- 『葬式にブーツってどうなん?』
- 『雪降って寒いし、お葬式にブーツもアリでしょ?』
こんにちは、三輪あや子です
よく20代、30代の女性から、こっそりと「ブーツってお葬式に履いちゃダメなんですか?」との質問を受けます。
今どきのブーツは見た目も非常にエレガントで、決して安価なものではないので、「果たしてどうなんだろう?」と思う気持ちもわかります。
今回は、「葬式にブーツ」という組み合わせがOKなのかどうか、例外もふくめて解説していきたいと思います。
葬式にブーツは基本的にNG!?
先に基本的マナーからお話ししますね
お葬式にブーツを履いて参列するのは、基本的にNGです。
そもそもブーツは森や湿地帯など悪条件下の屋外活動を想定してつくられた靴です。
屋内用の靴ではなく、ましてやフォーマルな服装に合わせる種類の靴でもありません。
喪服は弔事の第一礼装であり、会葬者は喪服あるいはそれに準じる礼装での参列を求められる格式高いセレモニーの場です。
仮に、100万円で購入したブーツと、3000円で購入した黒のパンプスがあれば、選ぶのは黒のパンプスのほうです。
この時、値段は関係ないのよね~
「え、でも・・・」とうかぬ顔で反論しようとも、ダメなものはダメだと認識しておきましょう。
それでも、時と場合によって事情が異なることもあります。
葬式でブーツを履いてOKなケースとは?
お葬式に関する常識は、それを行う地域によって多少、異なります。
一般的には不可とされるブーツも、雪国ではゆるされていることも多々あります。
昔ながらの互助精神が生きている地域であれば、近隣の住民総出でお葬式の準備を手伝います。
真冬に行われる自宅葬やお寺での葬儀では、雪かきや道案内、駐車場の整理などの役割分担があるので、安全性のためにも作業靴としてブーツ(ゴム長)は必須アイテムですし、それを履いたままの参列となります。
地元出身者であれば、親や親戚、近所の方々の作法にならえば間違いないでしょう。
ただ地元でない人の場合は、事情は変わります
雪国の葬式にブーツを履いて行く時に注意すべきこと
地元住民以外が雪国でのお葬式に参列する場合、葬儀場まではブーツで向かってもかまいませんが、葬儀場に到着後は革靴に履き替えましょう。
つまり、葬式用の革靴を持参するということです。
黒色あるいは白や目立たない色の袋(紙袋でも可)に革靴を入れて行き、葬儀会館に到着した後に、ロビーの片隅などで履き替えます。
ロッカーなどがあれば荷物を預け、服装を整えてから受付に向かいます。
葬儀が終わった後は、またブーツに履き替えて安全に帰宅しましょう。
自宅葬だったら・・・?
式場が設備の整った葬儀会館ばかりとは限りません。
昔ながらの自宅葬や、菩提寺の本堂で葬儀が営まれる場合、親族は屋内ですが、会葬者席は屋外に設けられていることも多々あります。
寒い季節であれば当然、大型ストーブがたかれていますが、テントの下は吹きさらしです。
その時、周囲の方々がブーツやコートを着たままであれば、それにならうといいでしょう。
そうでない方がいたとしても、屋外ならコートを着用したままでも白い目で見られることは、まずありません。
【寒い季節のお葬式のマナー】
- 屋内では正装(ブーツ不可)
- 屋外では防寒優先(ブーツ可)
体が大事なので、マナーうんぬんよりも防寒に徹してくださいね
寒さで怖い思いをした、わたしの体験談です。
高速道路を2時間かけて到着するような山間部にある葬儀会社からの依頼で、地元名士のお葬式での司会を頼まれた時のことです。
真冬で雪がしんしんと降る中での自宅葬でした。
自宅といっても庭先に川が流れて太鼓橋があるような広大なお屋敷です。
親族は屋敷の中に席が設けられていますが(ただしガラス戸撤去でフルオープン)、会葬者はすべて庭に張られたテントの下の椅子席です。
そして司会者の立ち位置というと、残念なことに屋内にスペースが確保できず縁側の外・・・。
頭上には渡り廊下部分にあたる屋根があるだけマシというべきか・・・頭に雪がつもることはありませんでしたが、吹きさらしです。
十分に厚着してきたものの、温暖な地域に育ったわたしにとっては、骨まで凍てつく寒さに感じられました。
それでも、まだ米どころの冬の寒さへの認識が甘かったようです。
葬儀が順調に進行する中、いざ弔電の読み上げに入った段階で、わたし自身に異変が生じました。
書かれている文字が読めないんです。
文字そのものは理解できるのに、いざ発声しようとすると、まるで象形文字を見て、どう発音すればいいのか困っている状態、に近かったかもしれません。
それからすぐに、何とか文字の読み方が浮かんできましたが、なかなか発声が困難でした。
それでも指で一字一字だどりつつ、ゆっくりと声に出していくという作業を繰り返し、すべて読み終えましたが、そのあたりの記憶が未だにあいまいです。
お葬式が終わって遺族を送り出した後、スタッフに「わたし、弔電ちゃんと読めてた?」とたずねると、いつもよりゆっくりだったけれど、特に違和感はなかった、とのことでした。
読めなくなった時間は自分の中では長く感じたものの、一瞬だったようでホッとしました。
おそらく低体温に陥っていたのかもしれませんね。
それ以来、慣れない冬場の屋外での司会業務は拒否するか、どうしても断れない場合は、ぬくぬくパンツスタイルにブーツ、そしてしっかりとダウンコートで防寒した上で司会業務を行うことを、葬儀社側に宣言した上で引き受けるようにしました。
寒さはいのちにかかわるので、マナーなど二の次だと、実感した経験でした。
あの後、特に後遺症もなかったけれど、寒さを甘くみてはダメですね
葬式にどうしてもブーツを履いて行きたい時は?
雪国以外の地域では、お葬式にブーツはNGですが、どうしても「葬式にブーツを履いて行く!」ことになった場合、どのようにすれば白い目でみられずにすむのでしょうか?
どうしてもブーツって・・・そんなことってあるかしら・・・?
まあ、いいやん
【ケース1】葬式当日、雪で足もとが悪くブーツで参列した
雪に不慣れな都市部だと、道路一面が真っ白になるだけで交通網がマヒする可能性があります。
さらにアスファルトは凍り付いて、歩くには注意とコツが必要です。
そんな日には、もちろん滑りにくいブーツ(長靴・スノーシューズなど)で出かけることを推奨します。
ただし、ブーツは葬儀会館(式場)に到着するまでです。
到着後は、持参したフォーマルな靴に履き替え、それから受付に向かいましょう。
葬式当日に天候が荒れた場合も、前もって葬儀場に問い合わせ、着替えるスペースがあるようなら、礼服一式を持参して、到着後に着替えたほうがスマートです。
こういう方法もあると知っていると、臨機応変に対応できますよね
【ケース2】 葬式に出かける直前、黒い靴がブーツしかないことに気づいた
・・・大失態ですが、わりとありがちな話ですよね
アホやん・・・
お葬式に出かける寸前、あると思い込んでいた葬式用の靴がなく、黒いブーツしかなかった場合、二つの対処法があります。
- 一つ目は、葬儀場に行く途中でフォーマル靴を購入して、履き替えて行く
- 二つ目は、喪服をロングスカートかパンツスーツに替えて、ブーツを履いて行く
大型スーパーなどには礼服コーナーにフォーマル靴も置いてあることもあるので、葬儀場へ向かう途中で購入できれば、安心して参列できます。
それが難しいようなら、喪服を足首までのロングスカートか、いっそパンツスーツに替えましょう。
そうすることで、裾の中にブーツの大部分が隠れるので、何とか目立たなくすることができます。
ケース3 通夜にブーツを履いて向かった
お通夜に関しては、ブーツを履いて行っても問題ありません。
むしろ、訃報を知って「取り急ぎ駆けつける」のが通夜の弔問ですから、前もって準備していたかのように喪服で現われるほうが奇妙です。
今は、会社関係を中心に通夜に喪服で弔問する方が増えていますが、基本的に通夜は普段着のままでかまわない、とされています。
着替える時間があれば、落ち着いた色合いの服装で弔問するのが、より望ましいです。
ただし、翌日の葬儀・告別式には黒の革靴・パンプスで参列しましょう。
お通夜の服装については、以下の記事も参考にしてください。
『喪服持ってないけど、どんな服装ならマナー違反にならない?』 『喪服って高いよね。買わずにすませる方法ってないかな?』 急な葬儀で、喪服を持っていないことに気づいて、あわてた経験 …
冬の葬式にタイツを履いて防寒対策
女性の冬の防寒対策ということなら、ストッキングを厚手のものにするのもおすすめです。
通常、喪服には薄手の黒のストッキングを合わせますが、寒い季節には20~30デニールのものでもOKです。
ただ、80デニール以上のタイツはカジュアル感が出てしまい、フォーマルな喪服にはふさわしくありません。
喪服に合わせるストッキングは、少し肌が透ける感じのものを選んでください。
中には60デニールくらいでも、肌の透け感が残るものもあるため、そういう厚手のストッキング・タイツなら、お葬式に着用しても問題ありません。
ものによっては60デニールくらいでも肌の透け感が残るものもあるので、
以上は、設備の整った式場で行われるお葬式での話です
仮に、真冬の自宅葬や狭い自治会館、古いお寺などでの葬儀で、会葬者席が屋外に設けられているようなケースでは、どうぞ防寒対策優先で参列してください。
お葬式に参列した後で体調を崩す方がいるのは、気疲れもありますが、たいがい無理をして風邪を引くことが不調のきっかけとなっています。
【喪服にOKな防寒ストッキング】
- 黒のストッキング(通夜のみベージュもOk)
- 肌が透けるストッキング
- 30デニールまで
- 肌が透けるなら60デニールもOK
葬儀に行けない時の対処は?
お葬式に行けない時、どう対処すれば失礼にならないでしょうか?
お葬式に参列するつもりが、当日の天候があまりにも悪く、出かけることが困難な場合もあります。
その時には、すみやかに弔電を送ることで、弔意を示すことができます。
悪天候の中、無理をしてケガをしたり、危険な目に遭うことを故人も遺族も望んではいないでしょう。
無理せず、お悔やみの心を文章にして届けるだけでも、気持ちは十分に伝わります。
天気予報などで、あらかじめ降雪や暴風雨などの情報はわかるので、葬儀前日には参列の可否は判断できると思います。
弔電の手配はインターネットで可能なので、前日に申し込むとお葬式に間に合うように届けてもらえます。
一番よくないのは、参列をあきらめて放置してしまうことです。
電話で訃報を受けて、どうしてもお葬式に参列できない時、「そうだ、弔電送ろう」と思っても、どこで申し込めばいいのか迷うことってありますよね。 NTT 郵便局 その他(電報サービス会 …
まとめ
ブーツはもともと屋外活動のための履き物なので、弔事の正装である喪服にはふさわしくありません。
ただ、葬儀場に向かうためにブーツを履くことは特に問題ありません。
特に悪天候の中の移動では、安全のためのスノーシューズ、雨靴、ゴム長などブーツの着用はおすすめです。
その場合、黒の革靴やパンプスを持参し、式場に到着後に履き替えるようにしてください。
香典を持って受付に向かうのは、衣服を整えた後です。
また、雪深い地域のお葬式に参列する際は、「郷に入っては郷に従え」の精神で、周囲に合わせるといいでしょう。
お葬式は地域ごとに特徴があり、気候や長年の習慣から、お葬式のやり方が違えば常識も異なるわけです。
基本のマナーは抑えつつ、その土地に合った柔軟な対応で臨みましょう。
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