大切な家族の危篤を告げられた時、まずすべきことは親族への連絡です。
病院では必ず医師から「会わせたい方がいれば、すぐに連絡してください」と言われます。
命のタイムリミットが近づいている中、いったい誰と誰に連絡を入れるべきでしょうか。
また、危篤や死亡が夜中だった場合、その連絡方法とは?
今回は、家族のだれかが危篤状態になった時に、あわてふためかないためにも、連絡すべき範囲や時間帯による連絡方法などを事前に知っておきたいと思います。
ケース例も載せていますので、参考にしてください。
- 常識的な連絡範囲とは?
- 仲の悪い兄弟姉妹への連絡
- あえて危篤を知らせないケース
- 早朝・深夜の連絡方法
主に、こういう内容でチェックしていきます
いざという時に後悔しないためにも、ご自分の家族のケースに照らし合わせて、考えてみてください。
危篤を告げられたら、会わせたい人に連絡する
病院から危篤の知らせを受け、家族は病室に駆けつけます。
それと同時進行で家族がするべきことは、会わせたい人への「連絡」です。
ただ、どれだけの人に連絡すればいいか、迷うところです。
そこで参考にしたいのが、昔から一般的とされる、危篤の知らせの連絡範囲です。
一般的には、次の関係の方に危篤を知らせます。
- 家族と近親者
- 特につながりの深い友人・知人
- 勤務先、学校などで親しい人
ここで注意しておきたいのは、
自分と直接、付き合いがない人の連絡先はあらかじめ書き出しておかなければ、わからないということです。
前もって準備が可能であれば、リストを作成しておくといいでしょう。
では、この一般的とされている連絡範囲を、もう少し詳しく確認しておきます。
家族と近親者へ連絡
近親者というのは、危篤状態となった当人とその配偶者の、親や兄弟姉妹、おじおば、甥や姪ぐらいまでの範囲を指します。
要するに、三親等までに至急連絡する、というのが一般的です。
ただ、三親等以内だからといって必ずしも知らせなければならない、というわけではありません。
それぞれの家の事情、お付き合いの深さなどから、連絡する人を決めます。
親が危篤!長年、音信不通の兄弟にも知らせるべき?
積年の確執が兄弟姉妹の間にあったとしても、連絡先がわかっているなら、親が危篤状態にあることは知らせたほうがいいと思います。
たとえ兄弟姉妹の仲は悪かったとしても、親子関係は別かもしれませんしね。
危篤を知らせた結果、親の死に目に会いに来るかどうかは、相手次第です。
それでも「危篤を知らせる」という責を果たすことで、もめ事の可能性を減らすことができます。
ちなみに、危篤を知らせて反応がなかった場合でも、通夜・葬儀の日時も追加で知らせておくといいでしょう。
心のわだかまりは横に置いて、端的に親の緊急事態であることのみを告げ、病院名と病院の住所を知らせましょう。
連絡方法としては、電話番号を知っているなら直接電話をかけます。
電話をかけてもつながらなかった場合は、メール(SMS・LINEなど)を使います。
(仲が悪いと、LINEはブロックされていることも考えられるので、SMSやメールなど複数の手段で連絡をしておくことをおすすめします)
仮に住所しかわからない場合は、インターネットの電報を利用してでも、親が危篤なので至急連絡を寄こすようにメッセージを送ります。
- まず電話
- 次にメール(複数の手段で)
- 電報(住所しか知らない場合)
返信や反応がない場合でも、お葬式の日時を知らせるメールや電報を追加で送っておけば、「喪主として一応の責任は果たした」ということになるのではないでしょうか。
仲が悪いと大変だな
親が高齢になったら、緊急のホットラインの確認をしておくといいかもね。
「それはそれ、これはこれ」と割り切って、ね
遠方や高齢の近親者には知らせないほうがいい?
高齢の親が危篤になった場合、その親兄弟もかなり高齢だと思います。
また、遠方に暮らしている方などは、知らせたとしても駆けつけることも難しいでしょう。
その場合、危篤についてはあえて知らせず、訃報のみを連絡することも多いようです。
場合によっては、危篤・訃報ともに事後報告、あるいは亡くなったこと自体を知らせない、ということもあります。
ただ、知らせないことで遺恨を残すことも可能性としてはあるので、それぞれの関係性や諸事情によって対応は変わってくると思います。
以下は、知らせなかったケースの例です。
施設療養していた高齢の母親が危篤。
兄弟姉妹のみで臨終に立ち会い、長兄が喪主として通夜・葬儀を行った。
父親は存命だが、特養に入っているので、あえて母親が亡くなったことは知らせなかった。
今も、父親は母親が療養していると思っている。
いつの日か、あの世で会って「え、いつの間に来てたの?」という会話をするのではないだろうか。
それでいいと思っている。
父親が亡くなったが、おじおばもかなりの高齢で足腰も弱く、参列は難しいと思った。
朝になって一応、亡くなったことは知らせたが、「無理して葬式に来ることないよ。おやじもそう言ってたから。無理して来て、具合が悪くなったら、あとあと大変だから」と伝えたところ、納得してくれた。
葬儀の時間に合わせて、自宅で読経をあげて見送ってくれた。
40代の娘が病で亡くなったが、親戚には一切知らせなかった。
お葬式も家族のみで行った。
子どもたちが幼い頃は互いの行き来もあったが、すでにそれも途絶えて久しく、今では季節の挨拶のみの付き合い。
あえて知らせる必要もないと判断。
いずれ、娘のことを聞かれたら、すでに亡くなったことを話せばいいと思っている。
ケース1とケース2は、わたしが司会を担当したお葬式でも、よく見かけました
このように、「あえて知らせない」という選択肢も、世間にはわりとあるようですね。
親友や婚約者、勤務先・学校などで親しい人への連絡
危篤を知らせる範囲は、
お付き合いの深さによっては血縁・縁戚関係以外にも及びます。
たとえば長年、家族ぐるみの付き合いがある方や、結婚を前提に付き合っている方、あるいは同居している交際相手など、危篤に陥った本人が会いたいであろう人に、連絡します。
- 交際相手
- 婚約者
- 同棲しているパートナー
- 離婚して別居した子ども
特に病気に倒れてからは、家族以外の付き添いや面会は難しいこともあるので、本人にとって大切な人には危篤であることを知らせてあげましょう。
本人といっしょに暮らしていた方が異性・同性にかかわらず、たとえ家族がその存在を認められなかったとしても、生きて会える最後の時間を、分かち合ってもらえたらと思います。
逆に、それほど親しいというわけでもない場合は、相手に負担をかけることになるので、知らせる必要はありません。
普通に生活していて突然倒れた場合は別として、闘病生活を送っていたのなら、まだ会話ができる状態のうちに会ってもらっているほうがいいでしょう。
治る見込みがないと判断したなら、小康状態の間に会いたい人に会えるようにしてあげるといいですね。
学生時代からの親友が、その夫亡き後、自身もステージ4であることを宣告された。
なぐさめるよりも、はげますよりも、食いしん坊の親友に誘われるまま、全国各地の一流寿司店めぐりに付き合った。
二人で最高の寿司の世界を堪能した。
親友は、病床で「あれは楽しかったね」「おいしかったね。また、行こうね」と笑ってくれた。
コーラスグループの仲間が闘病生活の末、そう長くはないと知った。
何度か緩和ケア病棟に見舞いに行った際、賛美歌のリクエストを受けた。
個室でもあったため、クリスチャンの彼女の求めに応じて、皆で賛美歌を歌った。
その夜、苦しむことなく神に召された。
【ポイント】
- 「もしも」の時のための連絡リストを事前に作成しておく
危篤や死亡の連絡は早朝・深夜でもかまわない!?
臨終や死亡など緊急時の連絡は、時間帯や相手との関係を問わず、電話で行うのが基本です。
ただ、朝9時より早い時間や、夜の9時以降の連絡では、
- 「夜分に恐れ入ります。実は・・・」
- 「朝早くにもうしわけありません。実は・・・」
というように、非常識な時間帯に連絡することの「詫び」を言った後に、危篤や死亡を知らせるといいでしょう。
特に高齢なると、夜8時以降には就寝している方も多いので、現役世代の方々から連絡を入れる場合は、気遣いが必要です。
死亡を知らせる範囲は?
死亡の連絡(訃報)は、本来の危篤を知らせる範囲の方々へまず行います(危篤に駆けつけることができなかった方々へ連絡)。
それ以外の親戚や、友人・知人には、通夜・葬儀の式場と時間が確定してから知らせるといいでしょう。
- 危篤を知らせなかった親族
- 故人とお付き合いのある友人・知人
- 故人の居住地の自治会
- 故人が所属するグループの代表など
- その他(自分の所属する会社や学校などへの連絡)
亡くなったあとの連絡は、葬儀の日時と場所を正確に知らせることが目的なので、まずは電話で訃報を知らせ、葬儀場の場所や日時についてはあとからメールやファックスを利用すると間違いがありません。
また、一人ひとりに連絡をするのは大変なので、できるだけ代表となる方に連絡をし、他の方へ伝えてもらうようにお願いするといいでしょう。
親戚の高齢者なら、知らせるべき範囲のアドバイスなどもしてくれると思います。
⑤の「その他」については後ほど説明いたします。
危篤・死亡を電話で伝えるときの「言い方」例
深夜や早朝に、危篤や死亡を知らせる電話のしかた(言い方)の一例を挙げてみました。
参考にしてください
危篤の知らせ
「夜分恐れ入ります。◇◇◇の長男の太郎です。
実は、先ほど病院から連絡がありまして、父が危篤になりました。
どうか息がある内に、父に会ってやってもらえませんか?お願いいたします」
「朝早くに申し訳ありません。
実は、今朝方、入院中だった父が危篤になりまして・・・病院から会わせたい人には至急連絡するように言われました。
無理を承知でお願いしますが、どうか最後に一目会っていただけませんでしょうか」
死亡した直後の知らせ
「◇◇◇の長女の花子です。朝早くに恐れ入ります。
実は、本日の夕方に義母が亡くなりましたので、△△さんには、親しくしていただいていたことですし、とりあえずお知らせだけでもと思いまして・・・。
ええ、お葬式の日時などは、はっきりしてから、また追って連絡させていただきます。」
「◇◇◇の長男の太郎です。
おじちゃん・・・実は明け方に父が亡くなったんよ。
うん、がんばったんやけど、あかんかった。おじちゃんには、何回も見舞いに来てもろうたけどな・・・ほんま、ありがとうな。
おやじもうれしかったと思う。
葬儀のことは・・・これから決めるんやけどな、とりあえず、亡くなったことだけ、先に知らせなあかん思うてな・・・。
うん、大丈夫や。葬儀の場所や時間が決まったら、また連絡させてもらうわな。」
葬儀日程が決まったあとの訃報
「おばさま、わたし真知子です。うん、お久しぶり。
あのね、実は今日の明け方に父が亡くなってね・・・驚かせてごめんね。
それで、お葬式は△△寺ですることになったんだけど、通夜が今日の夕方6時から、葬儀は明日の1時からの開式に決まったので、その連絡です。
おばさま、申し訳ないけど、父が亡くなったこと、東京のおじさまに連絡してもらえないかな。うん、お願いいたします。」
「突然の電話で申しわけありません。◇◇◇の長男の一郎と申します。
実は父が昨日亡くなりまして・・・生前中は大変お世話になりました。
それで・・・お葬式ですが、通夜は明日、5月16日の午後7時から、葬儀はその翌日17日の午前11時から、△△葬儀会館でいたします。
父の希望で香典はすべて辞退ということにいたしました。
え?宗派・・・あ、うちは黒住教です。ええ、神式で行います。」
要は、いきなり電話したことや、寝ているところを叩き起こしたことを謝罪してから本題に入ればいいってことですね
電話を受けた側も、時間帯によって緊急事態だってわかるしね
会社関係・友人関係などは、グループの中のどなたか一人に連絡をすれば、親しい関係の方々へ連絡を回してくれるので、お任せすればいいでしょう。
親戚以外への連絡内容は通夜・葬儀の時間と場所、それ以外にも宗派、香典辞退する場合はそのことも、情報として伝えておくことが大切です。
あと、式場に駐車場がなかったり狭い場合は、そのことも併せて知らせておくほうが親切です。(路上駐車で『葬儀中につき・・・』という紙をフロントに提示していても、関係ありません。駐車違反で取り締まりの対象となります)
家族が危篤になったとき、自分の予定もキャンセルしておく
家族の危篤で動揺する中で、つい忘れがちなのが自分の予定のキャンセルです。
通常、病院から危篤を告げられると、最後に会わせたい人がそろった段階で臨終を迎えるケースがほとんどです。
その後は葬儀社に連絡してお葬式の準備に入るため、親族は非常に忙しくなります。
うっかり忘れてしまわないうちに、緊急性のない用事はキャンセルし、職場には事情を話してスクジュール調整を願い出ておくといいでしょう。
家族が危篤と知った段階で勤め先の上司に一報を入れ、
「もしもの時には、追って連絡いたします」と伝えておけば、万が一の心づもりで対処してくれるでしょう。
奇跡的に容態が持ち直したなら、大変喜ばしいことですが、そうでない場合、職場には訃報を知らせなければなりません。
その連絡のしかたについて、確認しておきます。
職場への連絡方法(電話・メールなど)
上司や勤め先への連絡方法は、臨終の時間によっても異なります。
日中であれば、電話での連絡です。
深夜や早朝であれば、メール+電話を使います。
亡くなったのが深夜だった場合は、まずはメールなどで連絡をしておき、翌朝あらためて電話で報告します。
- 家族が臨終したこと
- 葬儀のため会社を休むこと
- 翌朝にあらためて報告する旨をメールしておく
- 会社側から連絡を取る場合の連絡先も記しておく(自分のスマホ・葬儀会社の電話番号など)
連絡をするタイミング
家族が亡くなった時間帯にもよりますが、適切なタイミングで自身の勤め先には報告するようにします。
臨終後のあわただしい中、連絡を取れるタイミングとしては以下の3つです。
【連絡するタイミング】
- 臨終後(病院などで手配した葬儀社が到着までの間)
- 安置後(式場となる葬儀会館の安置室で落ちついた時)
- 葬儀の決定後(葬儀の日時が決定した段階)
臨終を迎えたなら、葬儀社に連絡をして寝台車が迎えに来るまでの間、あるいは安置室(葬儀社か自宅)に移動した段階で、勤め先の上司に訃報を知らせます。
特に自身が喪主である場合、通夜・葬儀の日時が決定した段階で、会社からの手伝いなどを頼みたければ、そのことも併せてお願いしておくようにしましょう。
また、「手伝いましょうか」という申し出も、一般葬であればありがたく受けた方がいいと思います。
一般葬の場合、親族ではわからない会社関係の弔問者にも、しっかりと対応してもらえるので助かります。
プライベートの友人であれば、葬儀内容の相談がすべて終わった後での連絡でもいいでしょう。
自分が仕事を休むことで、シフト変更や代理を頼むなど、調整が必要な方は、「できるだけ早く連絡しておく」ことを心がけるといいと思います。
まとめ
大切な家族や、非常に近しい身内が危篤や臨終を迎えたときは、早朝だろうと深夜であろうと、すぐさま電話で連絡してください。
危篤の知らせは電話連絡が基本です。
連絡する範囲は三親等までとされていますが、(危篤に陥った)本人が会いたがっているだろう人に連絡するのが一番だと思います。
また、三親等の範囲内であっても、相手が高齢で体調が思わしくなかったり、遠方にお住まいでとても間に合わないようであれば、危篤・死亡の連絡はしないという選択もあります。
難しい判断ですので、家族と相談して決めるといいでしょう。
それと同時に、自分の友人・職場関係へのスケジュール変更の連絡も忘れずにしておきましょう。
以上です。
これらのことを頭の片隅に覚えておくと、もしもの時にきっと助けになりますよ
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