こんにちは、三輪あや子です
突然のお葬式であわてることの一つが、遺影の準備です。
前もって遺影写真を準備していれば問題ありませんが、ほとんどの方は、お葬式の準備に入ってから、遺影にできそうな写真探しを始めます。
葬儀社に言われてから急に探しても、なかなか遺影にふさわしい写真は見つかりません。
それでも見つけなくてはなりません。
そこで今回は、遺影写真の選び方のポイントをご紹介いたします。
遺影選びで失敗した例なども載せているので、ぜひ今後の参考にしてください。
写真を選ぶポイントは、写真を撮るときのヒントにも使えるよ
遺影とは?
遺影というのは、亡くなられた方の写真のことで、額装されて後々の代まで残されるものです。
この遺影の大きさは飾られる場所によってさまざまですが、四つ切りサイズが一般的です。
この遺影が最初に用いられるのがお葬式です。
式場に設置した祭壇中央あたりに飾られ、弔問客は遺影に語りかけ、想いをはせ、冥福を祈って手を合わせます。
実際は祭壇の手前の棺の中に眠っているんだけどね~
弔辞などを読む際も、この遺影に向かって語りかけます。
遺影は自宅のどこに飾る?
葬儀が終わって帰宅すると、遺影は自宅に設置した白木の祭壇に骨壺といっしょに四十九日まで飾ります。
白木祭壇の組み立てや飾り方などは葬儀社が教えてくれますし、場合によっては全部準備してくれるところもあります。
宗教の違いや、それぞれの事情で白木の祭壇を使用しないケースもあります。
四十九日法要をすませた後の遺影は、仏壇や仏間に飾られ、家族、子や孫の行く末を見守り続けます。
和風の家だと鴨居(かもい)に留め具で設置したり、洋風家屋なら肖像画のように壁に飾ったりしていますね。
ただ、最近はいろいろな考え方やスペースの問題から、遺影はリビングに飾られたり、大きい写真は大事にしまっておいて、デジタルフォトにするケースも増えているようです。
遺影はいらない。なら、作らなくてもいい?
「遺影はいらない」と考える方は、作らなくてもかまいません。
というのも、遺影は仏具ではないので、お葬式という儀式に必ずしも必要というわけではありません。
んじゃ、なくってもいいってことだな?
ただ、わたしが司会としてたずさわったお葬式で、遺影を作らなかったケースは、次の一件のみでした。
かんたんにご紹介すると、こんな感じのお式でした
亡くなられたのは、お一人暮らしの高齢男性で、写真等はすべて処分済みだったそうです。
さらに「遺影などは不要」との遺言があり、参列者も遺言執行者の女性がおひとり、という極小お葬式でした。
つまり、葬儀の場にいたのは、僧侶とわたし(司会者)と遺言執行人の3名のみ。
とはいえ、お葬式そのもののグレードは高く、決して格安葬儀ではありません(葬儀担当者によると、生前契約ですべて手配済みだったそうです)。
祭壇そのものは小さいサイズでしたが、それを覆う形の花祭壇が両翼を伸ばすように広がり、かなり豪勢です。
使用する花も、種類はさまざまですが、凜とした雰囲気をかもしだす白系で統一されていました。
大勢の会葬者で席が埋まってもおかしくない規模ながら、私達3名以外だれもおらず、遺影もないので故人のお顔がわからないまま式辞進行するという、少し特殊な例でした。
弔辞も弔電も一切なし。
まさに生を終える「けじめ」としてのお葬式のようでした
このようなイレギュラーなケースもありますが、通常は遺影のないお葬式はあまり見かけません。
ただ、これからは少子化や未婚率の高まりなどで、お葬式のあり方も変化していくので、あえて遺影を作らない、というケースもそこそこ増えるかもしれません。
現在のところは、お葬式の規模にかかわらず、たとえ祭壇のないスタイルであっても、遺影は必須アイテムとなっています。
ただし、遺影を作るか作らないかは自由です。
お葬式で遺影を作るタイミングとは?
遺影を作成するラストタイミングは、亡くなった直後から通夜の前までです。
遺影を作るといっても、その場で撮影するわけではありません。
もう亡くなってるわけだし・・・ムリだわな
はい。でも時々、その場で撮影すると思い込んでしまっている方もいたりしますよ
遺影は、手持ちの写真の中から選んだものを使います。
事前に遺影用の写真を準備していれば、それを提出するだけですが、亡くなってから遺影の準備を始めるとなると時間的な余裕はほとんどありません。
葬儀社で遺影を作成する場合は、専門業者に発注するため、ほとんどが葬儀担当者との打ち合わせの段階で写真の提出を求められます。
いきなり言われても・・・
うん、だから、どの写真を使うかだけでも決めていると、かなり助かると思うのよね・・・
生前に遺影そのものを作っている方は少ないでしょうが、遺影用の写真を決めている方も、まだまだ少数派なのが実情です。
そのため、ほとんどの遺族が葬儀の担当者に「遺影用の写真は決めていらっしゃいますか?」と問われ、初めて「遺影って今いるんだ」と気づき、自宅に戻ってあわてて遺影用の写真を探すことになります。
つまり、多くの方がギリギリ駆け込みのタイミングで、遺影を作成するはめになっている、ということですね。
ただ、そうやって選んだ写真というのは、どこか納得がいかない部分もあるようで、葬儀後に改めて作り直す方もわりといらっしゃいます。
- 遺影は生前に準備できる(時間的余裕がある)
- 亡くなった直後が遺影を作るラストタイミング(時間的余裕はなし)
このほかに、故人に着せる服についても聞かれます。
最後に着せたい服も決めておくといいですよ
特にないなら、旅立ちセットの白い着物だね
遺影には、どんな写真を選ぶべき?
緊急時にはすみやかに今ある写真の中から適当な一枚を選ばなければなりません。
できるだけ「いい遺影」にするには、どのような写真を選べばいいのかを見ていきましょう。
どんな写真が遺影にふさわしい?
遺影にするならば、できるだけ最近のもの、または、体力が衰える直前に撮影された写真がよいでしょう。
親族にとっても、何の支障もなく日常生活を送っていた頃のお顔のほうが心に残っていると思いますし、天寿を全うするときまで、そうであってほしいと願っていたと思います。
そういう点でも、顔がはっきりと写っていて、なおかつ、ほがらかに笑っているものや、やさしい顔つきのものなどを選ぶと、見る側の心も安まります。
普段からしかめっ面しか見せたことのない方の場合でも、アルバムの中に笑ったいい顔があれば、それを選んでみるのもいいと思います。
・・・やっかいな親父だったけど、こんな顔もしてたんだぁ~、とか思えて、いいんじゃない?
意外と、孫やひ孫のスマホの中に、良い写真が保存されていることもあります。
念のため親族全員に呼びかけて、手持ちに「いい写真」を持っていないか、確認しましょう。
「いい顔」で写っていれば、それがパジャマ姿であっても、背景に大勢の人が写り込んでいても問題ありません。
遺影作成の段階で、写真加工技術でなんとでもなります。
- できるだけ最近のもの(過去5年以内に撮影したもの)
- 寝込む前・闘病前に撮影された写真
- 自然な表情の写真
- 人柄がよく表れている写真
- 正装でなくてもOK
写真選びの具体的なポイントについては、後の項目で確認していきます
写真がありすぎて選びきれない場合
気に入った写真がたくさんあった場合は、その中から、ベストな一枚を遺影用とします。
それ以外の、遺影用ではないが、生前の楽しげな様子の「いい写真」がたくさんあって、披露したい気持ちがあるなら、ぜひ葬儀担当者に相談してみることをおすすめします。
手軽にできる何らかのアイデアを出してくれると思います。
とりあえず相談、とりあえず言ってみる、だな
たとえば、特設メモリアルコーナーです。
式場の出入り口付近にちょっとした台などを置き、そこにボードに貼った写真や思い出の品を並べて、参列者が自由に眺められるようにします。
その応用編として、故人が趣味で描きためた絵画や、工芸品などがあれば、それを展示するミニギャラリーをつくったりというのもアリです。
若い親族の方がいると、いろいろ趣向を凝らした演出をしてみたり、わりとみなさん自由にされています。
葬儀社によっては本格的なサービスとして、開式前にスクリーンで観る追悼アルバム(ビデオ)として、たくさんの写真を紹介するサービスも行っています。
契約した葬儀社にどういうサービスがあるかも、あらかじめ知っておくといいと思います。
前もって葬儀社を決めておくメリットは、冷静に一つひとつのサービスを吟味して選択したり、考えたりできる点ですね
できた遺影に文句を言わせないコツ
遺影にする写真選びは(事情にもよりますが)できるだけ複数人で選びましょう。
いったん自宅に戻った時に、候補の写真を複数枚か、いっそアルバムごと抱えて葬儀会館に戻ってもかまいません。
とにかく、喪主ひとりで決めてしまうのではなく、その他の家族みんなで選ぶのが、不満を残さないコツです。
みなで意見を出し合って選んだ写真であれば、多少思うところがあっても、選ぶ過程を理解しているので、あからさまな文句は出てこないでしょう。
仮に親戚筋から苦言を呈されたとしても、写真選びに参加したみながフォローしてくれます。
みなで選ぶと、次々と思い出もよみがえって、それが悲しみを癒やす効果になったりもします
遺影にする最近の写真がなかったら、どうなるの?
遺影に関することで、よく耳にするのが「昔の写真しかなかった」ということです。
高齢になると、交際範囲も限られ、写真を撮る機会そのものが少なくなってきます。
スマホ持っててもさ、ほとんど植物とペットと孫の写真で埋まってるもんな
最近の写真がないとなると、古いアルバムをさかのぼり、どうにかこうにか本人の顔がわかるものを選ぶしかありません。
中には亡くなった年齢よりも相当若かりし頃のお写真で遺影を作られているケースもままあります。
90代で亡くなられた方の遺影が、定年退職前の慰安旅行で撮影された集合写真を使っていて、「え、あ、あれっ・・・?」と戸惑った経験は幾度もあります。
それはともかく問題は、古い集合写真(現像写真)の一部を大きく引き延ばすことで、粒子がかなり粗くなるため、遺影が非常にぼやけた仕上がりになってしまうことです。
そのため、お葬式に集まった親戚から「これしかなかったの?」と問われている場面も、わりとあったりします。
こんな感じです。
葬儀の開式1時間前になると、遠方の親戚も葬儀会館に到着しはじめます。
控え室に手荷物を置いた親戚は、まずはお線香をあげに式場に来られます。
案内するのは、喪主やその家族。
霊前(祭壇前)で一人ひとりお線香をあげ、手を合わせていただきます。
そのあとは、亡くなった時の様子などを聞きながら、棺の中の故人と対面しつつ、集まった叔父伯母、その他の親戚筋がしみじみ祭壇中央に飾られた遺影をながめて、それぞれ思いをはせていらっしゃいます。
親戚の方々も「△△さんは、やさしい人やったなぁ・・・」と、つぶやきつつ遺影を見上げて、しばし沈黙のあと、いろいろな感想をのべられます。
「ああ、ちゃんと遺影になったんやね・・・」
「・・・えらいムスッとしてるな、これ」
「うん、でも・・・お父さんの写真、これが一番マシで・・・」
「ああ・・・」(全員が苦笑い)
というように、近しい親戚であるがゆえの遺影品評会シーンは、ひんぱんに見受けられました。
悪くはないのだけれど、自分が親しんだ顔とちょっと違う・・・という感じでしょうか。
微妙な出来映えの遺影も、場合によっては悲しみをやわらげ、場をなごませてくれたりもするので、これはこれで決して悪くはなかったりもします(と、わたしは思っています)。
出来映えがよろしくなくても、お葬式では「とりあえず、この遺影」で乗り切り、後日あらためて納得のいく遺影を作成する方法もありますしね。
いつかは迎える「もしも」の時のため、遺影用の写真は作っておいてもいいと思います。
本人が前もって準備するのでなければ、その家族が心がけておくといいでしょう。
後期高齢にさしかかったなら、数年ごとに遺影用にベストな写真を選んでおくことを、おすすめします。
遺影の選び方6つのポイントとは?
手持ちのアルバムの中から遺影を選ぶときには「最近のもの」「元気な頃のもの」「人柄があらわれたもの」を選びましょう、ということは前項で述べました。
ここでは、もう少し具体的な選び方のポイントを見ておきます。
急きょ、実家のアルバムの中から1枚を選び出すときの参考にしてください。
理想的な遺影とは?
遺影として理想的なのは、金婚式などの慶び事の記念に、夫婦二人で写っているような写真です。
おめかしして、気心の知れた伴侶とリラックスした様子で、ほんのり笑顔を浮かべた記念写真は、遺影にふさわしいと言えます。
遺影は元となる写真をそのまま使うわけではなく、故人の顔部分だけを抜き出したり、背景を差し替えたり、いろいろと修正加工をほどこして仕上げます。
そのため、必ずしも亡くなった方が一人で写った写真でなくてもいいのです。
遺影用の写真を選ぶときのポイントは、次の6つです。
- 人柄がよく表れている写真
- できるだけカメラ目線のもの
- ピントが合った写真
- 顔が大きく写っている写真
- 家族が見て、好ましく思える写真
- 最近の写真(できれば)
以上の、6つのポイントをできるだけ満たす写真が、遺影にふさわしい写真です。
では、一つひとつチェックしていきます
人柄があらわれた写真が望ましい、そのワケは?
大切な家族が亡くなった後も、その写真をみれば、いつでもその存在を思い起こし、身近に感じられ、喪失感をいやしてくれるのも、遺影の役割です。
その後の生活の中で、遺影を眺めながら、いろいろと話しかける遺族も多いでしょう。
いろいろ悪態・・・えと、懺悔してみたり?
そうやって、少しずつ心の傷がいやされていくのだと思います。
そういう役割を担う遺影は、やはり慣れ親しんだお顔で、そのお人柄がにじむような写真のほうがいいでしょう。
仮に、いつも気難しい顔をしていた方でも、遺影がほんのわずかに微笑んだ顔であれば、それを眺めて「こんな顔することもあったのね」と、ちょっぴり嫌みを込めながら、その存在を懐かしむことができる・・・かもしれません。
故人を忘れないことが供養、とも言われます。
たとえ「わたしら家族にはいっつもブスっとしてたわよね。あれ、どういうの?」と、話題にするだけでもOKなんだそうです。
また、親戚付き合いがなくなった家なら、残された家族が「これがいいよね」と選んだ写真であれば、どんな写真であれ「いい写真」ということになります。
ただ、先祖代々が紡いだ歴史を重んじる旧家や、代々家業を受け継いできた商家などの場合は、遺影選び一つとっても前例を重視し、周囲の意見を求めましょう。
親戚筋から不評をかった遺影
遺影の選び方にも、その家によっては、注意を払わなければならないケースもあります。
故人の遺影を、仏間の先祖代々の遺影に並べるという場合は、ある程度、バランスなども考慮して決めたほうがいいかもしれません。
あるいは、肖像用として別に作成するのも一つの方法です。
これはうちの親戚の話です・・・
わたしの親戚の家の仏間には、初代のご先祖さまの肖像画から始まり、少し前に亡くなった伯父の遺影(肖像写真)までが、鴨居にズラリとかかげられています。(子どもの頃は、この部屋がこわかったです)
全員が紋付きや燕尾服あるいは軍服で、どこのお大尽かと思うような引きしまったお顔でキリッとこちらを見据えているのに対し、
伯父の写真は残念なことに(きちんとした写真がなかったがために)ピンボケ気味で、斜め下をぼうっと見つめている写真です。
大きな声など一度もあげたことのない、とてもやさしい伯父で、わりとひっそりと影も薄かったので、「あ、これか・・・」と妙に納得もしたのですが・・・。
法事で集まったとき、伯母(80代)が他の親族から「これは、いくらなんでも・・・」「もっと別の写真あるでしょうに」「もっと、ようお探しっ」と、代わる代わるお叱りを受けていました。
その後、しばらくして伯父の遺影は立派になりました。
ちょっと若返りすぎな気もしますが、三つ揃い姿で自信にあふれた佇まいながら目元にはなんとも言えない優しさがにじんだ、ステキな写真です。
仏間のご先祖シリーズに合わせて、白黒加工が施され、りりしさも倍増です。
「まあ、いい男やねえ」「ほんまに優しい子やったから・・・」と、親戚筋からも納得の評価を得られた伯父の遺影は、現在、ご先祖様の序列最後尾にかかげられています。
一方、酷評にさらされた元遺影は、仏壇のそばの卓に置かれ、おしゃべり好きな伯母の話を、生前のように黙って聞いてくれているようです。(不評写真なので、じゃっかん目がうつろですが)
この写真ですが、伯母によると、最期に行ったハワイ旅行の時に撮影したもので、それなりに思い出深い一枚だったそうです。
このように遺影用の写真は、それぞれの家の事情に照らし合わせて、選ぶ必要があります。
社葬やお別れ会など、社会的な立場から葬儀を執り行う場合、祭壇中央に設置する遺影については、先祖代々の肖像写真に並べても遜色ないような写真を選ぶと、問題ないでしょう。
社葬など規模の大きな葬儀では、焼香・献花の場が複数設けられることがあり、その一つひとつに写真を置くこともあります
カメラ目線の写真がいい?
遺影がカメラ目線だと、こちらを見て、語りかけてくれているような気がして、遺族の心がなぐさめられる効果があります。
ただ、昔の遺影や肖像画は正面やカメラ目線のものばかりでなく、遠く未来を見据えるように、斜め上方に目線を置いたものや、あえて正面を外したようなものもよく見かけます。
現在は、カメラ目線で正面を向いているものが主流のようです。
個人的には、目線はどこに向いていても、家族が「これ、いいね」と感じる写真なら、なんでもいいと思います
目線は・・・どっちでもいいや。
かっこよく決まってればOK
ピンぼけ写真は避ける
良いアングルで写っていても、ピンぼけ写真は避けましょう。
遺影は写真の一部分を切り抜き、四つ切り画用紙のサイズまで拡大します。
そのため、元の写真のピントが合っていないと、拡大したときに粒子の粗さが影響し、全体的にぼやけた印象となります。
遺影に加工する段階で修正がほどこされますが、どうしても輪郭がにじみ、非常に残念な遺影になってしまいます。
現在のカメラ(デジカメやスマホ)なら、自動でピント合わせをやってくれるので心配はないのですが、昔の写真には「ややピンぼけだけど、まあいいか」というような写真がアルバムに収まっていたりします。
つまり、最近の写真ではなく、一昔前に撮った現像写真を選ぶ際には注意しましょう。
【きれいな遺影を作成するヒント】
- ピントの合っている写真を選ぶ
- 高画質な写真であればあるほど美麗
顔が大きく写っているものを選ぶ
遺影は元となる写真を、大きく引きのばして作成します。
通常の遺影サイズは四つ切りサイズ(25.4㎝× 30.5㎝)です。
写真の拡大は画質の粗が目立ってしまうので、できるだけ高画質で大きく写っているものを選ぶほうがいいでしょう。
特に現像写真の場合、集合写真の人物を拡大すると、先ほど述べた「ピンぼけ」状態の再現となってしまいますので、要注意です。
【気をつけたいポイント】
- 顔ができるだけアップに写っている写真がいい
- 集合写真より一人か二人で写っているもの
家族が好ましく思える写真を遺影に選ぶ
遺影の考え方は、今ではずいぶんと変化して、自由度も増してきています。
生前に遺影を準備する方は増えてきていますが、それが遺族に却下され、別の写真を遺影とするケースもちらほらあるようです。
わたしの知人(男性)の義母は、仏式の結婚式だったため、ずっとウエディングドレスに憧れていたそうです。
そして70代のころ、遺影の生前準備がメディアに採り上げられるようになり、思い切って念願のウエディングドレス姿で遺影の前撮りすることを決意。
フォトスタジオで衣装を借りて、プロにメイクアップしてもらい、まるでモデル気分を味わって上機嫌のお義母さま。
出来上がった遺影をずいぶん気に入って、亡くなるまでの十数年間、居間の目立つ場所に肖像画のように飾っていらしたそうです。
ところが、実際に亡くなられると、知人の妻(義母の長女)や義妹などの「これはちょっと・・・」という反対意見で、あっさり遺影は作り直されてしまいました。
妻と義妹の「顔はこれでいい」との判断で、結局はウエディング姿の顔部分のみを抜き出し、加工技術で和服姿に差し替えて、正式な遺影としたそうです。
その遺影が、自宅で仏壇のある部屋に飾られているんだそうです。
知人は、行き場を失ったウエディングドレス姿の義母の写真を、他の数枚と合わせてデジタルフォトにして、仏壇前に飾っているそうです。
それに対しては、妻も義妹も納得して喜んでいる、とか。
このように、せっかく遺影を作成していても、残された家族によって採用されないケースもあります。
どちらの肩を持つものでもありませんが、あまり趣向を凝らした写真は残された遺族が違和感を覚え、「こんなのは違う」「こんなの飾りたくない」と感じることもあるようです。
普段からの関係性なども影響しているのかもしれません。
凝った遺影を作成する場合は、自身の考えなどを家族に伝え、納得してもらえるよう、そこそこ根回しも必要です。
勝手に準備しておいた遺影は、遺族によってあっさり処分されてしまうこともあります
少し時間が経てば遺族も冷静になって、個性的な遺影を受け止める心の余裕が芽生えるかもしれませんが、深い悲しみの中では、イメージギャップを生じさせるものには、かえって強い忌避感を覚えることもあるようです。
・・・結局どうすりゃ、いいの?
結局のところ、遺影は残された家族が好ましいと思える写真を選べばいいと思います。
その遺影を見て、日々その人の不在を少しずつ受け入れ、遺族の心がおだやかになったとき、故人が生前、自分の考えで作った「遺影(マイベスト写真)」を飾ってみる気になるかもしれませんね。
【写真を採用するポイント】
- 自分の遺影を準備するときは、採用してもらえるように家族に根回しをしておく
- 残された家族が好きな写真を遺影にすればいい
できるだけ最近の写真を選ぶ
遺影の元となる写真を選ぶ際には、できるだけ実年齢に近い写真を選びます。
だいたい亡くなる1~5年前の期間に撮影した、元気なころの写真が好ましいでしょう。
高齢になると、だんだんと体力が衰え、出かける機会も少なくなるので、写真を撮る機会そのものが減っていきます。
家族が集まった時などには、普段から気軽にスマホで写真を撮っておくといいですね。
特に遺影用とかは意識しなくても、いいと思うんだ
楽しい時間に撮った写真は、いい顔で写っているものが多いです。
頭の中に刻まれているイメージを大切にするなら、亡くなる10年くらい前のものでも、自分たちにとって「これがおじいちゃん」「これがおばあちゃん」という写真を選ぶのもアリです。
何かの記念やお祝い、はたまた帰省時の手土産などで服や帽子、スカーフ、バッグなどをプレゼントした際には、その場で身につけてもらって、みなで写真を撮り合うのも楽しくていいですよ。
自分のスマホで代わる代わるツーショット、とかね
遺影の額縁・写真立ては黒じゃなくてもいい?
遺影の額縁(フレーム)は、黒色が通常ですが、現在は選択肢が広がっています。
葬儀の場でも、アイボリーや淡いパステルカラーを選ばれている方もよく見かけます。
最近は、祭壇中央の遺影はモニターを使っていることも多く、自宅に持ち帰る遺影はインテリアに合うカラーのものが好まれるようです。
これは、仏壇を持たない家庭が増えていることも関わっているのかもしれません。
こういった遺影の額縁や写真立ても、葬儀社が取り扱っていますので、葬儀準備の一連の流れの中で決めてしまえばいいでしょう。
葬儀コースに遺影セットが含まれている場合も多いです
自分で額縁や写真立てを準備する場合は、写真屋さんや文房具店、ネットショップで購入できます。
また、葬儀でのみ遺影を使用し、自宅に残すつもりがなければ、100均で探すのも一つの選択です。
- 遺影の額縁の素材・カラー等は好みでOK
- 葬儀コースに遺影一式がふくまれているか要チェック
- 遺影一式がオプションの場合、調達は自由
まとめ
今回は、遺影にふさわしい写真の選び方や、せっかく作成した遺影を、後になって作り直すはめになったケースなどを見てきましたが、参考になったでしょうか。
家族の誰かが亡くなった後は、お葬式の準備で非常にあわただしい状態です。
取り急ぎ遺影の準備をしなければいけない場合は、以下の条件にあてはまる写真を探してみてください。
- できるだけカメラ目線のもの
- ピントが合った写真
- 顔が大きく写っている写真
- 人柄があらわれた写真
- 背景や服装は気にしなくてよい
- 最近の写真(できるだけ)
これらの条件を満たす写真がない場合は、せめて「ピントが合っている」「顔が大きく写っている」という写真を選べば、加工修正によって、それなりにさまになります。
仮に、遺影に不満があれば、お金はかかりますが後ほど作り直せばいいことなので、さほど深刻になる必要もないと思います。
とはいえ、この遺影に関しては、やはり亡くなってから選ぶのではなく、生前に「いい顔」の写真を撮っておくか、あらかじめ選んでおくことをおすすめします。
写っているのが「いい顔」でさえあれば、写真加工技術で、服装も背景も差し替え、シミやほうれい線さえも自然に加工することが可能です。
遺影は街の写真屋さんでも作ってくれますし、今ではオンラインの写真加工サービスを利用して、加工済み写真をスマホに保存している方も増えているようです。
終活に気乗りしなかった方も、何から始めていいかわからない方も、遺影用の写真を準備することから取り組んでみてはいかがでしょうか。
自分のキメ顔だけでなく、普段から高齢の祖父母や元気な両親のイキイキとした表情をアルバムに取り込んでおくといいかもしれませんね。
意外と楽しいフォトタイムです。
スマホで撮った「いい顔」を互いに見せ合って大いに笑って、この時間を楽しんでください。
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