こんにちは、三輪あや子です
将来のお葬式のことを考えるとき、同時に準備しておきたいのが葬儀費用です。
でも、いったいいくらぐらい準備しておけばいいのでしょうか?
そんな時に参考にするのが、葬儀費用の平均というものですが・・・これ、異様に高額なんですよね。
本当に、世間一般の皆さまは、お葬式にこれだけの費用をかけているのでしょうか?
おちおち死んでらんねーな・・・
そこで、今回はいろいろな場面で使用されている、この「葬儀費用の平均」について、どこまで参考にすべきか検証してみました。
葬儀費用の平均額が「バカ高い!」と感じた方は、ぜひご一緒にどうぞ。
葬儀費用の内訳を知っておこう
葬儀費用の平均を見るときには、その内訳を確認して、なぜその金額になるのかが理解できれば、また見方も違ってきます。
ここでは、まず葬儀費用の請求金額には、どういった種類の支払いがふくまれているのか、その内訳を知っておきましょう。
これをわかっていると、節約ポイントも見えてきますよ
- 葬儀一式の費用
葬儀社への支払い分です(葬儀プラン費用・追加サービスなど) - 通夜からの飲食接待費(実費)
仕出し屋やレストランへの支払い分です(返礼品・料理・飲み物など) - 宗教者への謝礼(実費)
葬儀を執り行う宗教者へ渡すお金です(お布施・戒名料・御車代・御膳料など)
葬儀一式の費用
「葬儀一式の費用」というのは、葬儀社が提供するサービスの部分にあたります。
大部分は、お葬式プラン料金と、プランにふくまれていないサービスの追加料金、式場代が占めます。
また、オプションサービス(湯灌・送迎タクシー・供花供物・その他)を追加した場合には別途、追加料金が請求書に加算されます。
- シンプルなプランは低価格ですが、後からのサービス追加で費用がかさむ
- シンプルプランに追加するサービス費用は割高傾向です
- セットプランはやや高い値段ですが、必要なサービスはほとんどふくまれている
- セットプランは不要なサービスがふくまれていても返金されない
希望するお葬式スタイルと、プラン内容をじっくり検討して、自分にとってお得なほうを選びましょう。
飲食接待費
飲食接待費は、親族や弔問客にふるまわれる食事や飲み物、供養品などの代金です。
この費用は、お葬式の規模(親族・弔問客の人数)によって必要な数量も違うので、お葬式後に集計され、金額が確定します。
これら「飲食接待」に分類されるサービスは、一部大手を除いて、ほとんどの葬儀社が外部に発注しており、実費扱いです。
支払いに関しては、葬儀社側でまとめて精算する仕組みなので、請求書には飲食接待の利用分が加算された金額となります。
宗教者への謝礼
宗教者への謝礼とは、お布施などのことです。
【仏教の場合】
- お布施(謝礼)
- 御車料・御膳料
- 初七日料など
お布施など、宗教者へ渡すお金はよっぽどのことがない限り、喪主側が自分たちで準備しておきます。
そして、宗教者への挨拶時に直接、手渡します。
葬儀社から紹介された導師(僧侶等)であっても同じです。
つまり、宗教者へ渡す謝礼分のお金は、葬儀社からの請求書には入っていません。
まとまった現金を準備しておきましょう
葬儀費用の全国平均とは、いくらぐらい?
さて、請求書の内訳がわかったところで、葬儀費用の全国平均を見てみましょう。
葬儀費用の平均額 189万円~200万円
だいたい、この範囲の金額ですね
死ぬこともできねーや・・・
この平均金額については、葬儀社や葬儀社の取次ぎサイトなどが、いろんなデータを公表していますので、も少しくわしく確認してみましょう。
今回は、参考資料としてメディアに採用されることの多い「一般財団法人 日本消費者協会(JCA)」の全国平均データを見ていきます。
JCAでは、だいたい3~4年ごとに葬儀業界についての調査を行っています。
その調査結果がこちらです
【葬儀についてのアンケート調査報告書】(JCA)
調査報告年 | 2010年(平均額) | 2014年(平均額) |
---|---|---|
葬儀一式の費用 | 126.7万円 | 122.2万円 |
通夜からの飲食接待費 | 45.5万円 | 33.9万円 |
宗教者への費用 | 51.4万円 | 44.6万円 |
葬儀費用合計 | 199.9万円 | 188.9万円 |
※アンケートの設問の関係上、項目ごとの平均額を合計したものと、葬儀費用合計の金額は一致しません。
とまあ、こんな感じです
「飲食接待費」が、4年の間に約12万円減少しているということは、お葬式の小規模化の影響かもしれませんね。
「葬儀費用の合計」も、一見かなり高額ですが、お布施をふくんだ金額だとすれば、特に違和感はありません。
い・・・違和感ないの!?
どーゆう感覚だよ、それ!?
まあ、大きなお葬式もふくめた平均だしね、これ
葬儀費用の合計金額のみ、もう少しさかのぼって見てみることにします。
【葬儀費用の平均(JCA)】
1995年 | 215.5万円 |
---|---|
1999年 | 226.1万円 |
2003年 | 237.6万円 |
2007年 | 231.0万円 |
2010年 | 199.9万円 |
2014年 | 188.9万円 |
2017年 | 195.7万円 |
微々たるもんだけど・・・ちょい、金額が減っていってる?
現在に近づくにつれ、葬儀費用の平均はじわじわと下がってきています。
これはやはり、家族葬が普及しはじめた影響なのかもしれません。
ところが最後の2017年の平均金額は、まるで時代に逆行したかのようにはね上がっています。
トレンドを考えると、家族葬が急増していたはずなのですけどね・・・。
そこで、もう一つ別のデータをチェックしてみたいと思います。
葬儀社の売上高から見た葬儀費用の平均は?
経済産業省が行っている調査に「特定サービス産業動態統計調査」というものがあります。
これは、サービス産業の売上高などから、景気等を判断するための調査です。
その中の葬儀業に関するデータを利用して、葬儀費用の平均を算出してみました。
すると、こういう数字が出てきました。
【葬儀費用の平均(※)】
2018年 | 137.4万円 |
---|---|
2019年 | 134.3万円 |
2020年 | 117.3万円 |
※「年度」ではなく、単純に1~12月のデータで算出しました
こちらは、葬儀社の売上の平均金額なので、「宗教者への費用」はふくまれていません。
そもそもお布施の金額などは、そのお寺との付き合いの深さで家ごとに異なりますし、僧侶を呼ばないお葬式スタイルもあります。
それを考えると、葬儀費用の平均には、お布施をふくまないほうがわかりやすいと思います。
こうして2つのデータを比較してみたところ、わたしの感覚としては、こちら(経産省)のデータのほうが、一般標準に近いような気がします。
それでも・・・高くないか?
まあ、平均金額だから、どうしても高めになるね。
でも、心づもりができるじゃない?
葬儀費用の全国平均が参考にならない、そのワケとは?
日本消費者協会の調査は、だいたい3~4年に一回のペースで行われていますが、アンケート調査の回答者数は毎回400~500人前後です。
日本国内では、年間120万人以上の方が亡くなっていることを考えれば、日本消費者協会が行った、お葬式に関する調査件数は全体のほんの一握りですよね。
その一握りの中で、たまたま高額葬儀を行った率が高ければ、そこから出した平均金額は高めです。
反対に、直葬や小規模の家族葬が大半を占めれば、平均金額も低めの値が出ます。
どういう人がアンケート調査に参加するかによって、平均の値は変わってくるってことですね
もう一つ、お葬式には地域性があります。
人とのつながりが深く伝統を重んじる地方と都心部とでは、葬儀に対する考え方やお金の使い方、価値観さえも異なります。
このように平均金額というのは、もととなる数値や条件の違いで結果も変わってしまう、ということを頭の片隅に置いておいてください。
以上のことから、ことお葬式に関して、葬儀費用の平均はあまり参考にならない、ということです。
それでも、平均金額を知りたい場合は?
どうしても平均金額を知りたいのなら、地元の葬儀社に足を運んでみてはいかがでしょうか。
見学会や、お葬式が入っていない時を見計らって出向けば、質問に応えてもらえますし、パンフレットももらえます。
葬儀費用の平均なども、葬儀社のデータを参考に、その地域での平均金額を知ることができるでしょう。
そちらのほうが全国平均よりも、はるかにリアルな情報で、役立つと思います。
お葬式タイプ別、葬儀費用の目安とは?
お葬式費用について考えるなら、どちらかといえば、お葬式のタイプ別に平均相場を探るほうが実践的かもしれません。
お葬式のタイプは、大きく分けて次の3つです。
- 一般葬(一般的なお葬式)
- 家族葬(密葬~15名までのお葬式)
- 直葬(火葬場で見送るのみ)
それぞれのタイプ別に、葬儀費用の相場というものを見てみましょう。
一般葬の費用相場
一般葬は、普通葬ともいわれています。
生前、故人と縁のあった方々だけでなく、会葬者には特に制限を設けずお葬式に参列してもらう、従来のお葬式スタイルです。
【費用相場】
80万~130万円
一般葬の場合、相場はあくまでも目安であって、参列者の人数次第で費用は大きく変動します。
たとえば、故人が高齢で、会葬者も数人程度であれば葬儀費用は低く抑えられます。
ところが、故人が高齢であっても、喪主や遺族の社会的地位が高かったり、交友関係が広ければ、参列者数も多くなり、それに比例して葬儀費用もふくらみ、かなり高額となるでしょう。
また、故人が現役、あるいは学生などであれば、参列者数は相当数にのぼるため、葬儀費用も相場を大きく超過する可能性があります。
一般葬は葬儀費用を全額払わなくてもいい
一般葬の場合、葬儀費用の全額を遺族が支払わなくてもいいんです。
会葬者が多ければ多いほど、受け取る香典も増えます。
参列者が増えれば葬儀費用も高くなりますが、その分、いただいた香典(現金)が手元にあるわけですから、お金には困りません。
つまり?
葬儀費用の支払いは、ある程度、いただいた香典でまかなえる、ということです。
ただし、香典辞退した場合は、葬儀費用は全額自己負担です。
香典って、助け合いの意味もあるんですよ
家族葬の費用相場
家族葬は、親族のみ、あるいはごく親しかった少数の知人が参列するお葬式です。
ただし、家族葬の参列者人数は、親族をふくめて約15名以内です。
【費用相場】
60万~80万
家族葬もやはり人数しだいでは一般葬並の金額になることもあります。
たとえば、同居家族のみの葬送であれば、相場を下回るかもしれません。
けれど、いろいろ連絡した結果、親族の参列人数が30~50名にもなれば、間違いなく一般葬なみの葬儀費用が必要となります。
また、故人が好きだった花で祭壇を彩った場合などは、一般葬の費用相場を軽く超えますが、お金に換えられない「価値」が、そこにはあるのだと思います。
たとえば、こういうケースもありました
印象に残っている家族葬の一つに、大好きなお母様のお葬式を花で埋め尽くしたものがありました。
白い胡蝶蘭と、わざわざ品種を指定した薔薇(ほんのり薄いピンク)をメインに、夢のようにあでやかな花祭壇をしつらえた小さめの式場は、薔薇の香りでいっぱいでした。
みずみずしく、華やいだ香りに包まれた式場に、会葬者の姿はありません。
物腰の柔らかな3人兄弟とその家族、そして近しい親族数名のみの家族葬でした。
お気に入りの薔薇に包まれて、エンバーミングを施されたお母様は、まるで少女のような眠り顔でした。
今にも、眠りから覚めて微笑みそうな、そんなキレイさでした
宗派は黄檗宗(おうばくしゅう)、僧侶は導師と役僧6名、諷経僧2名の計9名。
都心で行うお葬式では、めったに見ない規模の仏式葬儀です。
黄檗宗のオーケストラのような厳かで華やかなお経が、式場からあふれてロビーを流れ、階下の他家の遺族までもが遠巻きに眺めているような感じでした。
完全なる家族葬ではありますが、この葬儀費用はちょっとした社葬並でした。
家族葬って言っても、いろいろなんだな
直葬(火葬式)
直葬は、お葬式(通夜や告別式)を行わず、親族が火葬にのみ立ち会う形式の葬儀です。
火葬場で僧侶にお経をあげてもらうことも可能です。
【費用相場】
25~35万円
※僧侶を招いた場合は、別途お布施をお渡しします。
直葬はもっともシンプルな、「お葬式をしない」お葬式です。
式そのものがなく、会葬者もいないということで、それにかかる費用が大幅にカットできます。
ただし、お金がまったくかからない、というわけではありません。
親族が集まれば、会食ぐらいはするでしょうから、その人数分の食事代が必要となります。
また、亡くなるのが病院であれば、そのご遺体の移送費が発生しますし、葬儀会館の安置室を借りれば、その費用がかかります。
故人の移送費は、数万円します
最近は、どこの葬儀社にも直葬用のプランがあります(プランがなくても、相談にのってもらえます)。
それ以外にも、必要最低限のサービスをセットした基本プランをうまく利用すると、かなり節約できますよ。
かんたん!葬儀プラン料金から、だいたいの葬儀費用を知る方法
ここでは、葬儀プランの値段から、おおよその葬儀費用を割り出す方法をご紹介します。
非常に大ざっぱではありますが、葬儀費用をいくらぐらい準備しておけばいいのか悩んだときの、目安になると思います。
「プラン表示価格×1.5~2倍」=請求金額の目安
たとえば、30万円の家族葬プランならば、こういう計算です。
30万×1.5~2=45~60万円
これにお布施を加えた金額を準備しておくと、あわてずにすみます。
60万円の一般葬プランならば、こうなります。
60万×1.5~2=90~120万円
一般葬の場合、香典を受けていれば、いただいた香典で葬儀費用の支払いは、ある程度まかなえます。
そのため、香典返しなどの手間はかかりますが、遺族の出費自体は、計算した目安より低く抑えられる可能性があります。
そこから、どう節約するかは自分次第ってことかぁ
健康保険から出る葬祭費も数万円もらえるので、これも忘れずに申請しましょう
亡くなった方が国民健康保険の加入者なら、手続きをすればもれなく数万円の「葬祭費」が支給されます。 金額は自治体によっていろいろ違うようですが、大出費の葬儀後にはとて …
まとめ
今回は、葬儀費用の平均について調べてみましたが、いかがでしたでしょうか。
お葬式は地域によって、さらに各家ごとの事情によって、その規模も内容も異なるため、当然、葬儀費用も大幅に違ってきます。
そういうことを考えれば、葬儀費用の全国平均を知ることに、あまり意味はないと思います。
葬儀費用の見当を付けるなら、希望する葬儀プラン料金の約2倍を目安に準備しておくと、安心です。
また葬儀プランは、ランクが上がるほど、あらかじめいろんなサービスがふくまれているので、追加するサービスは少なくてすみます。
逆に、価格の低いプランであれば、追加すべきサービスが多くなるということを気に留めておくといいでしょう。
ついでに言うと、葬儀費用に「ポッキリ」はありません。
そう書いてあったら、念のためプランの中身を確認してください
格安葬儀を選ぶときはプラン価格よりも、プランの内容をしっかりと確認したうえで判断してください。
「もしも」に備えるためには、時間のある時に、葬儀社のパンフレットを取り寄せたり、見学会に参加するなり知識を増やしておくことをおすすめします。
そこで、仮見積りなどを出してもらえば、より実際に近い金額がわかりますし、そこから節約術なども教えてもらえます。
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