こんにちは、三輪あや子です。
社会人になると、お付き合いの範囲も広がるため、お葬式に参列する機会もあります。
特に会社関係のお葬式に参列すると、
中には、祭壇の前で弔辞を読まれるシーンも見かけることも多いと思います。
この弔辞って、いつ、誰に頼むものなのでしょうか?
また、どうやってお願いすればいいのでしょうか?
今回は、家族の葬儀に
こちらから弔辞を依頼するタイミングや注意点、マナーなどをチェックしていきます。
弔辞とは? 葬儀の中で、いつ読むの?
弔辞は、亡くなった方への別れの言葉であり、共に過ごした時間を懐かしみ、感謝の思いをつづった追悼の文(ふみ)です。
弔辞を読むタイミングは、お葬式が始まって半ば過ぎ、焼香の時間より少し前です。
弔辞には一定の形式がありますが、立場や年齢によって、書き方も違い、形式どおりでないことも増えてきました。
いずれにしても弔辞は、
家族(親族)が知り得なかった故人の側面を知る、貴重な時間となり、
弔辞のあったお葬式は、後々までも遺族に満足感をもたらします。
それだけ印象に残るってことなんです
弔辞は誰に頼めばいいの?
弔辞を読む方というのは、通常、生前の故人と親しく交友のあった方です。
ここでは、「会社関係」「友人関係」「親族」のケースで、誰に依頼すればいいのかを見ていきます。
会社関係の場合、誰に弔辞を頼めばいい?
職場においては、直属の上司や同僚ですし、あるいは社長や会長ということもあります。
会社関係の場合、故人の立場から、どういう方にお願いするかが決まってきます。
わからない場合は、故人の同僚など、会社の方に相談されるといいと思います。
適切な方を選別してくれると思います。
また、故人がすでに引退している場合でも、仮にOB会などに所属していれば、必ず所属支部に連絡しておきましょう。
友人関係の場合、誰に弔辞を頼む?
友人関係というと、同じくらいに親しかった方は大勢いるわけですから、その中から、誰かを選ぶ、というのは、とても難しいような気がします。
しかも、友人関係というくくりは広く、遊びの友達から、社会活動の仲間まで、さまざまです。
どうやって弔辞を依頼する方を決めればいいのでしょうか?
まず「友人代表」として弔辞を頼む際は、付き合いの深さや長さから、選ぶといいと思います。
明らかに、親友といえる方がいるなら、その方にお願いするのが円満でしょう。
釣り仲間とか、ゴルフ仲間というグループ単位でしかわからなければ、やはりその中の誰かに相談してみてください。
仲間内で話し合って、適切な方を決めてくれると思います。
また、どのグループを選ぶかについては、「付き合いの長さ」「興味の深さ」などを参考に、決定してみてはどうでしょうか。
学校関係の場合、誰に弔辞を頼めばいい?
学生時代にお世話になった恩師などに依頼します。
また、亡くなったのが学生であれば、
特に慕っていた先生や、担任の先生、部活の担当教師・コーチなど、
先生以外では、友人代表として仲が良かった友達や先輩などに依頼します。
亡くなった方が教職に就いている場合は、会社関係のケースを参考にしてください。
家族・親族が弔辞をするのは間違い!?
本来、弔辞は親族以外の方が霊前にささげるもの、とされていますが、
最近の傾向として、親族が弔辞を読むケースも増えてきました。
この場合、実際には「弔辞」というよりも、むしろ「お別れのことば」と表現する方がふさわしいでしょう。
故人の子や孫が、親族代表として形式張らないスタイルで、大好きな気持ち、感謝の気持ちをささげます。
中には幼稚園児のひ孫、やしゃ孫が出ることもあります。
これはこれで、とても心がほっこりして、良いお葬式になります。
今は、すべて形式どおりでなくてもいい時代になってきました。
孫からの弔辞については、こちらの記事をご覧ください。
弔辞の依頼とバランス
複数の人に弔辞を依頼する時に考えたいのが、バランスです。
会社関係、友人関係の双方がお葬式に参列してくれるのであれば、どちらか一方に偏るよりも、両方から出ていただくのが、バランス的にもよいでしょう。
参列者を大きくグループ分けした時に、可能であれば、それぞれのグループから弔辞を読んでもらうのがベストです。
ただ、お葬式には時間の制約があります。
何人までならいいの?
弔辞を頼むとき、何人ぐらいがベスト?
社葬など規模の大きな葬儀でない限り、一般的なお葬式の時間は開式から出棺まで、だいたい1時間です。
その中で、弔辞にさける時間というのは、多目にとっても約10分。
その時間配分から考えると、
1~2人が適当のようです。
3人になると、一人の持ち時間は3分厳守です。
ただ、3分スピーチが守れる方というのは、よほどそういう役割に慣れている方です。
時間的な余裕をもって、1人か2人にしぼって、頼むのがいいと思います。
あの人も、この人もと、どんどん増えるのはダメですよ~
ただし、
無宗教での自由葬や骨葬(お別れ会)などの場合例外です。
1人の持ち時間が長くなっても、人数が増えても問題ありません。
このあたりは、司会者と相談して決めてください。
弔辞の頼み方・タイミングとは?
お葬式は、特段の事情がない限り、亡くなられた翌日か翌々日に行われます。
法律によって死後24時間経たなければ、火葬も埋葬もできません。
では、弔辞は、どのタイミングで頼めばいいのでしょうか?
弔辞を依頼するタイミングとタイムリミットとは?
弔辞を頼まれる側とすれば、知らせは早ければ早いほど、助かります。
そう考えると、葬儀社との打ち合わせが終わって、
お葬式の日時が決定した時点で依頼するのがベストです。
故人の遺言などで
「この人に弔辞を」という希望があれば、前もって弔辞を頼んでおくことは問題ありません。
お葬式の正確な日時などは、後から伝えればいいことです。
弔辞を書き上げるには相当な時間かかるので、そのことを考慮して早めに依頼する必要があります。
決して、30分や1時間で完成するものではありません。
なので、遅くとも通夜式が終わるまでには、翌日の弔辞の依頼はすませておきましょう。
【弔辞を頼むタイミング】
- 葬儀の日時が決まった時点
- 通夜式が終わった頃までに
弔辞の頼む人に伝えておきたいこと
弔辞をお願いした方に、何をお知らせしておけばいいのでしょうか?
あらかじめ伝えておきたいことを、まとめてみました。
弔辞の持ち時間(長さ)
弔辞を依頼する際に、必ず伝えておきたいのは、1人あたりの持ち時間です。
弔辞を作成するとき、いろいろなことを思い出しながら書いているうちに、ついつい長文になってしまう、ということはよくあります。
弔辞の内容を吟味して、コンパクトにまとめるためにも、自分に割り当てられた時間が何分なのか、という情報は重要です。
以下、持ち時間の目安です。
【弔辞の長さ】
- 3~4分(弔辞1~2名のとき)
- 3分以内(弔辞3名~)
書き上げた弔辞をゆったりと読んだ時に、3分前後で読み終わる長さ、ということです。
弔辞の人数&故人との関係性
弔辞の人数と、それぞれどういう方々なのか、ということを簡単に伝えておきましょう。
- ほか何名が弔辞を読むのか
- 故人とどういう関係の方か
互いに無関係であれば問題ないのですが、会社関係同士であれば、それぞれの立場から、弔辞に書く内容がかぶらないようにしよう、という意識が働くと思います。
「明日は、△△さんと、あと二名の方に弔辞をお願いしています。お一人は□□会社の△△部長で、もうお一方は、学生時代からのお友達なんです。明日は、どうぞよろしくお願いいたします」
この程度で十分です。
自分の連絡先
弔辞を頼む際には、
自分の連絡先(携帯電話の番号)も伝えておきましょう。
お相手の電話番号などは、なかなか聞きにくいものですが、
自分の連絡先を告げ、「念のために」と、相手方の連絡先をうかがうようにすればいいでしょう。
電話番号のほか、メールアドレス、あるいは、相手にもよりますがLINEなども便利です。
これらは、急用や変更に対する連絡、確認のための連絡、あるいは、葬儀後に連絡を取りたい時などに必要となります。
また、弔辞を頼んだ方が、故人の情報について再確認したい時などにも、役立ちます。
【伝えておくべきこと】
- 弔辞の持ち時間
- 弔辞の人数
- 互いの連絡先
弔辞を読む順番は、どう決める?
弔辞の序列には、特に決まったルールはありません。
弔辞の順番を決める方法はいくつかありますが、次の二つが便利です。
- 親しかった方から順に読んでいただく方法
- 親しかった方を、あえて最後に据える方法
「親しかった方」という部分を、
「年齢が高い方」に置き換えるのもOKです。
素直に順番を決めていくのもいいですし、「会社関係」「友人関係」で迷えば、この二つを組み合わせる方法もあります。
たとえば、会社関係を先に持ってくるケースだと、こんな感じです。
【2名の弔辞】
①会社関係(あるいは年齢の高い方) ②友人代表(もっとも親しかった方) |
【3名の弔辞】
①会社関係(あるいは年齢の高い方) ②会社関係(あるいは次点の方) ③友人代表(もっとも親しかった方)※ |
※故人にとって特別な存在をあえて最後に置くことで、その立場を尊重すると共に、それ以前の序列の不備に対して容赦を願う、という「留め(とめ)」の考えを応用したものです。
「③」のように、最後に出ていただく方の紹介は、「あえて、最後に回ったんだな」と誰もがわかるような一工夫が必要です。
ただ、それを考えるのは、司会者の仕事です
会社関係の方が複数人の場合は、社会的地位や立場を考慮して順番を決めたほうがいいでしょう。
そうはいっても、組織内部の序列や力関係は親族にはわかりにくいので、同じ会社関係の方々に決めていただくのが無難です。
その結果、どういう順番になったとしても、お葬式の場のことですから、文句を言う方はいないと思います。
もっとも、こういった弔辞の順番などは司会者に任せれば、きちんとやってくれます。
弔辞を頼んで迷惑ではない?(親族の立場からの心配)
弔辞を依頼するということは、
それだけ故人と近しい方、親しかった方、だからです。
親族の方から弔辞を頼まれるということは、栄誉なことであって、迷惑と感じることはありません。
迷惑と感じる人は、そもそも近しくも親しくもなかった、ということになります。
弔辞に関しては、そこまで深読みせず、気持ちのままにお願いすればいいと思います。
どうしても無理なら、お断りされると思うので、まずは頼んでみることです
弔辞を読んでくれた方へのお礼
弔辞を読んでくれた方へは、お葬式後にあらためてお礼をします。
弔辞のお礼は、葬儀後一週間以内に相手先を訪問して、お礼の品を届けます。
ただ、相手が遠方の方であったり、互いの都合がつかない場合は、お礼状を添えて商品を宅配で送るのでも失礼にはあたりません。
お礼の品物は、親しい方であるなら、相手が喜ぶようなちょっとした商品を選ぶのもいいと思います。
相手の好みがよくわからない場合は、
消えてなくなる品物--日持ちするお菓子の詰合わせのようなものが無難でしょう。
お礼の品は、感謝のしるしとしてお渡しするものなので、あまり高額なものは控えます。
お礼状はどういう場合に必要?
お礼状は、品物を手渡しできない場合に添えます。
相手先へ訪問して、直接お礼を述べる場合は、必要ありません。
会社などへ訪問し、直接渡せるかどうか不安な場合は、お礼状を添えているほうがいいでしょう。
お礼をするタイミング
弔辞のお礼は、葬儀後2~3日以内に行うのが本来ですが、現在では、葬儀後の1週間以内に行うとされています。
香典を受けている場合は、
四十九日の忌明け後に、香典返しにプラスした形でお返しするのでもかまいません。
まとめ
弔辞は、先に逝く友へささげるお別れの文(ことば)です。
故人と少なくない時間を共有した方々は、それぞれの胸の内にさまざまな思いを抱えて、先に逝く友を送ることになります。
弔辞は、その気持ちを伝える、唯一の時間となります。
亡くなった方が現役であったり、社会活動にはげんでいたり、親しい友人たちに囲まれて過ごしていた場合には、その方たちに弔辞をお願いしてみてはいかがでしょうか。
お葬式の準備であわただしいかもしれませんが、ぜひ、この弔辞の存在を思い出してください。
きっと、遺族にとっても、その方たちにとっても心に残るお葬式になると思います。