した頃に、親族と相談しながら行い、その結果を翌朝、司会者か担当者に伝えます。
【葬儀・告別式】お葬式当日を迎える
開式30分前には、会葬者が到着し始めるので、喪主をはじめ遺族は応対します。
スタッフから案内があるので、お布施を整え、僧侶へ挨拶をします。
葬儀・告別式が始まり、弔辞・弔電が読まれ、親族の焼香、会葬者の焼香、そして、喪主の挨拶の後は、棺の中にたくさんのお花や、生前の故人が好んだ物などを入れる「お別れの儀式」を行います。
慣れ親しんだ魂の器(身体)とは、この場を最後にお別れとなります。
- 葬儀の最後に喪主あいさつ(葬儀の最後、もしくは出棺時に行う)
【出棺】葬儀場から火葬場へ向かう
葬儀・告別式が終了したあと、親族は手配したバス・タクシーに分乗して火葬場へ向かいます。
この時、位牌・写真・棺の移動を喪主・親族が担います。
- 位牌(喪主)
- 写真(喪主の配偶者)
- 棺の移動(親族4~6名)
昔の「野辺送り」のなごりですね
順番に並んで、霊柩車へ向かいます。
喪主は霊柩車の助手席に乗ります。
全員が分乗した後、霊柩車・僧侶の車・親族の車の順で火葬場へ向かいます。
火葬場へ同行しない親族は、ここでお見送りします。
【火葬】火葬場に到着
葬儀社のスタッフによって書類手続きは済ませているので、親族は霊柩車に続いて、予約している火葬炉の前に到着します。
僧侶の読経の中、焼香をするなど納めの儀式を行った後、火葬場の職員によって棺は炉に納められます。
そして、骨揚げの時間を告げられ、炉のカギを渡されるので、しっかりと持っておいてください。(葬儀社のスタッフが預かってくれる場合もあります)
骨揚げの時間は、火葬炉に納めてから1時間半~2時間後です。
そして、都会を中心に、この待ち時間の間に精進落とし(会食)をすることが多くなっています。
精進落としを始める前に、喪主は一言あいさつをします。(本来、精進落としは一番最後に行う宴なので、滞りなくお葬式を終えることができました、という意味のあいさつを行います)
- 火葬許可証と火葬料を受付に提出(喪家名の札を受け取る)
- 火葬後、埋葬許可証を受け取る
火葬後(お骨揚げの時)に受け取る
「埋葬許可証」は、お墓に納骨する時に提出する書類です。
散骨や永代供養を行う場合にも必要なので、失わないようにしてください。
【拾骨】骨揚げを行う
骨揚げ時間の約10分前に場内アナウンスがあるので、火葬炉の前に集合します。
葬儀社のスタッフが、あらかじめ選んでおいた骨壺や埋葬許可証などをそろえて準備しているので、親族は特になにもする必要はありません。
時間になれば、職員の説明を聞きながら、順番に拾骨を行います。
【初七日法要】葬儀当日に初七日を行うケース
関東では、「繰り上げ初七日」として葬儀・告別式の中に初七日を組み込んでしまうケースが多いようですが、
関西では、骨揚げの後に「当日初七日」をすることがほとんどです。
- 関東・・・お葬式の最後に初七日も付け加える
- 関西・・・お葬式当日、骨揚げ後に初七日法要を行う
関西でも創価学会の友人葬では、
繰り上げ初七日をやっているところもありますよ
浄土真宗では即身成仏という考えから、お葬式当日に行うのは、初七日法要ではなく「還骨勤行(かんこつごんぎょう)」です。
この法要のあとは精進落としの宴が行われます。
ただ、先ほど紹介したように精進落としに関しては、火葬場に到着後、骨揚げ(拾骨)までの待ち時間の間に済ませるケースが多くなっています。
初七日も精進落としも、都会になるほどこういった略式が採用されています
【散会】お葬式が終わりました
初七日・精進落としなど、スケジュールのすべてが終われば、喪主は散会のあいさつをします。
特別な言葉などはいりませんので、滞りなくお葬式を終えることができた感謝の気持ちを、率直に伝えてください。
みんな帰るタイミングがわからないから、一言でもあいさつしたほうがいいんだって
そして、一家族ごとに初七日の供物を分けたものを渡して、持ち帰ってもらいます。
- 初七日の供物を家族数に分ける(葬儀社のスタッフがしてくれている)
- 喪主のあいさつ
まとめ
ここまで、臨終後~葬儀までの流れを見てまいりましたが、いかがでしたでしょうか?
人が亡くなってから、お葬式をあげるまでは、怒濤の流れのようです。
大切な家族を亡くし、永遠の別れを実感していく中で、これだけのスケジュールをこなすには、かなりの気力を要します。
臨終後の流れの中で、遺族がするべきことのポイントは、以下の通りです。
- 故人の安置場所(自宅か式場か)決める
- 搬送してくれる葬儀社を手配
- 葬儀の形式(一般葬か家族葬か)決める
- 僧侶に連絡をとる
今は、搬送を行った葬儀社に、そのままお葬式を依頼するケースがほとんどです。
あわただしく選んだ葬儀社だと、いろいろと不満が残る場合もあります。
ご両親が後期高齢になった段階で、いくつかの葬儀社を比較検討し、プラン内容や費用について事前に考えておくことをおすすめします。
葬儀業界では、生前契約した方はなぜか長生き、というジンクスがあったりしますよ。
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