

こんにちは、三輪あや子です
最近は、低価格でシンプルなお葬式に注目が集まっています。
シンプルお葬式というのは、サービスを最小限に抑えた葬儀プランのことですが、どれだけサービスを減らせるかは、喪家それぞれです。
どんなお葬式をしたいかにもよりますし、知識のないままやみくもにサービスを削減してしまうと、まともなお葬式ができなくなることもあります。
そこで今回は、断ってもいいサービスと、削減しないほうがいいサービスについてチェックしていきたいと思います。
サービス内容を理解した上で、満足できるシンプルお葬式を目指しましょう!
葬儀で削ってはいけないサービスとは?
以前は、お葬式というと「何もわからないまま」「葬儀社の言うがまま」お葬式のプランを選び、追加サービスも盛りだくさん、という喪家がほとんどでした。
たとえば、「(亡き)お母様のときにはBプランでしたから、お父様の場合はやはりこのくらいがいいのではないでしょうか」と、ワンランク上のプランをすすめられると、そんなもんなのか、と納得して契約してしまいます。

現役ならまだしも、高齢の場合は同じプランでいいと思いますけどね
今は「終活」として、葬儀についての下調べをし、自分の希望をはっきり口にする方が増えてきました。
それ自体はとてもいいことで、歓迎すべき傾向なのですが、中にはついつい行きすぎてしまう方もいます。
いろいろ調べたり、トラブル例を検索しているうちに、だんだんと情報に偏りが生じて、果てに「葬儀社はぼったくり」「暴利をむさぼってる」「だまされるな」という偏見を持ってしまうようです。
いったん、そういった先入観を持ってしまうと、いざという時に、葬儀社を信頼できず、担当者がすすめるサービスはどれもこれも「ぼったくるつもりだな」と疑ってかかってしまいます。
そのため、お葬式の打ち合わせで「これは必要ですよ」と説明されるサービスまでも、かたくなに拒否してしまうケースも見受けられます。

なんつーか・・・戦闘モードだな

親切そうに話しかける葬儀担当者は、もう・・・詐欺師にしか見えない、みたいな?
ただ、そこで本当に必要なサービスまで拒絶してしまうのはNGです。
お葬式の進行そのものに支障が出ては、喪家にとっても不幸です。
そんなNG行為の対象になりやすいのが、「献茶(けんちゃ)」と呼ばれる式場スタッフです。
葬儀の式場スタッフ「献茶」とは何する人?
献茶(けんちゃ)とは、お葬式がとどこおりなく終了するための補助スタッフで、お葬式に欠かせない役割です。
葬儀社や地域によって「お世話係」「キャスト」など呼び方はまちまちですが、昔ながらの呼称としては「献茶さん」です。

最近は「お世話係」と呼ぶ葬儀社が多いようです
献茶さんの仕事は多岐にわたりますが、葬儀場に来られた親族の身の回りのお世話がメインとなります。
親族の中には、長期間の看病疲れや、急な看取りで何日間も睡眠が取れていない遺族も少なくありません。
その状態で葬儀会館にたどり着いているので、どなたも気が張って一見しっかりしているように見えますが、実際は体も心もクタクタです。
そんな遺族の方々に、少しでも体を休め、心地よく過ごしてもらえるように気を配ります。
つまり、親族の代わりに、本来、親族がすべき雑用を一手に引き受ける存在です(昔であれば、町内会の皆さんが引き受けていた役割です)。
弔問に来られた方の問い合わせに応えたり、受付の足りない備品を補ったり、僧侶を出迎え接待し、儀式用具を預かってセッティングしたりと、全方位に目を配り、お葬式をサポートします。
ただ、親族の目に映るのは、弔問客にお茶を出したり、式場で席案内をしたりする姿がほとんどです。
特に、ベテランになればなるほど、必要な場面でのみスッと現われ、決してバタバタした動きは見せません。
だからこそ、こう思う方もいるわけです。
- 「大して重要でもないよな、このスタッフ」
- 「一人あたり数万円もかかるんなら、いらないんじゃね?」
- 「お茶出すぐらい、自分らでできるし」
身内や知人のお葬式に参列した経験のある方ほど、このように考える傾向があるようです。
そのため、実際に身内に不幸があって葬儀内容を決めていく時に、過去に見た献茶さんの姿を思い出し、「不要なサービス」と判断してしまうのかもしれません。
この献茶さんは、本当に不要な存在なのでしょうか?
もう少し、献茶さんの仕事内容を見ていきたいと思います。
葬儀場の「献茶さん」「お世話係」は不要な存在?
司会者の立場からすると、献茶さんがいないお葬式は、思わず「あ~、サイアク」と天を仰ぎたくなります。
単純に、人手不足に陥り、目が行き届かなくなるからです。
極めて小規模な家族葬なら、進行係(準司会)が一人で担う場合もあります。
これは規模や予算に応じてのことなので、問題ありません(最後のお別れの場面などでは、花切りなどに数人のスタッフが投入されるので、問題ありません)
ところが、ごくたまに、そこそこの会葬者が見込まれる一般葬にもかかわらず、
『お坊さんにお茶を出すのは、親族でする』
『式場の案内なんかはいらない』
という理由で、献茶さんの人数を減らしてしまう方がいます。
減らすだけならまだしも、断固拒否で完全に「雇わない」ケースもあります。
ところが、これは葬儀社側が困るだけでなく、喪家側にとっても良くない判断となります。
なぜなら、先ほど述べた、お茶を出したり、案内業務などは、献茶さんの仕事のほんの一部にすぎないからです。
献茶さんの仕事の大部分は、実は裏方にあります。

裏方仕事を並べてみると、こんな感じでしょうか
- 式場や控え室の準備・清掃
- 宗派ごとの儀式に必要な祭具の設置
- 受付・供養品の準備
- お接待(茶器等)の準備
- 宗教者への対応・接待
- 配膳等
- 法要室の準備
- 担当喪家にかかわる雑用一切

あと、式中の補助もあるわね

ああ、新人の献茶さんがガッチガチに緊張する部分だね
献茶さんの仕事内容は、各葬儀社によって多少違いがありますが、だいたいこのような感じです。
このように、親族からは見えない部分でも細々した雑用をこなし、円滑にお葬式が進行するよう務めるのが献茶さんの仕事の全体像です。
決して、皆さんにお茶を配り歩くだけの存在ではないのです。
昔はどうやってたの?
献茶さんのいない時代、つまり葬儀社がなかった時代はどうやっていたのでしょうか?
実は、現在の献茶さんの仕事というのは、昔なら隣保(今なら町内会)の皆さんが役割分担して行っていた仕事です。
ですが今は、町内会の方々総出でお葬式を手伝ってもらう時代でもありません。
かといって誰の手も借りず、家族のみですべての手配をしてお葬式をあげるのは、無理があります。
そこで、お金を払って葬儀の手配を(葬儀社に)依頼し、葬儀に必要な専門知識のある人材を雇っている、というわけです。

今も伝統が残る地域では、町内会の役員などが部分的に手伝っていますよ

主に受付業務だけ、だけどね
僧侶のお接待は親族でしたい
長いお付き合いのご住職なら、家族でおもてなししたいですよね。
僧侶のお接待を親族で行いたい、という希望があれば、もちろん可能です。
むしろ、それが本来の姿なので、問題ありません。
前もって担当者や献茶さんに伝えておけば、僧侶が会館に到着した時点で、「お寺様がいらっしゃいましたので、お茶の準備をお願いします」と、タイミングを計ったサポートをしてもらえます。
親族がお接待をするのは、より丁寧でいいと思いますよ。
- 葬儀場に到着し、専用の控え室へ入られた直後
- 複数の僧侶(導師・副導師・役僧など)の場合は、それぞれの到着後
- 読経が終わって僧侶が退席し、控え室へ戻られたタイミングでお茶を出す

念のため、お茶を出す際のマナーを復習しておくといいですよ~
読経後のお接待は、時間的に難しいと思うので、無理せず献茶さんにお任せしておけばいいと思います。
お葬式の場合、お接待を人任せにしたからといって、決して失礼にはあたりませんので、ご安心ください。

読経後つったら・・・親族はまだ式中だよね

喪主挨拶で、その後はすぐにお別れの儀式、そして火葬場へ出棺ですね
献茶さん(お世話係)の適切な人数の目安とは?
通常のお葬式では、司会者1名に対して2名の献茶さんが付きます。
この人数で小規模からそこそこ大きな一般葬までこなせます。
社葬など大規模葬儀になると、献茶もふくめて10名以上のスタッフが配置について進行を手伝います。
献茶さんの適切な人数というのは、葬儀の規模、会葬者の人数、場所などによって異なります。
- 大規模葬儀 4名以上~
- 一般葬 2名~
- 小規模 1~2名
- 親族のみ 1名
- 自宅葬 2名~
親族のみ数名という小規模なお葬式だと、司会者なしで、献茶さんが一人で進行を兼ねてお世話をすることもあります。
勝手知ったる自宅の葬儀では献茶はいらない?
自宅葬では、「献茶さん、いらないんじゃないの?」と思われるでしょうが、実際は自宅葬こそ人手が必要となります。

つまり、葬儀会館以外でするお葬式ってことね
特に、お葬式後の撤収作業は、スピード重視です。
後片付けを急ぐ理由は、自分たちが早く仕事を切り上げたいからではありません。
遺族の方々が、火葬場から戻ってすぐに精進揚げの食事をしたり、骨あげから戻ってすぐに初七日法要を行うことがあるため、その準備をすばやく整えなければならないからです。
設置した祭壇を解体し運び出し、その他の祭具や飾り付けなど、一切合切をトラックに乗せて、葬儀社の倉庫へ戻します。
一方、式場となった室内は、掃除機などをかけて清掃し、式場設営のために取り外した障子やふすまなども元通りの状態にした上で、後祭り祭壇を設置し、親族の帰宅を待ちます。
精進揚げを召し上がる場合は、会食ができるように場を整え、到着したお料理を並べ、準備をしておきます。

帰宅した親族には、後祭り祭壇の扱い方やルールを説明しますよ
自宅葬では、後片付けになったとたん、司会者も必死に働かされます(献茶さんに)。
もたもたウロウロしていると、すかさず「そこの幕でもたたんでおいてくださいっ」との、半ば叱責が飛んできます(献茶さんから)。
このように、自宅や自治会館などを式場とした場合は、親族が火葬場に行っている間にすべて撤去し、清掃をし、元通りの状態にするまでを短時間でこなす必要があります。
こういう理由から「自宅葬」では献茶の存在は欠かせません。
何人のスタッフが必要かは、葬儀社と相談して、適切な人数を決めてください。
まとめ
お葬式の費用というのは、実際に当事者にならない限り、価格について細かく意識したり、考えることもなく過ごします。
そのため、多くの方が、葬儀社がつくった仮見積りを見せられ、仰天するわけです。
仮見積りの各項目を見た時、そもそも相場を知らないため、「高いな・・・」と思いつつもスルーしますが、人件費の項目を見てハッとします。
納棺係や司会などは専門職ということで多少高くても納得するものの、「お世話係」の費用に引っかかりを覚えるようです。。

お世話係という、なんともマイルドな響きがね・・・
ところが、この「お世話係(献茶さん)」も、葬儀や各宗派の違いなど専門知識を備えたプロです。
司会の立場から見ても、ベテランの献茶さんとチームを組んだときのお葬式の完成度は、明らかに違います。
それほど、お葬式の現場で献茶さんは、縁の下の力持ち的存在だったんですね。
お葬式を考える時、不要なサービスはいくら削っても、一向に問題ありません。
ただし、必要なサービスまで削ってしまうのは、大切なお葬式そのものに支障をきたすNG行為です。
きちんと節約するための対策としても、あらかじめ葬儀社を見学し、葬儀プランの仮見積りなどを出してもらっておくことをオススメします。
そうすると、納得がいくまで説明を聞くことができますし、いろいろと節約のポイントなども考えた上で最良のプランを決定することができます。
早めの備えで、費用的にも納得のいくお葬式ができますよ。
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