こんにちは、三輪あや子です
両親が亡くなって相続した実家を、なんとなく所有し続けていたけれど、そろそろ売却してけじめを付けたい、と考えている方が増えています。
ただ、相続した実家や、誰も住んでいない空き家を売るには、お得なタイミングというものがあります。
同じことなら、そういうタイミングを狙ったほうが、確実に手元に残る現金は多くなりますし、得策です。
家一軒売るのは、大変しんどいことですが、規制も強まってきていることですし、空き家の資産価値がゼロになりきる前に売却したほうがいいでしょう。
今回は、所有している古い空き家を、できるだけお得に売却するためのコツなどを解説いたします。
ご両親がご高齢の方は、今から心の準備をしておくといいかもしれませんね
空き家は早く売ったほうがいい!?そのワケとは?
親が亡くなって相続した実家など、今後とも住む予定がない空き家は早めの処分をおすすめします。
その主な理由は、以下の4つです。
- 固定資産税を払い続けなければならない
- 古い空き家は資産価値が下がっていく
- 空き家の老朽化で近隣に迷惑がかかる(トラブルに発展)
- 管理不足による責任問題が起きる可能性(訴訟問題に発展)
こういったリスクがあるため、住む予定がない空き家は放置するよりもすみやかに売却したほうが得策と言われています。
空き家は持っているだけで金がかかる!?
空き家は所有しているだけで管理維持費がかかります。
例えば、建物と土地の評価額をもとに決められる固定資産税や都市計画税などは、所有者が税金として毎年払い続けなければなりません。
そのほかにも電気や水道が使えるようにしているなら、未使用であっても光熱費の基本料金がかかります。
不在の間はブレーカーを落としておくと節約できますよ
漏電の心配もしなくてすむナ
また、所有している空き家が倒壊の危険性があると判断されると「特定空き家」に指定され、固定資産税の軽減措置がなくなってしまいます。
さらに、今は大丈夫でもこのまま放置すれば「ヤバいよな」と判断された空き家は「管理不全空き家」として、行政の指導が入ります。
指導を無視して放置し続けると、やはり固定資産税の軽減措置から外され、高額な税を納めなくてはならなくなります。
こういったことを考えると、空き家を放置しながらも所有し続けることに、あまり利はないように思えます。
思い出が詰まっている実家だから、時々訪問して空気の入れ換えや手入れをしながら、慈しむという考え方も、もちろんありますよ
古い空き家は資産価値が下がって売れなくなる
放置されている空き家は、天候に関係なく閉めきっている状態が長く続くため、極度の乾燥や湿気にさらされて家の劣化が進みやすくなります。
さらに害獣や害虫が侵入しやすく、その糞尿で建材が腐敗すると家そのものの倒壊リスクが高まるため、非常に危険です。
このように、誰も住んでいない家というのは劣化しやすく、時間が経つほどに家そのものの資産価値も下がっていきます。
そうならないように、遠方であっても空き家には定期的な管理が必要です。
大切な実家だからこそ、住む予定がないのなら、できるだけ早く売却したほうがいいでしょう。
空き家の放置で近所とトラブル!?
空き家を早めに売却したほうがいい別の理由として、近隣トラブルもあります。
繰り返しになりますが、誰も住んでいない家というのは、劣化が進みやすく、雨漏りやシロアリの害などによって倒壊する恐れがあります(家の劣化で資産価値が下がります)。
また、庭木や、周辺の雑草が生い茂ると害虫がわきます。
これだけでも近隣の住民にとっては迷惑ですが、さらに台風や地震によって屋根やトタン板が飛ばされたり、庭木が折れて隣家に被害を与えるかもしれません(誰も住んでいないので気づかず放置)。
管理不足から空き家であることが誰の目にも明らかだと、心ない人によってゴミが投げ込まれることもあります。
ゴミがゴミを呼び、ついには敷地内に不法投棄が行われる可能性もあります。
そうやってゴミ屋敷になった場合、他人によって投げ込まれたゴミの処理は、被害者である土地主・家の所有者の責任となります。
つまり、相続した空き家や土地は、所有している限り、きちんと管理し続けなくてはいけません。
そういった空家管理の負担を考えると、住む予定のない家はすみやかに手放すほうが得策です。
以前、自治会で行われた環境局からの説明会でのことです。
不法投棄された地主のおじさんから相談がありました。
おじさんの所有している空き地に、システムキッチンの残骸と壊れたテレビなどが投げ込まれていたそうです。
環境局の人から、「きちんとルールに従って捨てるように」とのアドバイスに、どうにも納得できないおじさんです。
おじさん「・・・そのまま、よそに捨てて来たろか。なんでワシが金払って、よその奴が捨てたゴミ、わざわざ処分したらなあかんねん。アホらしわっ」
(それまで同情的だった局員の顔がちょっと厳しくなり)
環境局「オトウサン、さっきも言ったけどね、それしたら、今度はオトウサンが不法投棄の罪に問われるんやで。罰金やで。腹立つ気持ちはわかるけどね、よそに捨てに行ったら絶対アカンよ」
おじさん「・・・くそぉ」(その場にいた全員がおじさんの悔しさに共感していたと思います。クソォ・・・!)
不法投棄されたゴミだからと、別の場所へ不法投棄してはいけないんです。
5年以下の懲役・1千万円以下の罰金または両方(併科)で、たとえ未遂でもとっ捕まります。
空き家で事件・事故があれば責任を問われる!?
空き家を放置すると、不審者が侵入して勝手に住み着いていたり、電気・水道などを勝手に使用されたり、ということもあります。
空き家なのに光熱費が上がっていたら、盗電や不法侵入を疑って警察に相談しましょう
また、居抜き状態であれば、骨董品や絵画、着物、家電などの家財道具を勝手に持ち出し、売却されてしまった、ということもあります。
それだけですまず、空き家で重大な犯罪が行われたり、不法侵入者による失火・放火などで火災が発生し、それが近隣家屋を延焼して人命が失われたりすると、賠償問題だけではすまなくなります。
空家管理は、所有者の責任です。
放置してトラブルを招くより、早々に売却して現金に換えて身軽になったほうが、ずっと気楽ですよ。
空き家を売却する流れとは?
相続した家やマイホームを売却する流れは、次のとおりです。
- 家を片付け売却準備
- 不動産会社に査定を依頼する(複数社)
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ(一番いいと感じた会社に依頼)
- 空き家の売却活動スタート(内覧・交渉等)
- 買主と売買契約が結ばれる
- 決算・引き渡し
まずは家財道具を処分します。
空き家の内部をあらかた片付けたら、いくつかの不動産会社に査定を依頼します。
物件価格は周辺環境や土地の広さなどによっても異なるため、複数社に査定依頼することで、売りたい空き家のだいたいの相場がわかってきます。
相場をだいたい把握した上で、希望に合った一社を選択するといいでしょう。
これから不動産会社を探そうという方は、最近では複数の会社の査定額を一度に比較できるポータルサイトがあるので、そういった査定一括サイトを利用するのも便利です。
不動産会社との媒介契約とは、家を売りたい「売主」と家を探している「買主」との売買の仲介を行うことの契約です。
この媒介契約には3つの種類があります。
- 一般媒介契約(複数の不動産会社と契約可能・自分で買主を探すことが可能)
- 専任媒介契約(不動産会社一社との契約・自分で買主を探すことも可能)
- 専属専任媒介契約(不動産会社一社との契約ですべておまかせ)
このように不動産会社との媒介契約にも種類があって、それぞれに特徴があります。
どのタイプが所有している空き家の売却に適しているか、よく考えて決めましょう。
空き家の売り方とメリット・デメリット
空き家を売る際、どのような状態で売りに出すのかも重要なポイントです。
特に相続した実家など古い家の場合、次の3つの選択肢があります。
- 空き家をそのまま売却する
- 空き家を解体して更地で売却する
- 空き家をリフォームして売却する(あるいは不動産会社の買取り)
現在は、もっと多様な形での空き家の売却方法が登場していますが、基本はこの3つです。
どの方法がぴったりなのか、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、決めていきます。
① 空き家をそのまま売却する方法
古い家が建ったまま、土地とセットで売る方法です。
家の中の家財道具など不用品を処分するだけで売りに出せるので、売主の負担がもっとも少ない方法でもあります。
手早く住み替えを考えている方などの需要が見込め、高値で買い取ってもらえます。
ただし、何年も放置した空き家だったり、状態が悪い家だとなかなか買い手がつかず、売却価格も下がる一方ということもあるので、注意が必要です。
ただ、人気のある地域の一軒家と、そうでない土地の一軒家とでは、状況がまったく異なるため一概には言えません。
どうすべきかはプロである不動産会社に相談すると、立地条件などを考慮した最適な案を示してもらえます。
素人がにわかに考えてもわかりませんしね。
その代わり、親身になってくれる誠実な不動産会社を選びましょう
人気のある土地だったら、ボロい一軒家でもすぐに売れるしナ
【空き家のまま売却するメリット・デメリット】
- メリット
- 空き家を売却するまでの時間と手間がかなり省ける(不用品の片付けのみ)
- デメリット
- 空き家の状態が悪いと買い手が付きにくく、売却価格が下がっていく可能性がある
②空き家を解体して更地で売却する方法
空き家の状態が悪く、そのまま売却するのが難しい場合は古い家を解体し、更地にして売るという方法があります。
土地の広さや周辺状況がわかりやすいため、古い家が建っている状態よりも印象が良く、買い手がつきやすいのが利点です。
ただし、解体費用がかかる上、もしも買い手が見つからなかった場合は翌年からの固定資産税が高くつくので、慎重に検討する必要があります。
すぐに売れるか不安が残る場合、解体費用分を差し引いた金額で家を売却するという方法もあります。
ただし、その解体費用も余裕を持った金額で見積もられることも多く、売主側で解体したほうが安上がりなケースも多々あります。
これも、空き家の立地条件や環境などに左右されるので悩ましいところです。
まずは信頼できる不動産会社に、どのような方法が最適か相談してみるといいでしょう。
【更地にして売却するメリット・デメリット】
- メリット
- 不人気の土地でも更地にすれば早く売れる可能性がある
- デメリット
- 解体費用が自己負担のうえ、売れないまま翌年に持ち越すと固定資産税が高くなる
③空き家をリフォームして売却する
古い空き家をリフォームしてから売却する方法です。
古い家であっても、外観や内装、間取り、耐震性など、問題点を改善して売りに出すので、早めに買い手がつくことが多いです。
買い手側にとっても、土地を購入してから新築を建てるよりはるかに安く、すぐに移り住むことができるというメリットがあるため、人気です。
ただ、売却するためのリフォームは、空き家を安価に買い取った不動産会社が行う手法でもあります。
個人でこの方法を考えているなら、売却価格を考えてどの程度のリフォームを行うか、不動産会社などと相談の上、計画的に行うほうがいいでしょう。
不動産会社なら、買い手が見つかりやすい家(適切なリフォーム)というのもよく知っていますからね。
そこはプロにアドバイスしてもらいましょう
とはいえ、リフォーム後の売却を考えているなら、次の2つを検討してみてください。
- 空き家の買取りシステムを利用
(不動産会社に買取りしてもらう⇒不動産会社がリフォームして売却) - 自分たちのためにリフォームした家を比較的新しい状態で売りに出す
この2つが現実的だと思います。
【リフォーム後に売却するメリット・デメリット】
- メリット
- 早く売れる傾向がある
内覧での見た目の印象もよく、買い手が見つかりやすい - デメリット
- リフォーム費用が余分にかかる
売却益が少ない
どうやって売るのが一番いいか迷うようなら、不動産会社に相談して決めるといいですよ
空き家を有利に売却するコツとは?
いくら空き家となった実家が古かろうと、少しでも高く売りたいですよね。
中古物件を有利に売却するためのコツは以下の4つです。
- 補修しておく
- 清掃しておく
- 節税対策する
- マッチした不動産会社を選ぶ
傷んだ箇所は補修しておく
古い空き家を売るなら、不具合のある部分はある程度、修理しておくことで印象がよくなり、買い手がつきやすくなります。
壊れた部分をそのままに売りに出すと、その修繕費用相当を売値から差し引くケースが多いので、自身で補修しておくよりも結果的に高い費用を払うことにもなります。
かといって大幅な修繕、あるいはリフォームを行ったとしても、空き家の価値が大幅アップするわけでもないので、損を出さない範囲での補修にとどめましょう。
DIYが得意なら、自分で修理してしまえば、それが一番ですけどね
清掃して家の中は空っぽにしておく
空き家を売るなら、まず家財道具類はすべて処分しておきます。
家の中に生活用品などが残されたままだと、それだけで物件の売却価格が下がってしまいます。
居抜き状態がありがたがられるのは、自然災害など非常事態で急きょ避難してきた方が買い取る場合のみ、です
古い空き家を少しでも高く売ろうとするなら、動かせる家財道具類はすべて処分し、すっきりした状態で仕上げに清掃しておくことで、古くても管理の行き届いた清潔感をアピールできます。
家財道具の処分については、各自治体に申し込めば低価格で大型・資源ゴミとして回収してもらえますし、時間がない方は30万~60万円の費用がかかるものの、不用品回収業者にまとめて依頼するという方法もあります。
掃除しておくと好印象
古い空き家であっても、きちんと清掃の手が入っている家は印象も良く、わりと早く売れるようです。
家具類を撤去した後は掃除機をかけ、フローリングなどは一度拭き掃除をしておくといいでしょう。
さらに、ハウスクリーニング業者に水回りなどの徹底清掃を頼んでおくと完ぺきです。
住み替えるつもりで中古物件を探している買主にとっては、「業者による清掃済み」というのは好印象です。
少々お金はかかりますが、ハウスクリーニングは特殊洗剤を使用して徹底消毒してもらえるので、買い手がつきやすくなります(業者による消毒・除菌はアピールポイントになります)。
うちの近所にある2階建ての小さな家も、ハウスクリーニング業者に依頼して売りに出したところ、半年待たず売れていました。
窓という窓全開で、女性スタッフ2~3名が数日かけて家の清掃・消毒を徹底して行っている様子が見えていました
節税対策(3000万円特別控除)
家を売ると、所得税や住民税など多額の税金を支払うことになるので、節税対策をするかしないかで、手元に残る金額は大きく違ってきます。
とはいえ、相続した空き家やマイホームの売却時には、いくつかの特例制度が設けられているので、ほとんどの場合、支払う税額はかなり少なくてすみます。
そんな主な特例として、次の4つをご紹介いたします。
- 相続した空き家を売った場合の特例
- マイホームを売ったときの3000万円控除の特例
- 軽減税率の特例(10年超の自宅売却で税金が安くなる)
- 相続財産を売ったときの取得費加算の特例(税金が安くなる)
① 相続した空き家を売った場合の特例とは?
放置される空き家を減らすために設けられた特例で、一定の要件を満たすことで相続した空き家を売却した際に3000万円特別控除が適用されます。
【例】
- 独り暮らしだった父の家を相続した
- 独り住まいだった兄の家を相続した
というように、亡くなる直前まで一人で暮らしていた家が対象の特例です。
空き家を解体して更地にした場合でも、適用されます。
【(No.3306)被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例】 |
【期間の要件】 特別控除を受けるためには、以下の期間内に空き家を売却する必要があります
この特例制度の適用期間内であっても、空き家を相続してから3年目の年の12月31日を過ぎた時点で、利用できなくなります。
令和5年度税制改正で期間の延長がされました
その他の主な要件は以下のとおりです。 【要件】
|
- ☑ 特例の適用期間が令和5年⇒令和9年12月31日までに延長
- ☑ 取得した相続人が3人以上の場合、特別控除額は1人あたり2000万円になる
- ☑ 空き家の耐震基準について⇒売却後(※)の家のリフォーム、解体でもOK(令和6年1月1日以降より)
※売却してから翌年の2月15日までに実行された場合のみ、特例適用が可能
以上の改正内容は、お世話になっている税理士さんからの最新情報です
このように、一人暮らしの方が亡くなりその家を相続した場合、一定の要件を満たすことで売却時に最高3000万円の特別控除が受けられる特例です。
②マイホームを売ったときの3000万円控除の特例とは?
それまで自宅として暮らしていた家を売却する際には、この『マイホームを売ったときの3000万円特別控除』を適用すると、たいへんお得です。
正式には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といい、マイホームの売却益(譲渡所得)から最高3000万円までを非課税にできる、というものです。
マイホームの購入金額より3000万円も高く家が売れた、などということはめったにないでしょうから、多くの方がこの特例によって税金の支払いが不要になるか、あるいは少なくなります。
古い家を解体して土地だけを売却するケースでも、この3000万円控除は利用できます。
ただし、売却期限などが設けられているので、計画的に取り組む必要があります。
【(No.3302)マイホームを売ったときの3000万円特別控除】 |
【主な条件】
|
この「3000万円控除」を利用すると、「住宅ローン控除」や「マイホーム買換え特例」など、他の特例との併用ができない点にご注意ください。
次の「軽減税率の特例」との併用はOKです
③軽減税率の特例(10年以上住んでいる自宅売却)とは?
自宅だった家を売ったときの税金が安くなる特例です。
マイホームを売る時には、所有期間が5年を超えるなら「長期譲渡所得」、5年以下であれば「短期譲渡所得」として税金の計算がされます。
当然、短期よりも長期のほうが税金は安くなるわけですが、これが10年以上暮らした家だった場合、さらに税金が安くなります。
これが、「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」です。
- 長期譲渡所得(5年以上所有)
⇒約20%(所得税15%、住民税5%) - 軽減税率の特例(10年以上所有)
⇒約14%(所得税10%、住民税4%)
ただ、売却益が6000万円を超えると、超えた部分については「長期譲渡所得」の税率で計算されます。
この特例は、一つ前に紹介したマイホーム売却時の「3000万円特別控除」といっしょに利用できるのもポイントです。
【(No.3305)マイホームを売ったときの軽減税率の特例】 |
【要件】
|
④ 相続した財産を売ると譲渡所得税が安くなる?
遺産相続の申告期限の翌日から3年以内に、土地・建物・株式などの相続財産を売却すると、納める税金(譲渡所得税)が安くなります。
これを「取得費加算の特例」といいます。
具体的には、たとえば相続した不動産を売却した際に、すでに支払った相続税のうち一定の金額を「取得費(経費)」として加算したうえで計算ができる、というものです。
これによって支払う税金がかなり減らせます。
相続税の申告期限は死亡してから10か月以内なので、亡くなった日から3年10か月以内であれば、ということですね
ただし、相続税が課税されなかった人は、この特例は利用できません。
【(No.3267)相続財産を譲渡した場合の取得費の特例】 |
【要件】
|
この特例は、最初にご紹介した『被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例』との併用はできないので、どちらか一方を選ぶことになります。
特例の詳細については、国税庁のホームページで確認できます。
以上が、相続した空き家を売却するときに節税対策になりそうな、主な特例です
頭がクラクラしてきた・・・
このように、相続した空き家やマイホームを売却する際には、利用できそうな特例がないか、しっかりチェックしておきましょう。
特例の詳細は国税庁のホームページで確認できます(最新版に更新されていなくても、基本の要件は大きく変わることはありません)。
事前に調べておくことで、その後の手元に残る金額は大きく違ってきます。
どの特例が利用でき、どういう組み合わせが特になるのかなどは税理士さん、あるいは不動産会社に相談してみると親切に教えてもらえます。
今は、税理士と提携している不動産会社も多いので、そういうところであればよりきめ細やかなアドバイスが期待できると思います。
空き家の売却が得意な不動産会社を選ぶのがポイント
不動産会社にも、それぞれ得意とする分野があります。
相続した空き家やマイホームを売るなら、そういった物件を数多く扱っている不動産会社を選ぶことをおすすめします。
空き家問題と税制度に精通している会社なら、最新の情報に明るく、蓄積したノウハウやネットワークを駆使して思ったよりも早く買い主が見つかるかもしれません。
そんな不動産会社って、どうやって探せばええのん?
ホームページや広告を見れば、だいたい力を入れてる分野はデカデカと載せているから、すぐにわかるわよ
不動産会社とお付き合いのない方は、各自治体の「空き家・空き地の活用相談窓口」などに問い合わせると、支援事業者(不動産事業者)からのアドバイスを無料相談という形で受けられます。
また、インターネットが利用できるなら、不動産の一括査定サイトも便利です。
必要事項を入力するだけで、売りたい物件の査定額を複数の不動産会社から取り寄せることができます。
それを参考に、条件の良い不動産会社を選んだり、物件の相場価格を知るのにも役立ちます。
どちらの方法も、不動産会社を選ぶきっかけ作りとして有効なので、うまく活用してください。
自治体の空き家相談は、土日祝日、昼休みの時間帯をさければ、すぐに対応してもらえます。
一括査定サイトについてはネットで探せばいろいろ見つかると思いますが、参考までに、以下のサイトをご紹介しておきます。
不動産会社の一括査定サイト
不動産一括サイトでは、専用の査定フォームに必要事項を入力して送信すればいいだけです。
簡単に複数の不動産会社から査定額を集められるので、スマホを持っている方はわりと気軽に利用されています。
いえカツLIFE(不動産一括査定サイト)
- 不動産の査定額をまとめて取り寄せ(最大6社から)
- 実績豊富・専門性のある500社から厳選マッチング
- 相続・空き家問題に精通した不動産会社あり
- 一戸建て・土地・マンションなど、あらゆる不動産が査定可能
- 対応エリア(東京・埼玉・千葉・神奈川・大阪の不動産)
【いえカツLIFE】は不動産会社の一括査定サイトですが、相続・離婚・金銭問題など、それぞれの売却理由に精通した不動産会社がピックアップされ、査定額が提示されるというシステムです。
さらに、査定額についても【仲介】【買取り】【リースバック】した場合の3つのパターンで金額が示されるので、最適な売却方法が比較検討しやすく、見つけやすいのもポイントです。
また、不動産売却を検討していることを他の家族に知られたくない場合でも、きちんと対処してくれるので、その点は安心して利用できます。 |
詳しくは「いえカツLIFE」公式サイトにて確認してください
⇒いえカツ
成仏不動産(事故物件の買取専門)
テキストが入ります。
- 事故物件の買取専門の不動産会社なので安心して査定を依頼できます
- 事故物件を専門に扱うので、正しい査定で他社よりも高額買取
- どのような物件でも断ることなく対応
- 拠点7か所の全国対応で、遠方の出張査定でも無料で行います
- 特殊清掃・遺品整理・相続サポートも合わせて対応可能
こちらは一括査定サイトではありませんが、必要な方のためにご紹介しておきます。
成仏不動産は孤独死や自殺、ゴミ屋敷などあらゆる事故物件を取り扱う、買取専門の不動産会社ということですが、物件の仲介業務も可能なようです。
買取りした事故物件は供養と改修工事を行い、付加価値を高めた上で『事故物件総合取り扱いサイト』を通じて売りに出されます(気にせず購入したいという需要も手堅くあるようです)。
このように販売網がしっかりと構築されているので、事故物件でも正しい査定を行い、一般の不動産会社が査定した金額よりも高く買い取ってもらえるのが特徴です。
「どんな物件でも断りません!」と明言しているのが、心強いですよね。
実際、故人の荷物や家具類がそのままの物件でも、頼めばまるごと買い取ってくれるそうです。
仮に売りたい家が営業所からはるか遠方だったとしても、出張査定料は無料。
さらに、査定に立ち会うことがムリでも、鍵を預けることができれば査定士のみで現地確認してくれるようです。
孤独死などで発見が遅れた家などを相続し、一般の不動産会社から「事故物件なので・・・」と扱いを拒否されたり、捨て値のような査定額を提示された方は、一度、成仏不動産にセカンドオピニオンを求めてみるのもアリだと思います。 |
詳しくは「成仏不動産」の公式サイトで確認してください
空き家を売る前に確認しておくべきこととは?
空き家を売りに出そうと決意し、不動産会社に相談したものの書類上の不備が積み重なって、「すぐにでも売りたいのに売りに出せない」というケースは少なくないそうです。
たとえば、空き家の相続人の名義変更が放置されたままだと、家の売却はできません。
大丈夫ですか?
相続した家を売るなら、特に権利関係については早めに確認し、きちんと整理しておきましょう。
- 空き家の所有者の名義変更は終わってる?
- 空き家の売却には相続人全員が同意してる?
- 隣家との敷地境界線は確定してる?
相続した土地・家屋(不動産)の名義変更は令和6年(2024年)4月1日から義務化されます。
めんどくさいからと放置してると、10万円以下の制裁金があったりするからナ・・・
空き家を相続していて、名義変更した記憶がない方は今すぐ取りかかったほうがいいですよ。
それに関する相談予約も数か月待ちだったりするので
名義変更は、空き家を売却するために必要な手続きなので、放置している方は早々にやっておきましょう。
また、複数の相続人や共同名義の物件の場合、権利者全員から売却への同意を取り付けておく必要があります。
一人でも拒否する方がいれば、その不動産の売却はできません。
実家などの場合、相続人でなくても心情的な理由から反対する親戚がいるかもしれませんが、権利者でなければ問題ありません
その後の付き合いに問題が生じるだろうけどナ・・・
まあ、どうしても残しておきたいなら、家の維持費を折半する提案をして、それをのめないなら売却する、という方向性で話を持って行くのも方法の一つですね
次に重要なポイントとしては、隣家との境界線です。
古くからある住宅密集地などに多い問題ですが、隣家との境界線があいまいであったり、必ずしも登記簿どおりでないこともあります。
登記簿謄本や過去の筆界確認書などをチェックし、実際と違っているような場合は、土地家屋査定士に依頼して、隣家の立会いのもと境界線を確定させておくことも必要です。
いずれの手続きもそこそこ時間がかかることなので、住む予定のない空き家を所有している方は、早めに取りかかっておきましょう。
相続した土地の国有化とは?
令和5年4月から「相続土地国庫帰属制度」の申請の受け付けが全国の法務局で始まりました。
これは、土地を相続したものの使い道がなく持て余している人が、その不要な土地を国に引取ってもらう制度です。
【必要な費用】
- 承認申請費用 1万4000円
- 承認後の負担金 10年分の管理費相当額を納付
ただし、法務局に申請してから承認されるまで、半年から1年ほどかけて土地の審査が行われます。
基本的に、空き家などは解体撤去し、更地にしておく必要があります。
この制度は、将来的に所有者不明の土地が増えるのを防ぐための対策ですが、次のような土地は対象外となるので、解決できる点は早めに手を打ち、それから申請しましょう。
- 建物や埋設物がある(撤去が必要)
- 担保権設定がある(債務の担保になっているとダメ)
- 土壌汚染がある
- 危険な崖がある
- 隣接地との境界線があいまい(明確にしておく)
これまでは、相続したくない土地があっても、その部分だけ相続放棄するわけにはいかず、相続してしまった土地の管理や、毎年の固定資産税が重くのしかかって「だれかタダでもらってくれ~」と泣いてた人も、これで多少救われるかもしれませんね。
相続放棄は、預金などの資産もまるごと放棄する意思表示だしね~・・・
林業するわけでもないのに山林もらってもな~・・・
買い手もおらんしナ~・・・
まとめ
両親の死後に相続した実家など、片付けがはかどらず空き家のまま放置していると、老朽化が進み、資産価値も下がっていきます。
さらに所有しているだけで、固定資産税はかかりますし、自治体から「特定空き家」に指定されると優遇措置がなくなり、毎年の税額がどーんと上昇することにもなり、大変です。
将来的に住むつもりがなければ、空き家はできるだけ早めに売却するほうが、得策です。
そうすることで、結果的に多く資産を手元に残せます。
- 相続あるいは住まなくなって3年以内に売却する(3000万円控除)
- 更地にするなら固定資産税が確定した1月2日以降がベター
- 更地にしたら年内に売却
- 長年放置しているなら、10年長期所有の軽減税率も一考
空き家や土地などの不動産は、売ろうと思ってすぐに売れるわけではないので、早めに不動産会社と相談し、計画的に売却への手続きを進めるほうがいいでしょう。
その場合は、複数の不動産会社に査定をしてもらい、適切な会社を選ぶようにしてくださいね。
良きアドバイザーになってくれると思いますよ。